<高台学会>

高台の鑑賞と研究 

事例 343

2016-09-26 16:37:42 | Weblog

1602年(慶長7年)豊前藩主・細川忠興(三斎)が開窯した古上野釜の口窯産の斑釉茶碗であります。(三斎はこの後家康によって移封され肥後に移ります)

さて、本品は見てわかるように腰の張りが力強く十二分に古格を感じる碗相であります。

釜の口の茶碗の伝世品は極めて珍しいものです。

さて常の如くひっくり返してみましょう。

高台は撥状に強く張り出しています。

全体がグリグリとしなんとも云えぬ風情があります。

高台内は藁灰が総釉となっております。 

赤く見えるところは釉掛かりが薄く土の火色が出ている部分です、とても美しい。

   人の心の有り様を示す人品という云い方があります、

   人品下がるのは充分注意ではありますが、

   人心の投影物である茶碗にも品格のあるやなしが問われます。


さてここで九鬼周造の言葉。

「人間は偶然に地球の表面の何処か一点へ投げ出されたものである。

如何にして投げ出されたか、何処に投げ出されたかは知る由もない。

ただ生まれ出でて死んでいくのである。人生の味も美しさもそこにある。」

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事例 342

2016-09-25 14:37:53 | Weblog

李朝初期碗なりの黒高麗茶碗です。

高台が高々と力強い事がわかります。

早速ひっくり返し裏返した側面からで観察してみます。

高台付け根の部分より畳付きにかけて外反し撥状となっております。

通常の茶碗というより祭器として製作された器ではないでしょうか。

高台畳付きには砂が付着しねっとりとした黒土であることが確認できます。

李朝初期の黒高麗はこのような緊張感のある品格の高い造形の魅力的なものが多いのです。


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事例 341

2016-09-12 15:35:32 | Weblog

「酒徒垂涎」桃山時代黄瀬戸六角盃です。

全体に卯の斑が出て美しい釉肌であります。

さてひっくり返してみますと、

高台脇にも卯の斑が出現しております。

黄瀬戸では高台内のお焦げを昔から見所として大層やかましく云ってまいりました。

陶磁器の焦げを褒め称え感動するのは世界の工芸文化の中で我が国だけではないでしょうか。

変な人達なのです。

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事例 340

2016-09-06 17:21:57 | Weblog

極めて稀な井戸の小さな盃です。

常の如くひっくり返します。

高台は削られておりません。

釉溜まりが青味がちでいかにも井戸らしく、

もう一度ひっくり返し中を覗いて見ます。

釉が厚く薄く中々と表情が豊かであります。

「井戸」と称しているものや井戸風なものは巷間で散見しますが(カニ風味のカマボコのようなものであります)、

誰が見ても、おおっ、井戸ですね、というものはおいそれとは見つかりません。

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