獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや。

2017-01-25 23:00:12 | 旅行
  いきなり孔子様の言葉で恐縮だが、実は先週の日曜日、友人のI君が我が住まいに来てくれた。彼とは学生時代のクラブ活動からの仲で、彼の奥様も我々二人の後輩である。その彼は、何と今、47都道府県のそれぞれの最高峰に登りながらサイクリングで日本全国を旅している。その途中で我が家に寄ってくれた。
 彼は、中学校教師を30数年勤め、昨年の春、定年まで2年を残して退職、そして今、長年の夢であった、「“自らの力”でだけ全国を旅する」、を実現しているのである。驚くべき気力と体力である。
 当初、彼には我が家に2、3日泊って貰い、旅の疲れを癒して貰う予定であった。しかし、先週の大寒波による天候では自転車での移動は困難だし、登山するには危険であった。そのため、天候が良くなるまで我が家に滞在して貰うことにしたが、結果的には9泊してくれた。おかげで彼から今回の旅で訪れた名所や出合った人々の話がたっぷり聞けて実に楽しかった。
 彼の話を聞きながら、私なら何所に行こうかな、と考えてみた。当然ながら彼と私が負っている社会的役割は全く異なり、彼はできても私にはできない、というのが普通である。しかし、それでも自然とある情景が頭に浮かんできた。それは、アフリカの大地溝帯である。
 アフリカ大陸東部はマントルプルーム(マントルの上昇)によって分断されつつあり、そのために形成されたのが巨大な谷、大地溝帯(グレート・リフト・バレー)である。この谷の幅は数十~100km以上、長さはエチオピアからモザンビークまで及び、全て合わせると全長は7,000kmにもなる。この大地溝帯に惹かれる理由の一番は、ここが人類発祥の地だからである。人類発祥の地が何処かについては、未だ多くの説や議論があるが、それでもアフリカ大陸の大地溝帯が非常に有力な場所であることには異論がないらしい。
 少年時代の私は、親に買って貰った動物図鑑を見ながら、アフリカのサバンナを訪れることを夢見ていた。特に、東アフリカのサバンナが好みだった。成人してから東アフリカのサバンナは大地溝帯とかなり重なっており、その地は野生動物の宝庫だけでなく人類発祥の地でもあることを知った。少年時代の夢想も重ねって、大地溝帯をいつか旅してみたい、という気持ちをいつの間にか持つようになった。I君の話は私にその気持ちを思い出させてくれた。ほんの一瞬だが、私は夢想する少年に戻った。
 それにしても、結婚して30年以上を伴に過ごしてきたとは言え、I君の奥さんはI君の挑戦を良く認めてくれたなあ。