おとなりカフェ

ソーラーネットという大事業


今週、埼玉県比企郡小川町に、初めて行きました。
池袋から東武東上線急行でも1時間10分。本当に遠いところでした。
豊かな自然、佇まいに品があって、「武蔵の小京都」というのも納得の町でした。
今も小川和紙や小川絹をはじめ、建具、酒造などの伝統産業が息づいていて、特に1300年の歴史ある手漉き和紙、中でも「細川紙」の技術は、国の重要無形文化財に指定されているとのことでした。

ソーラーネットの桜井さんをお訪ねしました。
ソーラーネットは、家庭サイズの太陽光発電にかかわる技術を、主として発展途上にある国や地域の、未電化地区に移転することを目的に1995年に設立されました。
具体的には、電気を必要とする地域住民、自らが、太陽光発電を組み立て設置し、さらにはメンテナンスもできる技術を移転します。
現地で手に入りにくい資材はソーラーネットが提供し(原価と手数料のみで)、誰もがエネルギーを手に入れられる金銭的なシステムづくりや、現地の技術者の育成を支援しています。

国内においても、子ども達を中心に、エネルギーも地産地消できることの体験をしたり、それを発展途上の国々に送って、実際にその地域の仕事づくりや産業に貢献したりと、その波及効果はなかなかのようです。
http://solar_net.at.infoseek.co.jp/

山形県東根高校では、今年6月の手作り太陽電池のイベントで100枚のソーラーパネルを作り、モンゴルへの太陽電池支援を始めていますし、群馬の学童クラブの子ども達が同じようにこの太陽光発電システムをインドの学校に送っています。

また、国内においても環境教育の理解促進に、何かの追悼の意味をこめた街灯作りに、など街づくりや地域おこしのきっかけにもなっている事例がいくつかあります。


ところで桜井さんからは、もう一つ重要な話をリアルに聴くことができました。

原子力発電の問題。
私たちの暮らしや経済活動は、原子力発電なしには成り立たない状況ですが、全国に40余りある揚水発電所も原発とセットで作られているもの。
夜間に発電した電力でポンプを回し、揚水ダムに水を汲み上げ、昼になったら貯まった水を落として水力発電するのである。
つまり、出力調整できない原発の電力を使って水力発電をしている。
原発の発電コストや環境負荷などの計算は揚水発電は入っていない。

次に考え出されたのがオール電化。
オール電化にすると、従来のガスと電気を合わせた金額と比べると毎月の電気代は安くなるし、家庭内でのCO2排出は減少し、表面的にはエコだと満足する人もいるようですが、??
すべて太陽光発電等自然エネルギー由来であれば、確かに環境負荷が低くなりますけれど。

さて、なぜ夜間の電気代が安くなるのか。
発電所で作る電気が夜だけ安く作れるのはなぜ?
先ほどの揚水発電所のいきさつと同じ。
出力調整不能な大余りの電気が売れない夜間に、蓄電しきれない電気を少しでも無駄にしたくないから安くしてでも売ります。
原発夜間電力の生き残り策としてのオール電化は、最近では太陽光発電とセットにすることで、なんとなくエコ。そういう雰囲気を作り出しています。

もう一つ。なぜ原子力発電に依存することが危険か。それは生成されるプルトニウムの問題。原発の寿命がきたその後の放射性廃棄物の処理がどうにもならないこと。明らかなに負の遺産として後の世代の大きな荷物になるでしょう。

ソーラーネットには「爺芝プロジェクト」というものがあります。
「おじいさんがしば刈りに・・・」からもらった名称です。
(山に、木の実やキノコなどの食料と、燃料にする低木を集めに行く)
これは地域でエネルギーを生み出し、コミュニティ単位で資源を循環させる仕組み。
コミュニティごとに小さな電力公社のようなものがあって、その単位でエネルギーのやり取りをすします。

もちろん日本の今の生活を維持するとしたらこの仕組みは無理。
でも、その方法を実現させるべく夢をつないでいるソーラーネットと桜井さんの情熱には感動です。世界の未電化地域では、このプロジェクトが少しずつ実現し始めています。

おまけ。
小川町駅前のお豆腐屋さん「清水屋」さん、地元の青大豆のざる豆腐、おいしかった・・おからで作ったドーナツやお菓子類も。
つい買ってしまったたくさんのお土産。大満足でした。

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