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And This Is Not Elf Land

Coming Through the Rye

J.D. Salinger'The Catcher in the Rye', 野崎孝訳『ライ麦畑でつかまえて』,村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』


16歳の少年、Holdenの言葉は不思議な宇宙空間。

かれの言葉には三つの段階があるんだと思う。

思いを「かたち」にしようと、あえぎながら生み出された言葉→
やがて、その言葉が独り歩きを始める→
そして、遠くへ行こうとする言葉に、がむしゃらに自らを当てはめようとする。

その先には何が待っているのかな?

最近になって村上春樹の新訳が出て話題になった。
野崎訳のHoldenは「反逆児」のイメージがあって、たしかに、言葉遣いも古臭い感じがする。
村上訳は、ま、今の時代の人間にもイメージしやすいHoldenになっている。

村上訳を読んで、「少し安心」(!)できた部分もあった。
でも、よく読んでみたら、「言葉とselfの関係の変容」がわかり易いのは野崎訳だ…との結論になった。

Holdenの思いがよくわかるchapter24。
かれは恩師だったAntolini先生に会いに行く。
HoldenはOral Expressionの単位を落とした話をする。

↓(以下、私の{毎度の}テキトーな訳)

「Oral Expressionでは、ひとりずつスピーチをするんです。即興みたいな感じかな。で、ちょっとでも話が本題からはずれたら、ほかのみんなは、できるだけ早く「逸れた!」って言わなきゃいけないんです。それって、凄くムカつくんです。で、Fしか取れなかった。」

「その「逸れた」っていうのがイラつくんです。わからないけど。つまり、逸れた話をする人って嫌いじゃないんですよ。そっちの方が面白かったりして。」

「いや、要点を逸らさずに話す人って凄いと思う。でも、あんまり要点にこだわりすぎる人って嫌いなんです。」

「でも、僕が言いたいのは、たいして興味もない事を話し出してみて、はじめて何に興味があるのかわかるもんじゃないでしょうか、だいたい。」

※...lot's of time you don't know what interests you most till you start talking about something that doesn't interest you most.
原文のリズムはいいね。

「それはどうしようもないことでしょ。つまり、だれかが少なくとも面白い話をしていて、本人もワクワクしながらしゃべっているんだったら、好きにしゃべらせておくべきじゃないですか?僕は何かに興奮している人って好きだけどね。」
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