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蔵馬(くらま)は【幽遊白書】に登場する妖怪である。
聡明な頭脳と植物を操る能力を持ち、頭脳戦から格闘戦までこなす。
普段は温厚な優男だが、時に驚くほど冷酷に徹することもある。
今回は、そんな蔵馬の物語を追う。
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蔵馬は、「妖狐(ようこ)」という狐の妖怪であった。
蔵馬は乱世のような魔界で、名を挙げ国を建てるために盗賊となった。
古代の宝具専門の盗賊である。
魔界の新興勢力となった蔵馬の盗賊団は、名を上げるために
活発に行動していた。
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蔵馬がリーダーをつとめる盗賊団には副総長がいた。
「黄泉(よみ)」である。
黄泉は常時沈着冷静な蔵馬と比べ、血気にはやり、愚直であった。
旗揚げ当初から一緒に行動してきた二人だったが、
蔵馬はだんだんと黄泉の存在が、組織に悪影響を及ぼすのではと
懸念しはじめていた。
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黄泉の切り捨てを決意した蔵馬は、黄泉に対して刺客を放つ。
組織の利益のみを考慮した蔵馬の冷酷な判断であった。
しかし、黄泉の命を奪うまでには至らず、黄泉の両目から
視力を奪ったのみにとどまった。
蔵馬は視力を失った黄泉を組織から放逐し、
さらなる組織の強化と、宝具の盗みにいそしんだのであった。
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すでに魔界では「雷禅(らいぜん)」と「躯(むくろ)」という
二人のS級妖怪による二大勢力がのさばっていた。
蔵馬が生まれたときから「魔界の双頭」と呼ばれている妖怪たちである。
蔵馬はこれ以上魔界で勢力を拡大するのは無理だと判断し、人間界に狙いを定めた。
蔵馬は人間界へと活躍の場を求めた。しかし・・・。
人間界に近づくと、そこでは新たなる敵・霊界を相手にしなければならない。
さすがの蔵馬も、魔界の勢力とは恐ろしさの種類が違う、霊界の組織的な
奸策にはてこずった。
霊界の放ったハンターにより、かなりの深手を負わされた蔵馬は
霊体の状態で人間界へと逃げ込んだのだった。
この時、すでに黄泉を放逐してから1000年近くの時が流れていた。
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人間に化けたりのりうつったりする力すらなくなっていた蔵馬は
ある人間夫婦の生命になる寸前の受精体に憑依した。
そして、人間界にて「南野秀一(みなみのしゅういち)」
として生を受けたのだった。
蔵馬は南野秀一の姿で10年ほど我慢し、妖力を回復させてから
その夫婦の前から消えるつもりであった。
しかし、そんな蔵馬の決意をにぶらせる事件が起きた。
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それは秀一が小学生の姿まで成長した頃だった。
皿の破片の上に転落しようとする秀一を、母親が手が傷つくことを
ためらいもせずにかばったのである。
人間の母親として当然の行動なのだが、蔵馬はこの母親の行動に
大きな衝撃を受けた。
母親の腕についた傷は消えることはなかった。
蔵馬は何度も母親の前から去ろうとしたが、そのたびに
母親の腕の傷が頭にちらつき、去ることができなくなった。
このとき、妖怪であるはずの蔵馬は彼女を母親として慕い始めていたのである。
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蔵馬は、南野秀一として中学三年生まで成長していた。
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ある日、蔵馬はクラスメイトたちから奇妙な噂話を聞く。
蔵馬が秀一として暮らすこの町の失踪者の数が最近増えているのだという。
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少々の懸念を抱く蔵馬の前に、以前、蔵馬が半殺しにした
「反吐鬼(へどき)」という下級妖怪が姿をあらわす。
反吐鬼は蔵馬に報復を宣言し、去った。
その態度から、蔵馬は、反吐鬼が強力な妖怪の配下についたことを悟った。
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しかし、蔵馬は反吐鬼と会話しているところをクラスメイトの
「喜多嶋麻弥(きたじままや)」に目撃されてしまう。
その上、霊感が強くてオカルト好きな麻弥から告白までされてしまうのだった。
蔵馬も麻弥に惹かれるところはあったが、自分の近くにいることになると
危険に巻き込んでしまうということもあり、その告白を素直に受けるわけには
いかなかった。
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そんな折、蔵馬は刀を持った小柄の妖怪に攻撃を受ける。
反吐鬼とは違い、強力な妖力を持った妖怪である。
しかし、彼は蔵馬を「八つ手(やつで)」という妖怪の手下と
勘違いをして攻撃をしてきたようで、すぐに誤解は解けた。
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妖怪の名は「飛影(ひえい)」といった。
蔵馬がまだ魔界にいた頃、名を聞いたことがある妖怪だった。
飛影は深手を負っていたようで、蔵馬は薬草で飛影の手当てをする。
飛影は手当てを受けると、すぐに八つ手の討伐へ向かった。
蔵馬は最初、八つ手と戦うことには気乗りはしなかったが、
麻弥が八つ手に囚われたという情報を得ると、飛影と共闘して
八つ手を討つことを決意する。
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八つ手は強力な妖怪であったが、飛影との協力によって
撃破することができた。
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八つ手に囚われていた麻弥を救出すると、
蔵馬は麻弥に記憶消去の花粉をかがせる。
これで、麻弥が抱く自分への想いもすべて消えることになる。
蔵馬は、これでよかったのだと思った。
蔵馬の人生の重大な転機となる「浦飯幽助(うらめしゆうすけ)」
との出会いは、これより一年後である。
次回へ続く
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