世界の移民政策、移住労働と日本

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日本での難民申請数 初の1000人突破

2008年10月02日 | ニュース・新聞記事
日本における難民申請数が急増しているようだ。昨年は800人越の申請があり、また合計で41人が難民認定を受けたが、これ以外にも人道的な配慮から他にも日本での滞在が許可された人々もいる。

今年に入って、認定率が上がったというようなニュースも耳にしたような気がするが、手元に裏付ける情報がない。

日本国内で直接難民(庇護)申請を受け付けるだけでなく、現在日本以外の国で難民として暮らしている人々に日本に再定住してもらうプログラムも試験的に始まっている。ちなみにアメリカはこのプログラムで毎年7万人近い難民を受け入れている。

難民政策と移民政策(immigration policy)は別物とする考え方もあるが、それには賛成しがたい。難民審査や受け入れ政策がうまく回らなくなると他の受け入れスキームに庇護申請者が流れ込んだり、本来難民申請の資格のない人々が申請を試みたり、システム全体に支障をきたす。難民も一定の基準に見合った外国人を日本に受け入れるという意味で立派な移民政策の一部をなす。ただ、この受け入れは日本が批准した国際条約に基づくものであり、国際的な義務を果たすという側面がある。



2008年9月19日-日本での難民申請数 初の1000人突破に関するリリース 
難民支援協会

日本国内での難民支援を専門的に行っているNPO法人難民支援協会が把握する限り、2008年の日本での難民申請数が1000人を超えたことが分かりました。1000人の大台を超えたのは日本初のことです。

グラフにあるように、難民申請数は2006年から急増し、例年の2.5倍を記録しています。難民支援協会への相談も急増し、カウンセリング実施回数は前年度比1.5倍以上となり、当会設立来初めて1ヶ月の訪問者数が100人を超えました。
 
急増により、審査期間も長期化しています。その間の公的な生活支援が限定的で、在留資格がなければ就労することもできないため、「どうやって生きていけばいいか分からない」という相談は引き続き寄せられています。

認定・不認定の結果も出ない「未処理件数」も増えています。07年末の時点で未処理件数は1235件。今年1000人強の申請数を加味すると、現時点で1500件程度にのぼっていると思われます。

それに対応し、難民支援協会では、弁護士など支援関係者の新規開拓、ネットワーキングおよび生活の保障に関する提言、および難民への理解の促進のための広報に取り組んでいます。

増加の背景には、世界各地域(特にアジア地域)での政情不安定化の影響が大きいと考えられ、また、欧米を中心とした入国管理の厳格によるケースも見られます。出身国は、ビルマ(ミャンマー)、トルコなどこれまでも多かった国に加え、エチオピアやスリランカ、ネパール等多様化しています。

また、難民申請数の増加による最も大きな影響として、申請から認定・不認定の結果を得るまでの期間の長期化があげられます。難民認定の結果を得た場合の平均審査期間は約2年です(*)が、中には9年以上かかった難民もいました。日本では、「出入国管理及び難民認定法」において、難民の生活保障についての規定がないため、結果を待つ間、非常に困窮した、不安定な状況で過ごすことを余儀なくされています。

難民支援協会は日本に逃れてきた難民の法的手続きと生活支援の両面を支えるために1999年に設立しました。申請者数の急増を受け、当協会では支援関係者の開拓に力を入れて、新規弁護士の獲得のための勉強会の開催や、医療関係者とのネットワーキング事業を行いました。また、申請期間中の生活の保障、とりわけ国民健康保険の加入および一定期間経過後の就労の許可を提言しています。

*2007年11月16日「参議院議員福島みずほ君提出難民認定制度に関する質問に関する答弁書」より



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4 コメント

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難民受け入れ態勢は? (春野ヒカリ)
2008-10-03 03:20:45
難民は、現実には徐々に急増し始めているということですね。たいへん、勉強になります。
難民支援協会は、受け入れ後の難民の生活保障(現実的には職場提供)などの支援がされているのでしょうか。
また、難民は、やはりどこかの特定の地域に寄り集まっているのでしょうか。
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難民急増とは (春野ヒカリ)
2008-10-03 03:25:53
諸外国で、どの国からの難民が一番多いのでしょうか。

さらに、現実的には極めて申請数に比べて少ない難民受け入れは、何がネックなのでしょうか。

難民支援教会に聞くべきなのかもしれませんが。
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難民急増の原因は (春野ヒカリ)
2008-10-03 03:31:02
難民急増の原因を教えてくください。

また、申請件数に対する認可件数が少なすぎる原因は?

難民受け入れ後のフォローを、政府機関は行っているのでしょうか。
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Unknown (ブログ管理者)
2008-10-03 16:20:16
難民申請の急増の背景にはさまざまな理由があります。一部あげるとすると①世界各地で難民を作り出す状況(さまざまな迫害)が続いている、②日本の難民認定プロセスの透明化が図られていることや難民以外の人道的配慮に基づいた在留を許可するケースが増えていることで申請にいたるケースが増えた、③日本でもようやく庇護申請者や難民に対する支援体制が構築され始めている、などです。

難民の支援に関しては、難民支援協会に加えて下の機関とそのリンク先も参考にしてください。

難民事業本部
http://www.rhq.gr.jp/

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