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あさくささくさく

06年2月、浅草にひっこしてきた。

あけのふぇらがも

2010-01-08 03:26:50 | 通行人
東京に向かうスカイマーク008便、3人席の真ん中にすわったわたしの後にやってきたのは、ふわふわジャケットを羽織った茶髪女子(左)と小顔ストレートロングの茶髪に大きな丸いサングラス&白いコートにオープントウのフェラガモ履いた20代半ばのモデルみたいなおねえさん(右)です。ふたりともこぎれいだったけど、この説明の長さとわたしの関心度はぴったり比例していて、わたしはそのぴかぴかキレイな右ねえさんが気になって気になって、窓の外見るそぶりでこそこそ。サングラス越しの顔ってまぶたの状態がわかりにくくて遠慮と好奇心のハザマで苦戦する。しぜん、古い赤ワインみたいな朱色のつやつや靴をおもに見ていた。眠る態勢をととのえるおねえさんはじきにその靴を脱ぐんだけど、じゃっかんハンマートウの足をつつんでるストッキングがなんかもー上等で、これまたどれくらいの時間をかけたのか、わたしはみょうにすてきな肌色ストッキングの足先をじーと見ていた。ここまで書くとわたしはただのへんたいですが、まぁその間に手帳をひらいたり機内誌を読んだり(両側のふたりは何をひらくこともなくひたすら眠りこけ、左ちゃんは思い出したようにポカリを飲み《上空高くなるとペットボトルはあけにくそうだった》食べ残しのじゃがりこのカップに指をつっこんでいた)いったん眠りに落ちてあわてて現にかえってきたりし、寝入ってしまった右ねえさんの、キレイにしか見えない顔はパーツいかんではない、その不思議をしっかりたんのうした。
着陸前に右ねえさんの眠りは背もたれを倒した深い深い淵のなかにあって、きゃびんあてんだんとがいくらオヤスミノトコロシツレイシマスオキャクサマオキャクサマしまいにはぽんぽんとんとんたんたんてんてんたたけどつつけど爆睡。んじゃってんで制服嬢はボタン、わたしが右ねえさんの背もたれに手をやってよいしょと椅子の背を起こしたら、右さんムチウチみたくビクンとしたけど目覚めにはいたらずこんこんと眠っておった。
ガタンと着いた頃にはわたしも満足し、後も見ずたったか降りて京急線にゆられて目指す新橋、の手前、急に乗客の少なくなった車内ではたと目をやれば、斜め前に座っていたのはさっきの右ねえさんであった。あらぐうぜーんとよく見ると、その隣には、これまたモデルにしか見えない装いの甘いマスクの優男。甘いマスクの優男としか表現のしようがないその若いおにいちゃんは、もうわかりやすく右ねえさんに夢中であり、不必要に右ねえさんにさわってはきゃっと手を離し、もう絵に描いたように右ねえさんの一挙手一投足にふわふわ浮かれて幸せそうなのだった。のわりに右ねえさんのテンションはロー、とてもロー。彼氏じゃないのか?車を持たないあっしーくん?空港まで出迎えるって時間も体力も若さがあるうちのたのしさですけど、右ねえさんの表情はいっこうに晴れずシビトのような静けさであった。ビジンっちゃそんなもんかネーと考えていると、ふたりは新橋のひとつ手前で席を立ち、優男はできすぎなくらいにかっこよく彼女の荷物を肩にいくつもしょって颯爽と降りてった、で、右さんはその後ろからあのきれいなフェラガモ足を左一歩、右を一歩と出……?????
右のヒールが忽然となくなっていた。右ねえさんは、そんな、右のヒールがまるごとないなんて話はまるでナイみたいなふうに、左と同じ高さに右足つま先立って、おりてった。飛行機に最後に乗り込んできたくらい急いでいたからああなったのか、それとも足のアクシデントがあったから遅くなったのか、それとも、彼との待ち合わせを電話で打ち合わせているうちに出発の時間が刻々と迫りあわてて駆けてすっころんで――彼女が機上の人だった1時間半に、優男は完璧な身づくろいと待ち合わせに間に合うようにスケジューリングしていたのだなぁどんなにいそがしくても好きな相手には時間を割くもんなぁ幸せな恋人たちだなぁ熱愛時間が済んだらあのふたりはどんなことしゃべるのかなぁなんてあわててほかのいろんなこと考えてみたくらい、見ているわたしは驚いて、でもやっぱりキレイな人はなにしたってキレイだとおもった。わたしも半年くらい前、全力疾走してたら茄子くらいの太さの5センチヒールをぼっきり折っちゃったことある。でもあの靴は黒かったもんな。え?

