マロンリバーのひとりごと

料亭久里川の大切なお客様へのメッセージ

「美味しさ」とは

2007-06-28 | Weblog
昔から「おいしさ」は味覚、視覚、聴覚、嗅覚、触覚の五感で感じると言われている。その他に、温冷覚、痛圧覚なども加わった局所感覚の融合で決まる。

ある統計によると、味覚はたった1~5%に過ぎず、視覚は全体の80%もの割合を占め、臭覚、触覚、聴覚と続く。

目隠しをして、物の味がわからないことからも、うなずける。

味覚は単に、甘い、塩からい、酸っぱいなどと味を感知するだけで、「味が良い、悪い」といえても「美味しい」と感じるのは視覚をはじめとする他の感覚が働いているからこそといえる。

ただ、視覚だけで「美味しい」と判断しているわけではない。
例えば一人ぼっちで、世界一の職人の料理を食べて美味しいだろうか。

直接な感覚ではなく、食べるときの環境も美味しさを大きく左右する。

美味しく食べるには、清潔で美しく、適度な空間が不可欠である。

それに加えて、食べる人の感情も大きくかかわり、「美味しいか、美味しくないか」判断される。

どうやら「おいしさ」とは食べる人の感覚、感情の融合によって成り立つ「感性」で決まるようだ。

いま、日本人の食生活も大きく変化し、我々のような外食産業も「価格」が大きな判断基準となっている。

もちろん「価格」も大事だが、「本当に美味しい料理を美味しくいただく」という日本人独特の「感性」を、もう一度考える時期に来ているように思う。

人生で大切なイベントの一つ 「結婚式」

2007-06-26 | Weblog
人生で大切なイベントの一つ 「結婚式」

打ち合わせには長ければ6か月以上 短くても

2か月~3か月位の時間がかかる

その間 何度も何度もお客様と打ち合わせを行う

そうすると自然とお客様と信頼関係が出来上がってくる

最初はいろんな不安もお持ちで会話もあまり弾まないが

終盤には、打ち合わせより雑談の方が多くなっている

「母ともめた」「近所でこんなことがあった」「仕事が大変」etc

先週に挙式をあげられた方が新婚旅行のお土産をもってきて

下さった。子供が生まれたと連れてこられる方もいる。

皆さんほんとうに「笑顔」でここを訪ねて下さる

色々な方の「笑顔」を見ることができるこの仕事をできていることを

本当にありがたく思う今日この頃である。

ぜいたくは結婚式の後に・・・

2007-06-15 | Weblog
最近のホテルの結婚式は超豪華である。
一生の思い出として、女性の一番の晴れ舞台を飾りたい。

しかし、その分、当然ながら予算もかかる。

当店は正直な所、ホテルのようなきらびやかな結婚式は出来ない。

しかし、実際に結婚式をされた方からは家庭的な暖かい結婚式であったと好評である。
今までの最高記録は三姉妹が全員当店で結婚式をされた方もある。

婚礼の問い合わせに来られ、まずお話するのは「お客様に対する一番のおもてなしは料理」ということである。

日本料理は「目で食すもの」と言われる。
料理は勿論だが、すべて有田焼で統一された器も絶品で、食事をされたお客様からも「器を売ってほしい」というお問い合わせもしばしばある。

いくらきらびやかな結婚式でも料理が悪ければ台無しだ。

先日、ご予算が余り無いお二人が結婚式の説明を聞く為に来店された。

当店の結婚式の料理の平均は7千円~8千円。
飲み物から衣装まですべて入れても、一人当たり15000円で収めることが可能だ。

お二人の考えていた予算よりかなり安く驚かれた。
この予算であれば参列された方のご祝儀で新婚旅行に行くことができる。

結婚式後に何かとお金がいる。
「贅沢は結婚式後にすればよい」と説明すると、二人は顔を見合わせ微笑んだ。

広島で初めてのマイクロバス送迎

2007-06-05 | Weblog
今ではご宴会やご法事の送迎には欠かせないものになっているマイクロバスの無料送迎サービス。

実は20年程前に久里川が広島で一番最初に始めたのをご存知だろうか。

しかし、当時、広島では法事後の会食はお寺か自宅で行うのが当たり前で、料理店で食べる風習は無かった。

お客様にはなかなか受け入れられず、認知されるまでにはかなりの時間がかかった。

ご自宅での法事は、女性が総動員で前日の部屋の片付けから、当日の接客まで忙しく働きその場でゆっくり食事をすることは難しい。

しかし、当店でお食事をすれば、料理の段取りはすべて仲居が引き受けるので、
お身内の女性もゆっくりお話ができ会食を楽しめる。

最近では、和室にも椅子席を設けることができる。これは足の悪い年配の方に大好評だ。

四十九日は、故人が亡くなって間もないこともあり、ご自宅で法要と食事をされる方が多いが、喪主の方は大変にお疲れの中、ご自宅での法要はかなりの負担になる。

久里川では仕出し、当店での会食のどちらでもご用意ができ、茶の子(お土産)の手配もできる。

ご都合の良い時間に、説明にうかがうのでお気軽にご連絡いただきたい。

おばあさんの「巻き寿司」の味

2007-06-04 | Weblog
久里川の「巻き寿司」は美味しい、とお客様からよく褒めていただく。

先日、寿司を作る担当者に、定評がある「巻き寿司」について話を聞いてみた。

企業秘密なので詳しくは書けないが、それぞれの具材ごとに独特の味付けをほどこしているそうだ。そういうわけで美味しいのもうなづけた。

特に寿司の命である「酢」の話は印象的であった。

当店の寿司の味は、今は亡き先代の社長の奥さんが考案したもので、今でもその味を受け継いでいる。

もう25年位前のこと、その奥さんが倒れ入院した。

酢の配合は奥さんが行っていた為、寿司の味が変わり、すぐにお客様からクレームが入るようになった。

そこで、一時退院した際、酢のレシピを作ることになったのだが、奥さんは昔の人で、材料の調合は分量を計らず、経験に基づいた目分量で行っていた。

これでは合わせ酢の配合が分からず、他の人には、同じ味が出せない。そこで、この味を酢のメーカーに分析してもらい、ようやくほぼ同じ味の酢が完成した。

それからはぴったり苦情もなくなった。

今は亡き、奥さんの巻き寿司に対する想いは、今でも久里川にはしっかり息づいている。

全部食べられる?お弁当

2007-06-03 | Weblog
当店のお弁当を食べていただいたお客様に、ご意見をいただくために訪問すると、「久里川のお弁当は全部食べられる」とよく言われる。
それでは他社の弁当は食べられない物が入っているのだろうか、いつも不思議に思っていた。

最近、「だし巻き」を自社で焼いている折詰をほとんど見かけなくなった。
以前、あるお客様が京都から定期的に高価な「だし巻き」を通販で買っていると話された。

手前味噌だが当店の自家製「だし巻き」を一度味わって欲しい。

そのお客様に当店の「だし巻き」を食べていただき感想をお聞きした所、何百本と「だし巻き」を焼き修行した店より美味しかった、とお褒めのお手紙を戴いた。

その方は今では久里川のお得意さまだ。

「お弁当は全部食べられる」という意味は、それぞれの食材が美味しく、残さずに食べられるという意味であることがようやく解った。

当店は基本的に広告を行わない。

創業約七十年、市内で一番古い料亭として店を続けられるのも、「美味しい」と言っていただけるお客様方の口コミのおかげだ。

これからもお客様とのつながりを大切に、頑固に久里川流の料理を出し続けていきたいと思う。