この本を読みました。 7つの短編集から構成されています。
2人の息子さんの母親であり、女性でもあり、娘でもある川上弘美さんの
ご心情を思わせられるような作品でした。
前半は、大人になりかけている女の子(女性)の可愛らしい話が出てきます。
が、それだけでなく、一篇目の「一実ちゃんのこと」では 川上さんらしい滑稽実の
ある味わいがあります。
この中の女の子達も滑稽さも 熟年であるけれど川上さんの中にある女の子の部分
ユーモアのある部分なのだと感じます。
また、「夜のドライブ」は、独身中年女性の主人公と母親とのドライブを通しての
母親への思いを感じられ、また、「天頂より少し下りて」は、熟年女性の 成人すぎた
息子への思いと恋人への思いがあふれていて、これらもまた、川上さんご自身の
ご心情を投影されたような(確か 2人の息子さんは成人過ぎておられると思いますが。)
錯覚に陥いります。子離れしなくては・・でも 女性としては若くはない年齢であり模索してい
る・・そういう主人公の心の葛藤を描かれてある小説であるように思いました。
川上さんの作品は、「センセイの鞄」「真鶴」「東京日記1・2・3」「ざらざら」「何となくな
日々」「機嫌のいい犬」と読んできましたが、今後 どのような作品を書かれていくのか
銀色夏生さんの作品とともに、楽しみです。
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