アイドルを聴け!

ハロー!プロジェクトの楽曲レビューを中心に更新中。

第15回ハロプロ楽曲大賞'16

2016-12-06 22:04:56 | ハロプロ
 ハロプロ楽曲大賞なる賞が、毎年末に選ばれています。その年に発表されたハロプロ(ハロー!プロジェクト)関係楽曲のベストを、ファンたちの投票によって決めるという賞。ファンたちが、これぞ今年のベストと思う楽曲を1位から5位まで選び、ネットを通じて投票。その総数を競います。
 私の今年の投票を以下に記し、それぞれの楽曲についてコメントを付しました。

楽曲部門

1. 吉川友 「歯を食いしばれっっ!」


 一見電波ソング風の大森靖子楽曲。しかし歌詞を読むと印象はガラリと変わる。瞳の輝きの衰えを自覚しつつ、表面ではおちゃらけて、裏では歯を食いしばる、そんな詞の主人公が、吉川友の姿と重なって見える。
 モー娘。オーデの最終選考まで残りつつも落選、ソロとしてデビュー、アップフロント所属でありながら、狭義の「ハロプロ」には入れてもらえず「チーム負けん気」なんてくくりで呼ばれながらも、一人前線に立ち続ける吉川。そう、「諦めたことないもん!」と歌うとき、吉川は立ちあがりファイティングポーズをとっている!
 アイドルラップから、「あ~ん」や「あれっ?」、果てはバレバレバレバレの連打に至るまで、ときに無機質に、ときに息遣いも生々しく、吉川は大森の癖のある譜割を見事に歌いこなす。この曲が暗くならず、むしろ妙な明るさすら感じさせるのは、「かわいいのに」を「かわうぃ~いのに」と歌う吉川の「おどけ」があってこそだ。
 今年のハロプロ楽曲、文句なしのベスト。


2. こぶしファクトリー 「TEKI」

 「『辛夷其ノ壱』全曲レビュー, track 10~12」参照。


3. Buono! 「ソラシド ~ねえねえ~」

 「ドレミファソラシドのメロディをそのまま採用している曲=名曲」という法則がある(2016年、私によって提唱された)。ビートルズの「ハロー・グッバイ」しかり、B. B. クイーンズの「ドレミファだいじょーぶ」しかり。そしてこの曲も、「ドレミファソラシド」のメジャースケールを採用している。
 再始動からの武道館コンサートで盛り上がったのもつかの間、嗣永桃子の引退発表により活動終了が予想されるスーパーグループ、Buono!の最新シングルだ。期せずして津野米咲楽曲が二曲続いてランクインする運びとなった。
 初期からBuono!のプロデュースを手掛けてきた西川進が、トレードマークのギブソンSGを手に、クリーム風のロックギターを重ねてゆく。
 ハロプロを代表する歌唱メンである鈴木愛理・夏焼雅・嗣永桃子のボーカルは、円熟の極みに達しており、もはや老舗の安心感すら覚える。曲のラストを飾る鈴木のロングトーンが、Buono!という不世出のグループの、そしてハロプロの一つの時代の、終わりを告げながら消えてゆく。
 

4. こぶしファクトリー 「This is 運命 (こぶし 2016 Ver.)」

 カバーやリミックスをランキングに入れるつもりはなかった。しかし、この曲は特別だ。
 こぶしファクトリーの1stアルバムの初回限定付録、『こぶしカバーズ其ノ壱』に収録の、メロン記念日のカバー曲。同じハロプロのグループの楽曲なのだから、同じオケにのせて、メンバーの歌だけ録りなおせばそれで済む。実際、同アルバムの他の収録曲はそうしている。それなのに、この曲だけなぜか、オケを録り直している。しかもベースは村井研次郎、ドラムスはJOE。つまり、SEX MACHINGUNSのリズム隊をそのままひっぱってきて演奏させている(ちなみにメロン記念日の原曲では、ベースにキタダマキ、ドラムにそうる透)。特に大きくアレンジが変わっているわけでもないのに、この気合の入れよう。謎だ。
 こぶしファクトリーはこの曲をライブの定番として歌っており、もはや十八番になっている。今年の7月、「アイドル横丁」ライブで、こぶしファクトリーがこの曲を演るのを観ていた。ふと振り返ると、横浜の雲ひとつない晴天をバックに、たくさんのオタクさんが、いい笑顔でジャンプしていた。今年イチ、美しい光景だった。


5. カントリー・ガールズ 「どーだっていいの」

 エルヴィス・プレスリー「監獄ロック」のイントロに、カール・パーキンス「ハニー・ドント」のメロ。ロカビリーの名曲2曲を足して割った、作曲者中島卓偉の趣味全開の一曲だ。バックでは鈴木俊介がグレッチを抱えてブライアン・セッツァーになりきる。
 そんなオケにのせて森戸が叫ぶ! 船木が叫ぶ! その後はメンバーが入り乱れての大シャウト大会だ。中でも注目に値するのは船木。声質が曲とベストマッチ、かわいらしい見た目に似合わぬロックンローラーっぷりを見せつけてくれる。
「どうでもいいことはどーだっていいの」というトートロジー。これこそロックだ!


コメントを投稿