下北ザワザワ、楽園、おしゃべり

2009-08-19 02:25:45 | ゲージツ
日曜に見たお芝居は下北沢の、地下にあるちいさな箱・楽園。どんな芝居かも聞かず誘われるままのこのこでかけていって、知り合いがでてるからご祝儀だとおもって買ったんだ、とチケットを渡されたのは現地。もとから演劇は当たり外れが大きいものだと思ってるし、幸い上演時間が1時間と短く。演劇部の学生みたいな発声、苦手な早口ではじまった舞台、えいままよと見始めたらこれがとってもおもしろかった。「おしゃべり」というタイトルをなぞるように、マンツーマンの英会話レッスン、主婦4人の雑談、高校教師の母と高校生の娘、特別な掃除のバイトをする高校生と教師、それぞれの会話がすごく小気味いいリズムで、願いと皮肉、現実と未来、自分の持ち物と友だち、なんてものをおしゃべりに折り込んで気持ちよく進んでいく。この4組がちょっとずつ重なって暮らしていて、最後にはある出来事からひとつの世界に結びついていくんだけど、笑いを大事にした話だったし(あとから考えると、登場人物がけっして愚痴らないのが一番の満足ポイント)役者さんたちがすごくよくて、つまらない小劇場でありがちな~目の前の役者の情熱にへきえきするということがいっさいない、いいものがみっちり詰まった1時間だった。見る前に読んだパンフレットに、脚本を書いた人の「ゆっくりお楽しみ下さい」って言葉が載っていてうへぇと思った(学生時代、帰省から戻った部屋で留守電を再生したら知り合いから「…声を聞いて楽しんでください」と何度もふきこまれていたトラウマからくる反射的な自己防衛本能)けど、見終わったら、そうか、この人ちゃんと自信があったんだな、と納得した。つくる人も見る人も満足できるってしあわせなこと!

スイートなことになるはずのハグが、相手から好みじゃないにおいがして、ア、判断ミスーうすうす思ってたけどとか思いながら身を離したところに鳴り響く携帯の黒電話サウンド、今朝の夢に幕。予定時刻からぴったり1時間が過ぎていて、本日の開口一番はスミマセンスグイキマスです。3時に起きて昨日の夜ミスした食事をとって、古新聞まとめて古紙回収に…ついでにきょうの新聞も入れちゃえ~と読んでる途中で夢劇場に入っていた。

スパイク・リー新作

2009-08-02 18:14:11 | ゲージツ
「セントアンナの奇跡」のフライヤーをみて、ハートウォーミングなヒューマニズムぎゅうぎゅうフィルム?とどきどきしながら見てみたら、やっぱりスパイク・リーだった。殺されることと生きること、白い人と黒い人、男と女、恋と性欲、そういう大人社会やヒトの人生を牛耳っているくさぐさぜーんぶ、イイもワルイもあるもんか、どれもひとしい重さで存在しとうとよ、この世界はこーゆー要素でかわらんとよ、って打ちまくります。おどされてもすかされてもあっけなく終わるこの命、ずるいカワイイエログロ美しいドロドロってのが正体だとふまえたうえで、よし、そんならむしろ生きようじゃないのって、口から胃袋まで一直線にクダをひろげて、てんこもりな濃縮世界をのみこみました。コドモはかわいいしファンタジーもふくんでいながら、ぎっしりみっちり腹持ちがします。

そして(ここからいっそうチカラがこもります)メインで出てくる黒人歩兵たちがと!に!か!く!男前。ハンサム。いい男。ぐっとくる。ぬぎたい(とだれかが言っていた)。眼福も眼福、数日間ぼーっとしちゃったくらい、超、ビューティフルガイズ。ラブとブラのホックはベツモノなのよ(とだれかが言っていた)。

とにかくヒトがふっとばされ打たれまくって死にまくる~ので戦争ものとカテゴライズされるだろうけど、ずいぶん前に見た「麦の穂を揺らす風」の、みているおまえもこのいたみをわかりやがれこんちくしょう的映画なんかポイだ。スパイク・リーだもの、人種差別だ戦争だフリンだプリンだ、とそうやすやすとは消化できないことが詰まっております、だけど歩いても走ってもあっけなく死ぬんだからぎっしり生きようぜ、だ。精神力だか体力だか、総力をあげて見るカチ有、とわたしはおもったけどどうでしょうネ。

三社祭の翌日は振替休日なんですあんです

2009-05-20 05:38:07 | ASAKUSA
「あんです」のずんだあんぱん。上京初日の母にむりくり食べさせたらあっさりヒット、さらに一口食べるごとに走者は塁を進み、あげくのはてにゲームを決めたクリーンナップの一打はスタンドに飛び込むホームラン、ではないよ劇的な満塁さよならランニングホームランだよ...という具合にのぼりつめる恍惚ずんだ、観客総立ちです。自慢ですけどこの1週間でわたしは信者をふたり増やしました。そのうちのひとり、母、九州に帰る間際にスーツケースを引きつつ、しっかりあんぱん用のマイバッグを手に提げてあんですを訪ねたもんですから、まさかの休業で絵に描いたような落胆っぷり。わたし、笑いをぎゅっと(自分のももをつねり)こらえる。よもぎのうすみどり、うぐいす色のマメマメ餡、ぎっしりのずっしりの寄せては返すずんだウェイブはもはや理性を破・壊・す・る。三社祭のあいだ、屋台の森をごったがえしていた人波もまた、あたたかくて平和な食欲だったなぁと余韻にひたっております。

