車検証を読んでみたら、車種のところに「幌車」と書いてあった。
当然のように脳裏に浮かんだのは「ほろぐるま」という読みと「幌馬車」の絵だった。勿論、「ほろしゃ」と読むんだろうと思う。
「ほろぐるま」って読んだら笑うしかないだろう。西部開拓時代みたいでワイルド過ぎる。せめて「ほろしゃ」でないと。
でも「ほろ」って。コペンに幌馬車のイメージは全くない。
昔、幌付きのオープンカーを買った人が雨漏りのするのに気が付いて「これ、雨漏りがするよ」とディーラーに苦情を言った。
すると散々調べた後で店側は一言。
「お客様、雨の日に乗られましたか?」
話を読んで噴き出したが、書いた人もこれをよくできた小話と捉えていたのだろう。
けれど、後々になってこれは笑い話でも何でもない、ごく普通のやり取りであることに気が付いた。
オープンカーの幌は雨除けではない。日除けであるということだ。つまり「屋根」ではなく、ただの「日傘」。少々の風では飛ばされない「お洒落な」日傘。
それが段々に進化して「雨が降っても大丈夫!」となっただけの話で、そんなのは宣伝文句にはならないし、しちゃいけないというのが、ディーラーの心意気。雨中でも乗るということなら、初めから普通の馬車同様しっかりした屋根があればいい。(「カロッツェリア」というのは「馬車工房」という意味なんだそうだ。車は運転手ではなく乗客こそが主人だから。)
「ドッチデモ使えます」というのは虫が良すぎる。というより「チープだね、その発想は」という思いがある(?)。
「道具は用途に応じて使い分けるべきで、何でもそれ一つで済ませるってのは何ともはや・・・」。
吸い物椀一つでコーヒー、紅茶、スープ等も召し上がる上流階級・・・。
ないない。
鍋で作ったラーメンは、蓋で食べるのが合理的・・・。
やってみたいとは思わない。
夏にコペンに乗るのはフライパンの上で焦がされるようなもの(バイクの場合はB・B・Qか、七輪の上の秋刀魚だが。鉄板が介在するか直火か、の違い)。 だから快適な冬ならともかく真夏には基本、乗らない。
そういうことで気が付いたら十年経っていた。
でも、勿論自分からそんな地獄に飛び込む気はさらさらないのだけれど、諸般の事情からどうしてもフライパンの上で焦がされなければならない破目に陥ることもある。
そういう目に遭った時は、とにかく疲れ果てて帰る、しかない。
先日も数少ない「そういう目」に遭った。
(続く)