旅好きの香川の一学生のブログ

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ANAボンバルディア機胴体着陸に関する一考察

2007-03-14 02:12:02 | 意見

皆さんご存知のように、昨日13日、伊丹発高知行きANA1603便が着陸時に前輪が
下りず、胴体着陸を行いました

今回は飛行機ファンの1人としてあくまで個人的では有りますが、この事件に関しての一考察を述べさせていただきたいとおもいます。

日本で胴体着陸を行ったのは2001年に成田空港でNW(ノースウエスト)機が行った以来で、非常に稀な事であります。

さて、今回のニュースを初めて聞いたときの、
私のまず初めの率直な感想は、あぁ・・ついにやったか…と言うものでした。
なぜなら、マスコミ等で色々騒がれていますが、
今回問題を起こしたDHC8-Q400(-300型も含めて、いわゆるダッシュ8)型機は、航空関係者や飛行機ファンの間では、だいぶ前からちょっとトラブルが多い機体だなぁ・・という認識は広がっていました。
トラブルの多さと言うのは、今に始まった事ではなくだいぶ前から言われていたのです。

飛行機ファンでなくても、高知~伊丹や松山~伊丹など、DHC8が毎日6往復以上しているような所の利用者は口をそろえて、「あのDHC8(プロペラorボンバル)はトラブルが多い。」と言うほどでした。


ANAだけでなく、JALそうですが、機材トラブルなどで飛行機が欠航・引き返しなどを行ったという記録はHP上で公開されています。
ゆえに一般の人でも誰でもwebでそういったトラブル情報を見ることが出来るのです。そういう情報からも特にDHC8に関してはトラブルが多いと有名でした。


実際数値で見ても、他のB777やらB747などDHC以外の機材に関する機材トラブルによる欠航率が0.02~0.09%位なのに比べて、DHC8の機材トラブルの欠航率は0.16%と桁が一つ異なって高いのです。

それだけこのDHC8はトラブルが多い飛行機でした。

しかし、このDHC8という機材は、ジェット機に並ぶ高速性をもち、エンジン音の静粛性にもとみ、燃料効率もよい、小・中型飛行機として評判であり、今はこのDHCシリーズしか市場に出回っていない為、またこのDHCの価格が比較的お手ごろな事から、最近全世界の航空会社がこぞって購入しているのです。
(今回事故を起こした機材DHC8-Q400のQと言うのはQuiet(静か)のQです。)

それに加え、現在は、この手の機材をボンバルディア社(カナダ)しか生産していない事で、独占状態になり、競争にさらされていない事から、若干、設計、製造などに粗があったのではないかと考えられます。
ANAも03年に導入して運行しだした頃から、トラブルに悩まされ、2005年にはボンバルディアの整備士を常駐させ、合同の特別委員会をつくり、トラブルの原因の解明に努め、その過程で、車輪の油圧の設計を変更させたりもしていました。


そのかいも有ってか、最近は、初期不良と呼ばれるものもだいぶ減って、まともになってきたか・・とおもわれつつあったのですが、その矢先の今回の事故でした。


前置きが長くなりましたが、
今回私が色々ニュースなども見て、1つ非常に気になったのは、今回、緊急時に作動する非常システムでさえも、作動しなかったという事です。
飛行機には確かに無いには越した事はないですが、どうしても小さな少々のトラブルはつき物です。
正直、DHC8-400では過去2度ほど車輪が出ないトラブルがありました。
しかし、その時は手動操作によって、ちゃんと車輪も下りているのです。
そう、手動操作で下がればまだ60点はあるのです。100点では絶対にありませんが、飛行機の業界ではおそらく合格に入ります。
(極論を言えば、離陸時にエンジンが1つ停止しても、残りのエンジンで離陸して、再び空港に引き返すことが、出来さえすれば大きな問題ではないと考える。元々、飛行機の機能はだいぶ余裕を持って作られている。空港に無事に着陸できさえすれば重大なインシデントとはみなさない!)


しかし今回は、通常システムの不調を補うはずの、緊急のシステムまでが動かなかったとなると、これは非常に大きな問題なのです。

飛行機において、車輪は当然、上がらないよりも確実に、下がっていた方がいいに決まっています。(車輪が離陸後、上がらなくて事故になることはまずないが(空港に引き返して整備すればいい。)、車輪が降りなかったら大事故になりかねない!(胴体着陸をせざる終えなくなる!))
そういう、どっちがいいかはっきりしているものは、故障したら事故にならないようになるようになっているはずなのです!

(すなわち、信号が故障したら、両方向に青信号を点灯させるのではなく、赤を両方に点灯させる。とか、踏切が、故障したら、遮断機は上がったまま、止まるのではなく、下りたままになった状態で止めておくと言った様に。(事故が起きない方に動くようにしておく。))

飛行機においては繰り返しになりますが、車輪は、基本下りる方に重点が置かれています。
(すなわち、上げる動作が無ければ下がったままで、下げる動作が無くても下がったままになる。(ロック等は上げた状態を固定する為にあり、外れたら下がる、故障したら下がるように作られている。))

ゆえに、手動で座席の横にあるレバーを引っ張ったら、以下の仕組みで、車輪のロックは外れ車輪は物理的に下がるようになっているのです。

これが出来なかったというのは非常に大きな問題です。
(図 from Asahi.com)
報道では、今回の事故原因について、正常の車輪を下ろす機構の一部の、油圧システムの油の中に、製造段階で空気が入り込んでうまく働かなかったから…とかいう風に解明を進めているようですが、

私は是非、油圧システムなど通常のシステムが壊れたりした時に働くはずの、非常時に確実に車輪が下りるように作られているはずの、緊急システムがなぜ今回正常に働かなかったか?
そこを重点的に是非調査していただきたいと強く願います

油圧のトラブルなどは前々から解っていたことであり、緊急時のシステム、バックアップのシステムが機能しなかったということの問題と比べたら些細なものであり、緊急時のシステムが作動しない事の方が非常な大きな問題となるのです。

以上

自分が思うままに、ツラツラと今回の事故に関して、初めの報道などから感じた自分の意見を書いて見ました。
長文最後まで読んでいただきありがとうございました

PS
今回の胴体着陸の様子は、報道各社かなり生で撮影されていたようで…。
色々な報道各社の映像を見比べてみたのですが、なぜか現場の音声を入れていたのは、NHKだけでした。
(NHK以外は一切現場の音声はカットされていて、後からリポートが別で録音されて重ねられていましたね。)
映像も、NHKが一番良かったように、私は感じました。
すこしNHKの受信料を払ってもいいかなぁ・・・と思いました。
NHKは今回いい仕事してましたよ!

NHKに感謝感謝。胴体着陸の時の音を微かながらも聞くことが出来てよかったです。


また、話ころっと変わりますが、
今日から私、母校の勉強合宿にしばらく参加してくるので、その間しばらくネット断ちです
本音を言うと、勉強合宿よりも、今すぐ高知に行って事故の機材を見たいところですが…
そうもいかないので…
17日以降もし高知にまだ機材が留置されるようだったら見に行こうと思います。


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1 コメント

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Unknown (myu)
2007-03-15 14:23:22
長いと感じずに引き込まれて読ませてもらいました。

うーん、そうなんだぁって 色々勉強になりました。 
ありがとうございます。 
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