「接客」お値段以上の満足感 業界トップ企業、差別化戦略
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SankeiBiz2013/4/3 06:30

朝礼~昼礼~終礼の繰り返し訓練『体験者知るから言える』
イトーヨーカ堂は、婦人服の高品質ブランド「ギャローリア」を販売する店舗で接客スタッフを手厚くした
流通や通信など各業界のトップクラス企業が「接客」に磨きをかけ始めている。本格的なデフレ脱却の道筋が見えない中、競合同士の消耗戦を避け、価格以外で差別化を図る。値下げ戦略ほど早期の成果は出にくいものの、業界トップならではの経営体力を生かし長期的な顧客満足度の向上に取り組んでいる。
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「中に着る服を替えれば雰囲気も変わりますよ」。イトーヨーカドー武蔵境店(東京都武蔵野市)で、ベストを品定めしていた60代の女性客に店員が声をかけた。店員の言葉にほだされ、女性客はベストに加えてニットも購入した。
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フランチャイズも含めた売上高で流通最大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)は昨秋から、総合スーパーのイトーヨーカドーの全国約160店舗で、婦人向け高品質ブランド「ギャローリア」売り場専用の接客スタッフを本格配置。接客技術はHD傘下の百貨店、そごう・西武社員の直伝だ。
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「付加価値をつけた価格が高めのブランドには、その価値を伝える接客が欠かせない」。イトーヨーカ堂の戸井和久衣料事業部長は強調する。配置後の売り上げは、前年比で2割以上も増加。今年からは試着時の提案で販売増が見込めるバッグ類や婦人靴で接客戦略を強化する。
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百貨店最大手の三越伊勢丹HDは4月から、5店舗の営業時間を30分から1時間短縮、スタッフの勤務シフトを改め、接客が手厚くなる時間帯の人員を増やしている。
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同社は「長時間営業と低価格戦略が接客の質低下を招き、現在の百貨店不振につながっている」(広報)と分析。営業時間の短縮は短期的な売り上げ減が懸念されるが、3月に全面改装を終えた売り上げ日本一の旗艦店・伊勢丹新宿本店は改装効果を追い風に「圧倒的なサービスと品ぞろえ」という百貨店本来の魅力で懸念を払拭する。
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携帯電話最大手のNTTドコモは、従来の携帯電話からスマートフォン(高機能携帯電話)への機種変更の際、これまで約90分かかっていた説明項目を絞り込み、約30分で済むようにした。顧客登録など契約作業のみをカウンターで行い、購入機種の選定などは待ち時間中にフロアで行う。これにより「フロアで30分以上待たせる割合が約30%減る」(広報)という。
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同社は米アップル社の人気端末「アイフォーン」を扱わずスマホ販売で苦戦が続いていた。ただ、最近は機種の性能に差がほとんどなくなり「全体の顧客満足度が選ばれるカギになっている」(同)と手応えを語る。
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野村証券の正田雅史アナリストは「接客強化は商品価値の情報力を高め、顧客に『買う理由』を与える。値下げなど各社横並びの販売戦略に限界がみえてきた中、各社が独自色を出し始めている」と話している。
7&iHDが決算発表、今期営業益は15%増を計画流通ニュース引用
サーチナ 4月4日(木)15時44分配信
セブン&アイ・ホールディングス <3382> が4日引け後に、前2月期決算を発表した。
前期の売上高は、4兆9916億円(前期比4.3%)、営業利益は2957億円(同1.2%増)となり、従来計画と比較すると、売上高で384億円、営業利益で123億円の未達に終わった。純利益は1381億円(同6.3%増)となった。コンビニ事業は順調に拡大したが、衣料品の売上不振などから百貨店事業が減収となり、店舗閉鎖に伴う特別損失の計上なども影響した。
一方、今2月期の業績予想は、売上高が前期比13.0%増5兆6400億円、営業利益は同15.0%増の3400億円、純利益は同23.1%増の1700億円と拡大。配当予想は、中間期が33円(前期から2円増額)、期末33円(前期と同額)の66円(前期は64円)を計画している。
7&iHDの4日の終値は、前日比100円高の3090円。(編集担当:片岡利文)