アラサー独女に迫る精神的危機「30 sクライシス」
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占い師による洗脳騒動も一段落し、近頃では芸能界復帰は目前ともささやかれているオセロ・中島知子(40)。
いったいなぜ、彼女は占い師を妄信したのでしょうか。
真相は薮の中ですが、もしかしたらアラサー独女特有の精神的危機「30 sクライシス」をこじらせた結果だったのかもしれません。
社会構造の急激な変化により、アラサー世代にさまざまな社会問題がのしかかる現代、急増しているといわれる「30 sクライシス」。
これが起こるメカニズムと、その対処法を紹介していきます。
30代女子のアイデンティティが危ない
「30 sクライシス」とは、30代で陥るアイデンティティ・クライシスのこと。
自我心理学の第一人者、エリク・エリクソンは「自分は他でもなく自分である」という統合された感覚を、
「アイデンティティ」(自己同一性)と呼び、その獲得は青年期(15歳~39歳くらい)の発達課題であるとしました。
また、ひとは自我の発達に伴い、肯定的なアイデンティティを獲得することで、
心理的に成長していくとしています。
しかし、その試みは失敗することも多く、ときに「アイデンティティ・クライシス」という精神的な危機を引き起こすのです。
アイデンティティを確立するためには、社会的な役割や責任を引き受けるといった、
周囲の「承認」が必要だからです。
未婚・晩婚化、非正規雇用の増加、拡がる格差など、多くの社会問題に翻弄され
「失われた世代」と呼ばれる今の30代女子。
生きる目的を見出せず、アイデンティティ・クライシスに悩むひとが多いのも、
当然なのかもしれません。
アイデンティティ・クライシスをこじらせると……
ところで、このアイデンティティ・クライシスを正常に乗り越えることができないと、
どのような弊害が起こるのでしょうか。
アイデンティティ・クライシスを乗り越えた場合、ひとはそれまで忠誠を誓っていたイデオロギー(思想や行動を制約している観念)を見直し、
新たなイデオロギーを見つけ出します。
たとえば、それまで出世欲ばかりで家族を顧みなかった男性が、家族愛に目覚めたりするのがこれに当たります。
しかし、自分にとって最良のイデオロギーが見つけられなかった場合、カルトや過激派など、
極端なイデオロギーに傾倒してしまう危険性もあるのです。
不安定な自己意識のストレスにより、正常な判断が下せなくなってしまうからです。
オセロの中島は、相方の松嶋尚美と長年、不仲にあったと報じられています。
芸能界という過酷な世界でパートナーと信頼関係を築けなかった中島が、
アイデンティティ・クライシスをこじらせていたとしても何ら不思議ではありません。
アイデンティティ・クライシスの対処法は?
では、アイデンティティ・クライシスが訪れたときは、
どのように対処するのが望ましいのでしょうか。
自分はいったい何者なのか。何をするために生きているのか。
それがわからなくなり、精神的な危機に陥ってしまう「アイデンティティ・クライシス」が、近年、多くの30代女子を悩ませています。
「30 sクライシス」とも呼ばれるこの現象は、なぜ起こるのでしょうか。そしてどのように向き合うべきなのか。後半では、その対処方法を説明していきます。
30 sクライシスの症状
30代ともなると、周囲の友人が次々と結婚・出産したり、ビジネスで成功を収めたりしていきます。
そんな中、生き甲斐を見出せる仕事や趣味、あるいは家庭などを見出せていないと、30 sクライシスに陥る可能性が高まるのです。
将来に対して漠然とした不安を抱き、どう行動していけばいいのかわからない。自己嫌悪に陥り、何もする気が起こらない。
そんな気持ちを抱いていたら、30 sクライシスの可能性が高いと言えるかもしれません。重症になると、うつ病を患ったり、
家に引きこもったり、カルトや過激派に傾倒したりする危険性もあるので注意が必要です。
30 sクライシスの対処法
では、30 sクライシスはどのように乗り越えるべきなのでしょうか。
●その1:まずは現状を認める
アイデンティティ・クライシスは、心の成長において必要不可欠な「発達課題」であり、
程度の差こそあれ、誰にでも訪れます。
心の問題は、問題を認識できる段階に達したからこそ訪れるのであり、
その悩みは成長の証とも言えるのです。
まずは、自分の心が成長したことを誇り、これまでの自分を認めてあげましょう。
●その2:後退や退行は内面の調整
アイデンティティ・クライシスに陥ると、後退や退行といった行動に出ることがあります。
学生時代の趣味に再び没頭したり、社会生活の場から退避して引きこもったりするケースです。
このような状態が長く続くのはよくないですが、一概に悪いとも言えません。
なぜなら、後退や退行は自分の内面を調整し、
これまでの価値観を見直すための行動でもあるからです。
後退や退行が起こった時は、それも必要なステップと考え、
前向きに捉えることが大切です。
●その3:積極的に新たな価値観を求める
アイデンティティ・クライシスを乗り越えるには、
自分にとって新しい価値観を取り入れることも大切です。
本を読むこと、芸術に触れること、旅に出ること、新しい出会いを求めること。
「自分探し」などと言うと少々気恥ずかしいかもしれませんが、
このような行動はアイデンティティを確立するのに有効です。
心をオープンにして、これまで経験しなかったことに挑戦してみましょう。
●その4:アイデンティティの確立を求めない
精神医学者のリフトンは、価値観が多様化した現代では、
アイデンティティの確立を求めるのではなく、
状況に応じて変幻自在に生きるほうが社会に適応できると主張しています。
アイデンティティの確立は人間的成長であり、大きな喜びではあるが、
それに固執するあまり上手く生きていけないのであれば本末転倒です。
掲げた理想が高すぎて社会の承認を得るのが不可能に近いなら、
諦めるのもひとつの手でしょう。
アイデンティティの確立を求めない、という選択肢があることも視野に入れておくと、
心理的負担はより少なくなるはずです。
焦らず、前向きに考えよう
社会構造の急激な変化と、それに伴う価値観の多様化によって、
アイデンティティの確立が困難であると言われる現代。
「失われた世代」とも呼ばれるアラサー女子にとって、30 sクライシスは身近な問題です。
しかし、どんな時代であれ、人間の成長欲求がなくなるわけではないし、
解決する方法は必ず見つかるはず。
大切なのは、自分の心の成長を認識し、それを良い方向へと導こうとする姿勢なのです。
今、漠然とした不安に陥っているあなた。
それはきっと成長の証なので、焦らず、前向きに自分自身と向き合うことが必要です。
時がくれば、おのずと答えは見つかるはずだから。
(参考:「フシギなくらい見えてくる 本当にわかる社会学」現代位相研究所編/日本実業出版社、
「図解でわかる心理学のすべて」深堀元文=編著/日本実業出版社)
Written by マツタヒロノリ
出所:http://news.ameba.jp/20121025-215/