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And This Is Not Elf Land

GYPSY


夢を追い求めることができる人は皆「女神」なの!
Broadway バンザ~イ!

1959年の初演以来、リバイバルを重ねているクラシックな人気演目GYPSY。初演は、あの伝説のEthel Merman主演で上演されました。その後も何度もリバイバル上演され、人々に愛され続けてきました。2003年のBernadette PetersはMermanを超えたとまで言われています。

さて、今回の主役、伝説のステージママ、ローズ役はPatti LuPone!

日本では、Pattiはどの程度まで知られているのか、私は良く分からないのですが、こちらでは押しに押されぬ大スターであることは間違いなく、登場するだけで大喝采がやまず、実際、私も「最後に彼女と握手するまでは帰らない!」と思ってしまいました(結局は遅くなりそうだったので帰ってしまいましたけど)

彼女の実力については、今更言うまでもありません。「日本で、彼女に匹敵するミュージカル女優がいるか…」なんてことも、日本の女優さんを全員知っているわけではないので断言できませんが…でも、そういう考えは持たない方がよさそうですね。とにかく、ホントにいいものを見せていただきました。

さて、このGYPSYは内容を考えても、中年男性の観客が多いんじゃないかと予測していたのですが、実際には「中年男性」どころか「お爺さん」が多かったですね(笑)旅回りのボードヴィル・チームを率いていたローズには二人の娘がいて、子役の頃からスターとして活躍していたジューンは、やがて母に反発してチームを飛び出して女優になり(June Havocがモデルとなっている)、それに反して、不器用で冴えなかった妹のルイーズはやがて、伝説のスト○ッパーGypsy Rose Leeとなる。

とにかく、いきなりステージいっぱいのフルバンドで奏でられる懐かしい音楽の数々、劇場全体がノスタルジックな雰囲気でいっぱいになりました。

そして、ジューンの子役のSami Gayle!
「末恐ろしい子役」…とはこういうお嬢様のことを言うんでしょうね~?歌も踊りも演技も完璧。まだ、生まれて10年も経っているか、いないかでしょうが…どうしたら、あれだけのものが身につくんでしょう?
「天才」ですね…

とにかく、前半は、天才的な子役スターに随分盛り上がります。勿論、主演のPattiも、彼女の個性でもある「可愛らしさ」が、あの強烈なキャラクターを上手く中和しているようで、好感度の高いローズになっています。ハービーに色仕掛けで迫るところなども、全然いやらしくなく、むしろ可愛い。

また、この日はSt. Patrick’s Dayでもあったことから、「緑」が良く使われていましたね。ガウンとかマフラーとか…「普段は、あれ他の色でしょう…」みたいな。Broadwayでも、昔から、たくさんのアイルランド系の人たちが活躍しています。ユージン・オニールとか(とりあえず、思い浮かんだ名前を挙げてみました…笑)

さて、このGYPSYは音楽もストリーもシンプルだし、英語も分かりやすくて有難い。古きよき時代の素敵なショーであると言えるでしょう♪

とは言ってもですね~、このローズって…考えようによれば「ろくでもない母親」ですよね、いやホントに!ああいう人が、ホントに自分の親だったら「災難」だとしか言いようがないよ

自分の夢のために子どもたちを振り回し、子どもたちに必要な教育も受けさせず、かといって、社会状況や時代の趨勢を的確に読んでいるわけでもない。(どっちかと言えば、極度のKY)恐慌の時代に、それも時代遅れなボードビル・ショーにこだわっていたこと自体にも無理があったし。

でも、このGYPSYと言う演目自体、このどうしようもないローズをとことんまで愛し抜く話なんですね。彼女は全く否定されないし、断罪もされないし、それどころか、まだまだ心の自由を謳歌し、夢を見、人生を謳歌する幸福が与えられている役どころ。

昨年公開されたフランス映画「エディット・ピアフ」(オスカー主演女優賞も取りました)を観たときも「ああいう人物をとことん愛せるフランス人は凄い」なんて思ってしまいましたが、今回も同様の思いでした。

「こんな、ローズお母ちゃんを愛せるアメリカ人は凄い…ていうか、ついていけない(笑)」

ハービーは彼女の印象をこう語ります。
「もう未開の土地なんてないのに、開拓者精神を忘れないような人だ」
娘のルイーズは言いました。
「ママのように『求める』ことが(『ストレス』じゃなくて)『リラックス』につながる人なんて他にいないの」

まさに、アメリカン・スピリットですね。

しかし、こういうのが賞賛されるのは「ミュージカル」の世界だけに留めておいていただきたい(笑)

なんて余計なことも言いたくなったりするわけですが

でもねぇ…どんな夢でも実現できそうで、望むものは何でも実現しそうで…夢をとことん追い求める人を、どこまでも後押ししてくれるところがBroadwayなんですよ!

皆さんも、BroadwayでGYPSYをご覧になって、たくさん夢を見て、幸福な人生をどこまでも追い求めてください。それが出来そうな気持ちにさせてくれるショーです。

GYPSYはBroadwayそのもの!!
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