ハクモクレン

2009-03-16 20:44:51 | ASAKUSA
白木蓮、3メートルくらいのも、その3倍くらいの丈のも、清澄通り沿いに一斉放花で春がきた。青空の下の白い花の下から写真をとったら、トリが2羽、花のあいだをころげまわるように遊びにきた。それからてくてく隅田川にあるいていったら遊覧船、屋根に白人の団体客をわんさと乗せて水面きらきらの上を走ってく。橋を渡るおばさんに手をふる白人たち、両手をぶんぶん振って光のつぶがちらちら舞って、おばさんもつられて手をふったんだ照れながら。冬服のおばさん、歩きながらちゃんと手をふったんだ。ことしの春は身にしみる。だれかをすきになったらこんなに世界がまぶしいってひさしぶり。

一日一鯛

2009-02-04 21:44:10 | 口福alcool
豆まきを済ませた後の浅草寺は、アスファルトに思いっきりきなこまきちらしたような具合。きのう。きょうもかすかにきなこのにおいが。春なのでした。

わたしはたいやきの日々。四谷に用事があって、そういやここらに有名な…と探した店わかば。平日の昼下がりにおじさん7おばさん3くらいの割合で常時15人くらいの行列。それがいっこうに縮まらないったら、皆さん堂々と仕事さぼりすぎ! 「あ、クルマで待ってて」とかスーツ姿のおじさんが部下に堂々と言ってました。他のヒトたちも、ぎっしり堂々と領収書切りまくり! スーツ姿のおじさんが両手に1万円ぶんのたい焼きぶら下げていようとは、四谷の外に出ちゃえばわかりゃしないだろなぁ。お手提げの紙袋は60円から、別途御代を頂戴いたします。景気のイイ人がくるんだか、ここに来るから景気がよくなるんだか。

本読みかけるんだけど、焼いてるおじさんおにいさんの手元が気になってしょうがなくてそれどころでない。あんこ多っ。皮薄っっっ。3日連続で観察したところ、焼くのが上手なのは、背が高くておしゃれメガネをかけた若いお兄さんでした。油のひきかたが丁寧だなぁあんこののせかたが上手だなぁと思っていたら、型をひらいただけで焼き上がりのたいがするんと出る。他のおじさんは軍手でちょこちょこいじって外すんだけど、このお兄さんだけはほぼかんぺきに、するりん。自分がたい焼き焼かせたらうまいかどうかなんて、やってみなくちゃわかんないよなぁそれともこのひとは、あ、おれ向き。とか思って就職したのかなぁなどと考えます。夏もがんばってね、天職は出会いもんだね。焼きあがったたいは一尾ずつベルトで運ばれてって、鋏をもったおじさんに輪郭からはみ出たとこをチョキチョキ切られます。惜しいようだがさすがに美しい。初日、熱々を食べる。店内に「男は頭から女はしっぽから」ってなポスターが貼ってあったけど歩きながら食べるわたしはだんぜん頭から(2日目から)。皮がぁ世間一般のたい焼きとはぜんぜん別物の、ねっちりのうっすら、かりっ、ウマっっっっっ! 餡の塩気がけっこう、ン???と判然としないうちになくなったので翌日またチャレンジ。最後の一口を飲み込んだとき、2尾目にして完全にわかばの術数にはまったことを悟りました。3日目は完全に麻薬状態。店の入り口には「お土産にたい焼きは嬉ばれます 店主」みたいなことが筆で、カレンダーの裏白紙に書いて張り出してるけどいまさらわるい冗談はやめてくれ、です。ゆかりは知らんが、店頭にはオテルドミクニの割引券もとり放題。店の中にある一枚板の看板は、どうみてもたい焼き型なので必見です。HP参照。

ローストビーフ

2009-01-24 02:10:01 | 口福alcool
おいしいにくを買う。めーじやで週末だけ売っている、岩手牛のローストビーフであります。初めて食べたとき、あーわたしはこのにくがこの世に生きるわたしの手のとどくところにあるという一点だけで一週一週を生きていける、とおもった。ひとくち食べて絶句して、あああああというきもちなのにその「あ」と口をひらくのが惜しくてンググググとしかならなかった。だいたいわたしはローストビーフが、家の外でたべる一番好きな洋食と言ってもよく(適用ルール:一番はいくつあってもよい)、うやうやしく捧げ持ってこられるうつくしい一皿よりも、同じサービスの人が、あローストビーフねはいはいはいはいっつって持ってくるコンサバ上等ローストビーフ、裏も表も丸見えで、裏も表も同じ味の、にくいろをしたにくを、何回たべてもたしかにかわんないおいしい味のにくを愛している! 薄いにくひらを切りわけて口に運ぶうちに、だんだん残りがへってくる、切るわたしのナイフの先がだんだん弱気になって、ちょっとでもこの時間を長引かせようとするからわたしまでちょっと言葉少なになるじゃないか。わたしがつのらせているのは、美食への思いというより、信頼したがるきもちをまるごと預けられるようなおいしさを渇望するきもちであって、そういうわたしにとってのローストビーフ、です。

