世界の移民政策、移住労働と日本

日本型移民政策とは何か?世界の移民政策に関するニュース、エッセイ、本の紹介など

自民党「日本型移民政策の提言」を読んで

2008年06月18日 | 日本の移民政策
6月12日付で自民党 外国人材交流推進議員連盟の出した日本型移民政策提言「世界の若者が移住したいと憧れる国の構築にむけて」を読む。

日本型の移民政策とは育成型移民政策である、という理念のもとに提言される政策は、日本語を学び、日本文化と共存できる外国人を「獲得」するのではなく「育成」し、日本に定住してもらおうというもの。高度人材を途上国から奪いとっても平気な顔をしている欧米の政策とかなりそのアプローチが異なる。移民増加を望む製造業者や農家のみならず、移民増加によって不自由は被むらないが、経済的な恩恵を受けるであろう中の上、それから上流層の支持もえられそうないってみれば「品格」のある移民政策である。

移民国家と日本の提言する移民政策の違いはそれぞれの国の政府間開発援助の戦略の違いと似ている。JICAとUSAIDの援助政策の違いのような、なんというか日本の「相手思いの姿勢を見せたい」ところが反射していみえる。そして日本にやってくる大分部の労働者が「思いやり」という言葉に反響できるアジアの国からやってくる。

しかし、思いやりのある画一的な移民政策を打ち出しても、受け入れ過程で外国人の給与が日本人のそれより明らかに低かったり、職場で差別されたりするようであれば、それのどこが「育成的か」と疑われてしまうだろう。そうならないためにも、国籍や民族を理由とする差別を禁止する法的措置がとられるべきであるし、職種別の最低賃金などを定めるべきである。それによって日本人労働者の賃金の低下も防ぐことにつながる。

提言の移民受け入れ政策については具体的かつ実現可能なものが多く、また問題視されてきた研修制度についても大幅な改革を迫るなど高く評価できる。一方でつけ加えてもよいのでは、とおもう項目があるので挙げさせていただく。

提言は受け入れに関する研修制度や留学生の就職斡旋、また法改正による在日外国人の定住化を推進する施策などは盛りだくさんな反面、国民(純日本人というと差別になりますが、つまり日本にずっと住んでいる日本人の父母をもった人々とでもいえばいいのでしょうか)に対する啓蒙活動や対話促進に関する施策が少ない。青少年向けに多民族共生教育を実施するというのは非常に良いアイディアであるが、成人、とくに外国人労働者の流入によって自分の職がおびやかされたり待遇が悪くなることを恐れる人々、そして移民が大量に流入してくるであろう地域やコミュニティーへの事前の対策に乏しい。この国民社会層が移民の流入量に比例して、人種差別的な過激な行動に走ることは、欧米の例をみてもその可能性が少なくない。ここをきちんとフォローしておかないと治安問題にも発展しかねない。右翼のような政党がでてきても困る。上で触れた職業別最低賃金の制定、国民の雇用確保が優先されることを明確にし具体策をとる、外国人労働者を買い叩く雇用主への罰則強化などがその対策としてあげられよう。このエリアは今までも財政難にあえぐ地方自治体にほんの少しの国の援助をつけて任されることが多かった。地方の国際交流協会などに対するさらなるサポートも求められよう。

この提言に関してはもうすこしコメントをかいていきたいと思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。