政治家「又市征治」という男

元政治記者の私が最も興味を持った政治家、それが又市征治だった。その知られざる人物像に迫る。

生活を守る人を望む

2007年06月19日 | Weblog
 又市征治が「10・21スト」で処分を受けた昭和41年当時、国会は荒れに荒れていた。与党自民党の閣僚や議員の不祥事が相次いで発覚したのだ。
 脅迫容疑の逮捕、公私混同の自衛隊パレード、不正融資への関与など。いわゆる「黒い霧」事件である。

 国民に政治不信は広がり、求心力低下の影響により、当時の佐藤栄作首相はその年末、ついに衆議院を解散する。「黒い霧解散」である。 

 その頃、又市は新聞社にその選挙について意見を問われている。写真はそのときの記事である。ここで面白いのは、又市を県職員ではなく、県職労組としている点である。これは県職員として自民党批判をしたのではまずいと新聞社が判断したためではないだろうか。

 しかし又市は公務員として「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」という憲法上の規定を明らかに意識して次のように述べている。

 「個人的な小さい利益でなく、国民全体の利益を考えて行動してくれる人に入れる。」
 「(自民党は)国民のごくわずかの部分の声しか聞いてない。」

 また次のような意見も述べている。

 「候補者の学歴や地位、身分は問題でない。私をふくめて国民の大多数は労働者だから、やはり労働者の生活を守ってくれる人、福祉に取り組んでくれる人を望む。」

 この福祉については、又市が生まれる直前に、軍のトラックによる事故で脚を失った父のことが頭にあったのであろう。
 軍からの補償はなく、戦後も社会保障制度が不十分だったために大変な苦労を強いられてきたのが又市であり、その家族だった。
 アルバイトで学費を稼ぎながら県内有数の進学校へ行ったものの、父の死により大学進学を断念しなければならなかった経歴、そして県庁内にも学歴による差別待遇が待っていたことなど、又市の置かれてきた立場を考えると、この言葉がどれほど重いかが分かる。

 そして又市は、こうも書いている。

 「最近の自民党はでたらめなことばかりをやっており、しかも反省のないのがすくわれない。」

 この「黒い霧」解散後、翌年の1月29日に行われた総選挙で自民党は議席を大きく減らすことになる。
 このときの又市と「国民全体」の自民党への批判や怒りは、40年余りを経た今も大いに通用するものがある。
(敬称略)

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (memaido)
2007-06-20 09:10:53
はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。応援ぽちっ
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こんにちは (memaido)
2007-06-20 09:24:13
本日も楽しく拝見させてもらいました。
またこさせていただきます。
返信する

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