で、本日ひさびさにそのめーじやローストビーフを買ったという話。パックにうつくしくならんだ6枚のにくひら。なんだかさっぱりしてておいしかった――前回はもうひといき脂肪があって、あああアメリカではたべられないわよねぇと口々に言い合ったけど。いきものだものねーいろいろだわよ。じぶんで買ったので当然自分で金額見てじぶんでおかねだした。あとでよくよく考えると、わたしがふだん生協から買う米沢鶏のン~倍で、クヲンティティよりクオリティが信条とあらまほしき生協が誇るローカル銘柄牛をもってしてもその2倍です。そして、今回はヘルシーテイストの巻でしたー!となると、脂肪のあまさを期待していたぶん冷静になりまして、はたと、わたしのすきな米沢鶏も、この岩手牛も、おなじひとつの命なのにねーとおもった。で、あーそりゃエサもいっぱいたべるんだから牛は経費もかさむわ手間もかかるわ、とすぐ納得して、でもおなじようにエサたべて消化して栄養をじぶんのなかにとりこんで体うごかすエネルギーに転換して、超神秘的な円環活動の一員という地平じゃなにもかわらない命なのにねー。となってそれから15秒くらいまた考え、しんだら命はモノになるから、そしたら経費を計上してよそと取引できるようになるんだねーという結論にした。命はとまるとモノになったカラダをのこしてどっかにいく。しんだあとのカラダは立派にモノなんだもの。命のゆくえはさておくとして、命はとまったらロマンをおえていいんだ。煮て食われようが焼いて食われようが、おとなしくただくさっていくかそれともお骨ひろわれるか、たどる経路はどうであれ次のレベルに移るとき、それはもう他者のフィクションにのみこまれていくだけなんだ、と納得したんです。どれだけのお鳥目が動こうが、うしのにくはわたしのなかにとりこまれたというわたしの物語なのです。

雑誌モード

2008-11-08 19:11:08 | ヨンダキイタ
なんとなく買った雑誌が、写真の組み方といい、判形といい、紙質といい、とてもなつかしい感触。なんだっけ?と記憶をたどったら、「SINRA」のかたちに行き着いた。「SINRA」といえば、アーミッシュ取材のルポで、質朴なこどもら、馬車、じいさま、凝らない大皿料理などなど、とてもやわらかくすてきに映っていたのが忘れられん雑誌。岩合さんのあれこれをはじめ、ほんとうに写真を生かし、写真に生かされた誌面がだいすきだった。で、しらべてみたら今回買った「考える人」の出元は「SINRA」と同じ出版社で、編集長は「SINRA」出身のひとなのでしたー。「考える人」は硬めで、文章量も多くて気持ちがいい。食べ物のページがなあなあのレストラン情報じゃないのも気持ちがいい。文学、サイエンス、漫画って並べて書けば総花的だけど、それでも、新聞でもなく本でもない、雑誌ならではの幸せなかたちになってるぜ。ひさびさのB5判、厚くても誌面を広げたときにページがだらーんとならないから、読んでる世界を手でちゃんとつかんでる気になるぜ。そうしてなぜか「スカイワード」と「翼の王国」も読みたくなった。あららー雑誌アンテナ3本立ってますよ!

