木造校舎を訪ねて

私が訪ね歩いた木造校舎を、写真と文章で紹介していきます。

№14上田市立西塩田小学校

2009-11-07 17:56:48 | 旅行

木造校舎データ
校名:長野県上田市立西塩田小学校
創立:明治5年 校舎竣工:大正5・昭和42年 
部類:転用(平成8年3月閉校)
現状:平成19年4月より通信制高校として利用
所在地:長野県上田市大字手塚1067
撮影年月日:平成14年10月19日(土)


西塩田は元来蕎麦作りが盛んである。但馬の蕎麦所「出石」の名物「皿蕎麦」は約300年前、西塩田の蕎麦職人の技法を出石に伝え、出石焼きの皿に盛ったのがその始まりとされている。平成11年、西塩田地区の営農活性化推進組合が、出石の蕎麦技法を上田に持ち帰り、「里帰り蕎麦」と名付けて、再び地域の名物となる。
手塚地区「舌喰池」の近くにこの学校はある。創立は明治5年「昇高学校」として発足。現校舎は大正5年と昭和42年に増築した二棟が平行して建っている。平成8年3月、別所小学校と統合し閉校、新たに塩田西小学校が開校する運びとなった。訪ねた日は「民謡フェスティバル」というイベントが行われており、校内に立ち入ることができた。


木の馥郁たる香りが体内に入ると、同時に木造校舎の温かみと退廃的な空気を強く感じた。ここは映画「学校の怪談4」のロケ地で、子供たちの噂話を増長させる、期待と怖さが辺り一面に潜んでいる気がした。ギシギシとなる木の階段、窓からの採光に照らされる木肌の廊下、使われなくなって久しい黒板など何とも懐かしい、と10代の私が感じるのも可笑しな話かもしれないが、私はこういう校舎に恋焦がれてきた。
その後平成19年度より、通信制高校として転用され、再び校舎に命の灯火が吹き込まれた。上田市の多くの木造校舎が解体された中、西塩田小学校にはこれからも使われ続けてほしいと願わずにはいられない。