政治家「又市征治」という男

元政治記者の私が最も興味を持った政治家、それが又市征治だった。その知られざる人物像に迫る。

民主党の危うさ

2007年07月18日 | Weblog
 野党共闘が低調だった間も、何とか野党の攻勢は続いていた。
 その頃ちょうど、ライブドア事件、耐震強度偽装問題、米国産牛肉問題、防衛施設庁談合事件の、いわゆる「4点セット」があったからだ。野党の厳しい追及に、政府与党は劣勢に立たされていた。

 しかし野党第一党である民主党に、思わぬ落とし穴が待っていた。民主党の永田寿康による「偽メール事件」である。この民主党の自滅によって「4点セット」はうやむやになり、与党が攻勢に転じる。民主党は永田が議員辞職、国対委員長の野田佳彦、そして代表の前原が辞任に追い込まれる。

 その後、代表に就任したのが小沢一郎だった。ようやく本当の喧嘩の仕方を知っている人物が現れたのだ。又市征治は、小沢に警戒感を持ちながらも、わたり合う相手として不足はないと歓迎した。

 この通常国会、政府与党からは、教育基本法改定案、「共謀罪」創設法案、国民投票法案、防衛「省」昇格法案などが出されていた。こうした法案について民主党は対案を出していた。

 実は、この「対案路線」ほど与党にとってありがたいものはない。与党は、野党の対案の重箱の隅を突ついて批判をしていれば審議時間が過ぎていく。野党は対案を出している手前、審議拒否などの抵抗もできない。ある程度、時間が過ぎれば「審議は尽くした」と言って採決すれば、数で勝る与党が勝つのは目に見えている。与党が「批判せずに対案を出せ」と野党に迫るのは、こうした計算があるのだ。

 6月、与党はさらに踏み込んで、その対案路線を利用しようとした。「共謀罪」創設法案について民主党案に賛成、つまり「丸呑み」を言い出したのだ。民主党国対委員長の渡部恒三は手を叩いて喜んだ。「うちの案が認められた。」若手議員らも渡部と一緒に素直に喜んだ。

 もちろん、これはそれほど単純な話ではなかった。与党は「とにかく民主案を通しておいて、後でいくらでも改正しよう。」という魂胆だったのだ。民主党幹事長の鳩山由紀夫は、対応に苦慮していた。賛否をめぐって民主党内が混乱していたのである。これも、与党の思惑通りだった。
 そのとき又市は、鳩山、次いで小沢の双方にこう働きかけた。

 「いま与党に協力すれば『偽メール』のときのように、与党を追及できなくなる。それでいいのか。」

 野党が与党に一点でも加担すれば、対抗軸はあいまいになる。他の法案でも与党側に引き込まれていく恐れも出てくるだろう。小沢は又市の意見を支持し、右往左往する民主党内を一喝した。又市の説得は成功したのだ。
 民主党は「丸呑み」を拒否し、「共謀罪」創設法案は阻止されたが、この「丸呑み」のようにちょっとした与党の工作にも混乱してしまうという民主党の危うさが際立ったことも事実だった。

 「他の法案もある。また米軍再編問題もある。国会最終盤に向けて民主党を何とかしなければ。」

 そのとき既に又市は次の手を考えていたのである。
(敬称略)

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追伸 よく考えてみると、今日7月18日は又市征治の誕生日だった。心からお祝いを申し上げたいと思う。


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