お酉さん

2008-11-06 00:14:21 | ASAKUSA
本日11月5日酉の日、オオトリ神社はたいへんな賑わいの24時間であります。
きのう夕方、おしるこ食べに入った店で、だいたい昔のお酉さんはもっともっと寒かったもんだけどねぇってな話を小耳にはさむ。店主はヒがもれなくシに変換される江戸っ子で、その寒さを評して、風邪をしいちゃうくらいのねぇ、といった。そうだそうだ熊手の日だっておもいながらおしるこすすって、きのうは断水だったので、早めにねること夜の11時にはおふとんのなかである。が、だいたいその頃、夜中の0時からオオトリ神社が盛り上がってるなんてちぃとも知らなかった! きょうお昼前に乗ったタクシー、ワンメーターの客相手にめずらしく話しかけてくれる運転手さんで、いまお酉さんに行くお客さんのせたけどぉきょうの0時なんて混雑してましたねぇって早速リアルタイムのローカルトークだい。いまも混んでたけどねぇだいたいこれくらいの大きさの(信号待ちだったのでハンドルから手を離して大きなわっかを作ってみせてくれる)が2~3万円でよく売れてるってテレビで言ってたけどさぁ、誰も、そんなの持ってるしとシトリもいなかったねぇ~ってやっぱりヒがシである。その運転手さんも、前だったらお酉さんの時期なんてこーんなに着込んでたってみんな言ってる(これもジェスチャーつき)!といっていた。そうさな、やっぱり浅草界隈にいてお酉さんに行ったことないなんて恥ずかしか、そんで今年もスルーかな…とぼやいて、運転手さんからいやいやことしはあと二の酉三の酉まであるから行ってみてくださいどーぞどーぞと見送られて下車、そっから電車にのってしばし遠征。完全に忘れていた。帰ってきたの夜9時前、ふふふ~んつって飲み行って、一見さん2組とちょこちょこ話して、お酉さんが混んでて~って話しだしたお店のひとから、お酉さんの熊手はネ、ぼかぁいつもお守りとか売ってるとこの千円のでネつってなんたらかんたらあーだこーだ言っていたら、来た、こんどは熊手が来た。鷲神社ってでかでかと入った袋、もちろん熊手入り、すてきな七福神の、じぶんの名前を入れてもらうと、ご祝儀ちょうだいしますって言われて千円ぷらすして置いてきたわヨ!っつうおねえさんとホストばりのハンサムがやってきた! 店主とわたし興に乗る。その熊手の出店はあれとかこれとか有名どころの名前がすっごく多い、いっちばん景気のよさそうなとこだったんですと。そのおねえさん、そのちょいと先にあった招き猫つきの熊手がよかった、あーいろいろ見てから買えばよかった、と若干しょげとった。だがおねえさんがお手洗いに立ったあいだ、ハンサムもまたボクなんか稲穂のついた千円のでいいんで…とゆーんで、もはやわたしとわたしの財布は勇み立った! 懇切丁寧な道案内をしてもらって、やんややんや店を挙げてのいってらっしゃいみてらっしゃいのファンファーレ、見送られたら国際通りを一直線。途中、5分も行かないうちにでっかい熊手を肩にかけてるおじさんを見かける。そのおじさん、近くの大きなおにいさんになにやらしゃべりかけていたので、そのお話が一段落するのを待ってから、つかぬこと伺いますがその熊手おいくらですかと訊いた。や、や、これ3万円、今から行くの?一緒に行ってあげよっか?ホントに行ってあげよっか? よっぱらいのおじさんはとても親切である。屋台はきらきら、21世紀の今日も「神秘の名前占い」のブースに若いカップルが張りついていたり、テキ屋の痩せたしゃくれのおにいちゃんが客でもない人にていねいに道をおしえてあげていたり、そしてわたしは帰り道にお好み焼き買おう、べびーかすてらたべたい、とかおもいながらひたすら前進。するってーとー今度は、でっかすぎてもはや七福神かサンタクロースのずだぶくろみたいな熊手を持ったおじさんに行き合う。や、や、や、つかぬこと伺いますが、そのおおきな熊手はおいくらでしたか。おじさん、むっつり黙りこくったままこちらを凝視、歩みをとめないまましらーっと通りすぎ、るかとおもった瞬間ぽつり、ゴマン。ゴマンって5万。5まんえんなの????? ひゃーっとテンションらららと上り詰めていざ、いよいよ鷲神社、舟和と雷おこしががっちり固めた門前、そして入り口左右で社務所のひとがえんえんお祓いの白いしゃらしゃらをふわんしゃらんと振り続けてくれる間を、入場。きました。めでたさのるつぼ。見上げれば首が痛くなるような高みまで、闇ナシのひかりこうこう、びゃらびゃらと鳴り響くようなめでたさで熊手カオス。あちこちからお買い上げおめでとうありがとう☆な手拍子がきこえてきますでしょ、神前のでかい鈴がじんじろりんと鳴っとりますでしょ、光と音と、まーもー。お賽銭ふんぱつしてしっかりごあいさつして、社務所に直行したら巫女のねえさんたちは頭に金色のふしぎなティアラを頂いて、10秒に1回くらい手で位置をなおすんだけどいくらやってもティアラの中心線がセンターにきません! で、わたしは若い白装束のおにいさんをつかまえて、かっこめみっつ! 掻き込める熊手なるもの、もちろん千円の、かいました。かえました。飲んでた店では夜7時くらいは境内に入りたいひとたちが門前までずーらり並んどった、ぼくらその30分くらい前だったからなんとか入れたけど!という話だったから、夜11時ってのは存外よかったネ。帰りに寄ったお好み焼き売ってるおいしゃんはつかれはててネムーイネターイを連発してたけどな! その横にすわってたおにいちゃんがわたしの提げた袋見て、それ何?熊手?みっつも?ってわらったのだった。えへへ。

11月1日かんのんさま

2008-11-02 06:59:14 | ASAKUSA
夕方駆け込みおついたち参り。詣で。そして遅ればせの、観音様はじめまして。観音様、ちいさくて、母のようだった。九州銘菓名門黒棒さんのようでもあった。お堂のなかで皆かめらぱしゃぱしゃなんて、ましてやご本尊に直接かめらを…! 傍にいるわたしゃ肝をひやしたが、あちこちから手がのびて遠くのちいさなお姿ぱしゃぱしゃする様、いやぁ観音様たら、おぉ、おぉ、まぁ、ま、まままま、あんたたち撮ってもとれてないだろけど、ま、いーよね?てな、ほほえみのよなやーらかーい雰囲気の、こちらまでつられほほえみ。

こないだ友だちがカァイラシイ・ガマグッチ、手になじむすてきな小銭入れをくれた。はじめての印傳。待ち針の頭みたいな指かけポッチはついてない、紺色のおとなっぽいシックな、さーさ11月1日からつかおうとおもってたのしみにしていたガマグッチの使い初め。くれた人曰く、あなたいつもいそいそと小銭入れをとりだして嬉々として小銭をとりだす、とぞ。自覚がなかったけど、たしかにお賽銭のたびにぱちぱち(ポッチはついてないのに非常にあけ易い加工が……省略)やっていると、そのたびふあーんふあーんとシャボン玉のような七色しあわせモーブがはじけます。硬貨も身をよじってうれしがる。そして根付の孔が気になった。根付もなにもついていないガマグッチは、こう、所在なさげではないか(そして携帯ストラップをケギライする私ではある)。きょうのこの流れで言えば浅草寺の鈴でしょうと思い、すんでのところで購入を踏みとどまったね。うちのひきだしには、前にここで買った鈴が転がっとる。ヒモがきれておしゃかになり、さりとてお焚き上げにもだす気になれずの可愛や鈴。お堂を出て右に折れれば奥山風景、赤い毛氈、出店のかたがたをついーっとつっきろうとしたら、思いがけず組紐屋さんがありました。きいろい根付ヒモでおしゃかから復活の鈴、渡りに舟、観音さま~わっしょい☆

