ビジネスの場で取引先の相手と握手をするように
もしくは、朝の通学路でクラスメートを見つけて「おはよう」と肩を叩くように
極端に言えばラインダンスを踊る際に隣の人間と腕を組むように
それはひどくさり気なく
何でもないように触れあわせるのだけれど
いつしか唇同士を触れあわせることもそのさり気ないことに含まれていることを
越前はふっとした瞬間、気恥ずかしさを覚えるのだった。
彼と交わす何度目か知れないキスの後
唇を離したその後に、今さっきまで触れていたのだと実感すると、とても恥ずかしい思いに駆られる
手が触れあうのとも、肩が触れあうのとも違う
触れあう、という行為だけ見れば全て等号で結ばれるけれど、唇が触れあうことだけは他と意味が変わってくる
今、目の高さよりも少し上にあるその唇が、
自分の唇に触っていたのだとリアルに想像すると目尻が仄かに朱色を帯びた
そうした羞恥を感じ、僅かばかり越前の睫が伏せられると、手塚は不思議そうな顔をして彼の顔を覗き込む
目の前まで降りてきた彼の唇に悔しそうな視線をやり、そして越前は自らそこへと唇を押し当てた
ああ恥ずかしい
もしくは、朝の通学路でクラスメートを見つけて「おはよう」と肩を叩くように
極端に言えばラインダンスを踊る際に隣の人間と腕を組むように
それはひどくさり気なく
何でもないように触れあわせるのだけれど
いつしか唇同士を触れあわせることもそのさり気ないことに含まれていることを
越前はふっとした瞬間、気恥ずかしさを覚えるのだった。
彼と交わす何度目か知れないキスの後
唇を離したその後に、今さっきまで触れていたのだと実感すると、とても恥ずかしい思いに駆られる
手が触れあうのとも、肩が触れあうのとも違う
触れあう、という行為だけ見れば全て等号で結ばれるけれど、唇が触れあうことだけは他と意味が変わってくる
今、目の高さよりも少し上にあるその唇が、
自分の唇に触っていたのだとリアルに想像すると目尻が仄かに朱色を帯びた
そうした羞恥を感じ、僅かばかり越前の睫が伏せられると、手塚は不思議そうな顔をして彼の顔を覗き込む
目の前まで降りてきた彼の唇に悔しそうな視線をやり、そして越前は自らそこへと唇を押し当てた
ああ恥ずかしい