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家族がいるということ -亡くなった父-

いままで想像もできなかったけど
とうとう父が逝ってしまった

幾度となく父を恨んでいた私
気が合わないし　いつも目の上のたんこぶ

けど亡くなったいま
私は父に愛情をたくさん持っていたことに気づく
血縁でなければ　こういう感情はないだろう

嫌いだった父
いつも怒って怒鳴っていたけど
本当は私のことを想ってくれていたのだった

悲しいけれど　それがわかったのは
父が病気を患って死と向かい合ったころだった
私の看護をとても喜んでいた
そんなの当たり前なのに　こんな時しか力になれない自分
いまは「ありがとう」と感謝の気持ちしかない

不器用な感情表現しかできない男親
その理由も今となってはよくわかる
最後まで男らしくじっと痛みを我慢し貫いた父を偉いと思った


私は4人家族だった
親戚づきあいが希薄になったいま
私は孤独に生きている
家族がいなければやはりこの世ではとても寂しくて
やりきれない
家族でない人には頼めないことがたくさんあるのだった

「家族をだいじにする」なんて　どういうことかわからなかった
けど年をとってみると　家族にしか湧かない強い絆とか
愛おしい気持ちとか
とてもほかには変えられない大事なものだということがわかった
誰も本当のところ自分を心配してくれる人なんかいないんだと




お父さん　とにかくありがとう　お疲れさまでした
私は愛されていたんだね　よかった　よかった　
自分のあやまちに　いま　遅いけど　気づくことができた

許してね　お父さん
そして　お父さんの嫌だったとこ　ぜんぶ許すよ　ね

いまはどこにいるの？　お父さん
もう会えないなんて思っていないからね

2012年11月11日　父逝く