観音様の御前で

2008-10-27 17:52:37 | ASAKUSA
六本木でピアノをきいて、ピアニストのべったりしたフューシャピンクのドレスがぎらぎら目の裏に残って、そのまま近くのきゃふぇーで、たべたよクロックムスィュ。きょうのペルノソーダはさっきの曲目にぴったりだわよぉと言ったら、ともだちのひとりは一口飲んで、んーわかる気がする、と言い、もうひとりは、ん?ウソだぁといった。

帰ってきたら、観音様のとこで小突き合いのまっさいちゅう。茶髪眼鏡のこぶとり20代と、こぎれいなホームレスのおじさん。いっしょになってギャーギャー言う。わたしが。そいで若いほうに頭さげてあっちに行ってもらう。おじさんはずーっと、ずぅーっとでかい声でどなってる。若いほうもふりかえりふりかえり、アサクサで吠えてんじゃねーよ!って距離置きながら何度もさけんでる。もーおじさんいいかげんにうるさいんじゃーって言ったら、だってあんたたちが悪いんだろーってわたしに言うんだぜ。アンタタチィ?って聞き返したら、だってアンタでもアナタでもいいけど、田中さんだかスズキさんだか知らないんだから、アンタってゆーしかねーだろー!って話すりかえて逆ギレされる。おもしろくなってきて、おじさんの横にすわってタバコとりだしたら、あいかわらずぎゃんぎゃん、オレは昭和25年生まれの58歳で、本気でやったらあんなアマちゃんなんかつぶしてやるんだ、オレは弱そうに見えるからからまれるけど、死ぬ気でやったら負けないんだ、あいつオレの尻けとばしやがって、あ、おねえさん火ィつけてあげるよ、と意外に気をきかす。でそれから女はちがうかもしんないけど男は闘う生きものなんだ、とか、日本は大きな和でヤマトなんだ、とか、共産党はどーのとか、ノーベル賞、世界遺産、と話はどんどんでっかくなって、それからまたまた、あーゆー若いのは甘やかされてさ、個人主義で育ってるからぬるいんだよ、最近は男が弱くなってオンナコドモがつよくなってるけどよ、日本にはなオレたちなりのオンナコドモを守るやりかたがあったんだ、オレなんかはさ、昭和25年生まれの58歳でさ(きいたきいた)日本の復興といっしょに自然に社会に育てられて、夜勤もやったし、24時間働いたこともあるし、労働基準法なんかが無視されてるよーな現場ばっかりだったけど、こーやってホームレスやっても、それも自然になったんだからしょうがないとおもってる、会社に勤めてたって引退する頃だしな、って。その間に遅ればせのパトカーがやってきて、わたしたちが大声だが平穏無事な世間話に興じてるだけだってのを確認し、これまた機能不全の警備員ちゃんが至近距離を通ってゆき、おじちゃんの仲間が大きなダンボール持って遠巻きにこちらを見てった(「あいつは女にモテるんだよなー」らしい)。話はおもしろかったけど、30分くらい経つとだんだん相槌無用の大演説になってきたので(ずっと大音量)そいじゃあたしゃ帰るよ、つって立ち上がり、とっくに消してた吸殻をゴミ箱に放り、その間ペース不動で放言しまくってたおじさん、絶妙な間合いで、コドモは産んでも産まなくてもアンタの自由だ(コナシだと見抜かれた)、女らしく生きなさい!とまとめて、振り返ったわたしがアイガトと言ったらぴたりと絶叫をやめた。

ゆきゆきて伊勢

2008-10-20 22:18:34 | 
玉子伊勢うどんⅠ、雨中行軍、宴(伊勢海老、姫さざえ、かつおのたたき、大喜ペパーミントグリーン)、めはりおにぎり、帰宿(タイル張りのお風呂Ⅰ、おそろいの赤いタオル、ころがるゴミ箱、誉の陣太鼓、缶チューハイ)、闇、黎明、夜露、森、玉砂利、朝のあいさつ、モダンな鳥居、榊、足音、朝もや、もりもりの木、高い空、遠足、鵜、フランス料理屋、猿田彦神社、赤福5時開店、宇治橋、朝日、長くて広い道、ゴージャス&ファンキー白鶏団、五十鈴川、御手洗のシカ、エッジの利いた鳥居、高い木、大きな木、木漏れ日、草履の鼻緒、おはようございます、白い帳、清澄、風、空、なみだ、庭師さん、神官たちの談笑、来年の暦、お守り、陶の丑、菊の御紋の御菓子、赤福とお茶、踊り奉納大行進(車椅子に乗ったおじいさん、おじさん、おねえさん、日本津々浦々の法被、着物、長い長い列、見物されているのはわたしたち、お兄さん、こども)、タクシー(神嘗祭、新米はかみさまから、550億円、いろんな宗教、やさしい伊勢弁)、商店街(はきもの屋のすてきなおねえさん、せともの屋のおじいさん、白くてちいさな器みっつ、お茶碗ふたつ、湯冷ましひとつ、店をゆさぶりそうなあやしいおじさん《撃退》、桃色の陶の風鈴ひとつ《おまけ》)、玉子伊勢うどんⅡ、バス、横丁ぶらぶら、煙管、招き猫、伊勢もめん、五十鈴川、フットライト、御塩、休憩中のお坊さん、日焼け、お伊勢参り記念しゃもじ、真珠漬、バス、タクシー、帰宿(タイルのお風呂Ⅱ、赤ツバキ白ツバキ、お好みタオル、絶妙な食事、ビール2本、お銚子2本、やわいご飯、9時就寝、朝熊山555メートル、階段のある裏通り、大岩みっつ、小学生、リュックサック、遠足、卵焼き、冬瓜のそぼろあんかけ、地酒の約束)、タクシー、おりたたみ式えもんかけ、酒ケーキ、おひがし、新幹線、モルツ。

