mardidupin

記憶の欠片あるいは幻影の中の真実。

与謝野晶子和歌 【夏より秋へ】その八

2014-05-26 16:48:22 | 〈薄紅の部屋 (和歌)〉
あてやかに華奢にましろき波をもて水草洗ふあかつきの風


自らの心のごとくいちじろし金錆色のさびしき胡蝶


春の日もたそがれ時にしたしみぬ二十の人はもののけのため


夜となれば毒水を打つ神ありて身うちの痛むわれとおもひぬ


非常なる罪障によりほのほもて身のつくられし人ならめわれ


ふるさとは恋しけれども浦島の筥ならぬかと訪はず七とせ


わが小指琴をたたきて歌ふらく紫摩黄金の春とこそなれ


まぼろしに岩より垂れしお納戸の袂など見ゆ初秋の朝


枝にきて野鴉がなけば雨まじり八重のさくらの薄赤く散る


華やかに初冬の風二側のたかき松をばうごかして行く

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