06/09 頭の体操 (106) 漢字クイズ
これまでの『音楽演奏・体の運動』目録 です。
(5) スタカーティシモ (O) 酢多過低下
スタカートって、どうやって演奏するんですか?
「書かれた音符の、1/2 の長さで演奏します。」
じゃ、スタカーティシモは?
「…1/4 の長さで…。 四分音符なら、16分音符だ…。」
?? どうして最初から16分音符で書かないんですか?
「……。」
スラーと一緒に書かれた、スラー スタカートは?
「………3/4 の長さで…。」
じゃあ、どうして…。
以上のうち "1/2 の長さ" は、楽典の教科書でも見かける
もので、音楽学校でも堂々と教えられることがあります。
この場でも何度か扱ってきましたが、音の "有無" を問題に
するだけでは、スタカートは決して処理できない音符記号です。
関連記事 『スタカートの誘惑』 など
(11) トーマス君 (F) 父増訓
Violin、Viola の楽器には、肩当てという備品があります。 楽器
を "持ちやすく" するためで、色々な商品があります。 楽器の裏
にブリッジのように取り付けるのが普通です。
使い心地には大きな差があるので、各々が自分に合ったものを
楽器店で探します。 私も何十年か前に、ありとあらゆる物を買い
集めました。 しかしそのうちに気が付いたのは、顎当てによって
も、弾き心地が違うということです。 こちらは楽器の表面に取り
着ける備品。
楽器職人さんたちがよく言うのは、「その材質や重さによって、
楽器自体の振動が変わる」…という現象です。 なるほどね。
しかしそれは、弦が一旦振動してしまってから後の話です。 私
が問題にしたのは、その前の段階。 通常は "テクニックの練習"
で処理すべき事柄です…。
顎当てには様々な形状があります。 厚さも違えば、取り付け
位置にも差がある。 私が気付いたのは、同一の顎当てでも
「取り付け位置次第で、結果に大きな差がある」…という事実
でした。 左⇔右、奥⇔手前。 たった1㎜ずらすだけで、音量
にも音質にも、また左手の機能にも、恐ろしいほどの差が生じた
のです。
「こりゃあ、少しでもいい条件でさらわないと、時間と努力が
無駄になるぞ!」
以来、今度は顎当ての買い集めが始まりました。 手元の
Violin、Viola に、色々なものを取り付けての実験です。 特に
4台の Viola は、大きさや厚みが様々で、試すのにも時間が
かかります。
「ここの出っ張りは、無い方が弾きやすいんじゃないか…?」
そう思うと、邪魔な膨らみの部分を削り始めます。 木工やすり、
プラスチック用やすり、時には鋸まで用意して。
気が付くと、いつしか自分で試作を始めていました。 材料は
既成の商品の残骸、アクリル樹脂など。 もっとも苦労したのは
楽器への取り付け方。 既成の金具を用いても、それを自分の
"作品" と一体化するのは、いつも至難の業でした。
そして、色々なパッセジを弾きながら、試行錯誤の連続です。
高弦は弾きやすいが、低弦はやりにくい。 高いポジションは
いいが、低いポジションが駄目だ…。 音質も大問題です。
裏側の肩当ての方は、元々薄いものを好んでいましたが、
これはさらに薄くなって行きました。 エアクッション式のもの
だったので、空気を抜けば調節できるのです。
そんなことをしているうちに、30年があっという間に過ぎ去り
ました。 さて研究の成果は…? 最後の作品は、厚さが1㎜
の、平たい板になっていました。
「なんだ。 これじゃぁ、無いのと同じじゃないか…。」
楽器の奏法自体には、以前とそれほど差がありません。
「その弾き方が、もっと楽に出来るようになるには、どうしたら
いいか?」
「それを見つけるために、人体実験を30年間続けていた」…
と言った方が正確でしょう。
一時は、出来た作品を実用新案で出願し、審査に通ったこと
もあります。 しかし認可された頃には、私自身も変わっていま
した。 "自分が進歩した" と言えるのかどうか、とにかく "作品"
の不備に気付き、結局無駄になったのです。
これ、金儲けと言うより、「自分の思い付いたものを他人に盗用
されたくない」…という思いが強かったからです。 商品化しても、
それほど売れるはずがないと思っていましたし。
現在は、顎当ても、そして肩当ても、まったく使っていません。
その代わりに、100円ショップで売っている商品が一つ。 私の
最高の武器です!
「じゃあ、30年間も無駄をしただけじゃないか。」 そうお考え
ですか? いいえ、「顎当ても肩当ても無くていい。」 「むしろ
無い方がいい」…ということが解っただけで、充分なのです。
上記のエジソンの解説サイトのエピソード欄には、次のような
一節が後半で見られます。
『数千回の実験を行い、その全てが失敗に終わっても、彼は
これを決して無駄とは見なさず、「実験の成果はあった。 これ
ら数千種類の材料が全て役に立たないという事が分かったの
だから」と語っていたという。 因みにエジソンが生涯で最も
手間と費用をかけた発明は自動車用のアルカリ蓄電池で、
これを完成させるまでに5万回を超える実験を繰り返したと
語っている。』
これ、私にとっては、"父マス訓" ならぬ発明王の、貴重な訓示
となりました。 自分の演奏は30年前よりは、ずっとマシになった
と、勝手に思っています。 幸か不幸か。
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