伊勢はすばらしいところだった。きらきらぴかぴかな気持ちになった。味噌としょうゆとだし、伊勢うどんが恋いしうて恋いしうて。

経済学者のいうことから

2008-09-29 04:42:44 | ヨンダキイタ
ちくちく縫いもので夜なべで朝。局をぐるぐるまわすうちにたまたま、朝まで若もの向け討論番組、民放ラジオ。テーマが経済成長ってんで興をそがれたけどチューナーまわすのも面倒でそのままきく。日本経済は不景気なんじゃなくて飽和なの、天井ついたここらでひとつ満足すべし、という論調が広まりかけてる現状に対して、やはり経済成長はひつようてか成長してもいいんじゃない?派の、ある学者曰く→経済成長不要論のひとたちは自分達にほしいものがないって言うのと同時に推進派を否定するけど、経済成長推進派たちは、成長したくない人たちを否定したり無理強いしたりはしてないよ、と。それから、ほしいものはない必要最低限でイイといいつつテレビはいらんがネットは要る、コンビニ弁当はいらんが高価な無農薬野菜は買う、とゆーように、単にニーズがマイナーに属するだけなのに、自分にゃー物欲はナイってわたしが勘違いしてたことに気づいたことも、収穫。このところ、批判やら非難やらジャッジやら、知らず知らず上からモノを言う自分のクセはどうにかならんもんかとおもっていたから、肩のちから抜きなよ~ってラジオのむこうから。まったく興味のなかった経済学者のほうが、わたしよりもよっぽどこの世をおもしろがってるようにきこえたよ! わたしはじゅうぶんしあわせだけど、まだまだもっともっとこの世をおもしろがれるってのおしえてくれて、これ未来はますますあかるいじゃないの。経済学者には四角四面でたいくつなイメージがあって、しかもわたしがその経済成長なんてもう要らんとおもってたクチだったのに、その学者先生からおおいに勉強させてもらった。

上京してきた九大コールアカデミー@錦糸町。なつかしいのと、大のおとなが、老いも若きも内臓器官をココロをぶるぶるふるわせて、くちびるにうたを~こころにたいようを~っておおきなクチあけてしあわせそうにたのしそうにうたっているのと、大のおとなの、おとなぶってるおとこどもが、いろーんなものをステージの袖において手放しでココロはずませてるのと、なんかいろいろうれしいのだった。それから、錦糸町があんなにみずみずしい街だったとは! びっくり愕然で、偏見と食わずぎらいは治したいわぁつくづく。うたうたう! わたしもうたう!

字よりも

2008-09-26 03:30:46 | ヨンダキイタ
電車で本をひらいてたら目の前の男女の会話にひっかかって「すっぴんでワリカンなら、ばっちり化粧してきてよコッチが全部もつから!っておもう」てなセリフが心にのこる、本は目に入らないまま。

いろんな人のことを近く大事におもった、長い長い日

2008-09-02 05:20:43 | 通行人
あんですの大奥さんは綺麗で素敵でもはやわたしの憧れで、店のなかに姿があると入ってってなにか買わずにはいられない。から始まった、近く遠くのたくさんの人たちの横顔、記憶。すなわち、あんですの大奥さん、浅草神社の若い女の人3人、お坊さん、駅員さん、隣にすわったおばちゃん、メールを送った人(母、仕事のひと、友だち2人)、売店の売り子さん、ビッグイシューのおじさん、写真のなかの韓国人、小田急のパートの女の人、おまわりさん2人、受付の美人、知り合い、コラチューの人3人、三井住友BKのおねえさん、鳩、アンジェリーナ・ジョリー、マドンナ、ケンカを売る最中の心理学者(ビッグイシューの往復書簡をやってるひと)、いとこ、中国出身の恩人、タクシーの運転手さん。以下、長かった極楽の日のながいながい内訳。

7時半起床。バナナを1本たべて、あたらしい歯ブラシで歯をみがいてでかける。お富士さんに参って、あんですで小倉あんぱん買って、三社さま参って、観音様拝んで地下鉄にのる。きょうはついたちで、時間に余裕があったから運がよかった。三社さまのとこの箱入り猫、若い女のひと3人ににゃんにゃんしていてちょっとうらやましかったけどいいんだ。地下鉄は、出発のベルが鳴ったところを階段駆け下りていったら、駅員さんが運転手さんにちょっとドア閉めるの待ってねって合図しているのが見えて、飛び乗ったらすぐにドアがしまった。こういうとき、始発の駅ってすてきで感謝。地下鉄の中ではメールを打つ。返信しなきゃいけない4人に打った。四谷で用件を済ませて、また地下鉄にのる。新宿だからすぐです。駅ビルでお寿司屋さんの売店に寄る。散々まよってバッテラにした。待ち合わせの時間まで15分くらいあったので、銀行に行こうかまよったけどいっぷくすることにして、駅前の喫煙スポットにでた。なーんだか非常に快適だなーとおもったら、屋外だからきもちよくて、周囲にいるのはみんな喫煙者だから遠慮しなくてよくて、さらに平日の10時台はスペースに余裕があって。これで心身ともにじーつにりらっくすしないほうがおかしい。数分立ちつくした後10歩もいかないところでビッグイシュー売ってたので、アンジェリーナ・ジョリーののった最新号と、ひとつ前のマドンナの号を買、ってまた10歩も行かないところに、緑色のちいさな冊子が落ちてた。

ら、それはハングルが踊る、大韓民国発行のパスポートで、そんな重要そうなものがまるで抗菌剤をちんまりのせた実験中のシャーレのように、半径5メートルほどにヒトを寄せ付けずに孤立してた。孤寝みたいな感じの孤立。わわわと一瞬頭がまっしろになって、おずおず手にとって、思わず周囲をぐるりとみて、交番ない、ヒトに訊かなきゃ、小田急の人に聞いて、なぜかその人にお礼言われて、一層下の交番の場所おしえてもらう。階段おりながらひらいてみたら落とし主は若い男の人で(年齢でも見ておけばよかった)とにかく交番に行ったらおまわりさんが折りたたみ椅子をひらいて座らせてくれた。紙に名前と住所かきこむ。人のパスポートだからいらないだろうけど、まぁ個人情報だから渡せないんだけど、お礼の権利放棄するでいいですよね?って人相のよい安定した感じの若いおまわりさんが言った。女の人だし、拾ったあなたの住所を本人に教えないっていうほうでいいよね?とも言われた。どっちもどっちでもよくて、国際恋愛にはたいへん興味はあるがなにかに追われるような気分で、そのいちいちに署名して、わたしは真空状態の、汚れをしらない善行の人みたいな感じになった。拾った人にレシートみたいなのを渡すんだけどお急ぎだったらこっちでやるけどどうしますか、って、じゃーもうお任せします、っつってぴゅーっと出る。

待ち合わせのビルにたどりついて受付のおねえさんにココはコラチューピャピュダメーメービルですか、と訊いてそうですといわれて、ロビーでおちついてあんぱんをたべた。粒あんのあんぱんのおいしさを知ってまだ1年たらずです。食べ終えて紅茶をぐびぐび飲んで一息ついたところに待ち人到着。パスポートの話をしたら、消費者金融にとびこみましたか、といわれて感心した。社会人たぁどんな話題を振られても軽妙に相槌を打ってなんぼだ。わたしだったら、へぇぇぇぇ!としか声がでなかっただろうな。それからしばらくマスカラやら口紅やらカバンやらをながめて、バッテラをたべに西口を散策。たべに行くというか、食べる場所をさがす途中で銀行に寄ったら、運よく3人待ちで、2分くらいで順序がまわってきて5分以内に用が済んだ。行き着いたのは三井ビルの55広場みたいな名前のフリースペース、これがすばらしく快適なところで、高層ビルの谷間に何本も高い木が蔭をつくってくれて、テーブルとベンチもあって、噴水まであって、天気はいいし、風はきもちいいし、きょうは屋外運のいい日だ。いっぷくして、切手の充実した新宿郵便局に行って、ビルにこもる。とちゅう、誕生日を迎えたいとこに電話してくれるよう母親にメールして、仕事の電話が1本あって、それ以外はずーーーーっと作業する。夜になって、担当の人がご飯をごちそうしてくれた。ナチュラルローソンにつれて行ってくれて、普段は買わないような高いもの選んでください!って言うんです。なのに色気なく海苔巻を選んだわたしに、デザートも選べって言う。ンじゃ遠慮なくパイナップルって言ったら、飲み物も買えって言う。作業場はおいしいコーヒーが飲み放題で、お茶もついでに飲み放題だからイイって言うのに、買ってくれた。わたしが貧乏性なのかね。

けっきょく作業がおわったのは23時58分くらいで、らーらーらー、人生初体験のタクシー券でご帰還。おどろいたー。そんなものくれちゃっていいの。月曜日の夜の場合、新宿浅草間は高速に乗れば10分くらい、というサンプルを得ました。もうちょっと堪能したかったなー!これを極楽といわずしてなんという。6000円くらいだった。今夜は時速80キロくらい出たけど、普段は50キロくらいなんだって高速。タクシーの運転手さん、今夜は夜中の2時半くらいまで仕事だって言うから、へー遅番は何時からですかってきいたら朝7時半くらいだってゆーんだ、のけぞった。さすがに仕事終わったら次の日の夕方くらいまで寝ちゃいますけどねーって、おじさんさっきわたしにおつかれさまです残業ですかーってきいてたけど、おつかれさまはあんただよ!すごいな!
まったくもう、きょうは一日じゅう極楽だったとおもったらもう次の日の朝がきてるぜ。