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サクラ業務その2

2008-09-10 13:59:26 | Weblog
自分はその中に並んでいる女性キャラの「ミカ」というキャラを選択し、メールボックスを開けた。すると中から13通のメールが出てきた。…こんなものに13人ものヤツがメールを出しているのか…しかも一通数十円の金を出して…と思うと、あきれるばかりだった

「ミカちゃーん。はじめまして、恋愛したいんだよね。恋愛とはセックスだよね。だからしようよ。いつ会える?教えて?」

このメールに返事しなくてはいけないのか、と思いながら返事してみた。

「私ミカです。セックスしたいの。早く会おうね。私(お客様の名前)のこともっと知りたいの。だから教えて」

とりあえず、メールしてみた。次、

「おじさんが教えてあげえるよぉ。気持ちよくなる方法も恋をする方法も。だから早めに会おうね。いつあえるの?

また、いつ会えるかぁ…もううんざりやわぁ、といいながら、先ほどと同じような文章をタイプした。しかし、これから自分が相手の「会いたい」という要求と血みどろの戦いを繰り返してゆくことになるのだ

一通り、返事を打ち終えると、エドが近づいてきた

「まあまあいいわね。そうね。もっと冷たくしていいわよ。あと約束とかもしてみて。

はい、といいながら次のメールの返信にとりかかる。

「僕にはスカトロ趣味があります。自分の小便や大便を飲んでほしいんです。かわりに自分の精液を一滴残らず飲み干してください。」

うっ…しかもこいつは肛門のどアップの写真まで添付していた。

「そうね。私スカトロの男性大好き。だから(男性の名前)には私のウンコとおしっこをすべて飲み干してほしいのです。じゃあ、どこで会いますか?」

俺は、顔をしかめながらこいつに返信した。まだまだまだまだまだこういうことが続くのである。しかし、この作業はこれからが本番だった

いよいよサクラ業開始!

2008-09-08 14:22:07 | Weblog

まず、俺は「ラブラブ天国」というソフトを担当することになった。これは前回も説明したが、本物のサイトである「塾女ワールド」へ誘導するためのサイトなのだ。

 「はい、じゃあ、まずここを見て」

スクリーンを見ると、何人かの女性のキャラクターのリストが横に並んでいる。名前の横に小さな似顔絵がついていて、そこをクリックするとそのキャラあてに投稿した男性のメールの一覧を見ることができる。そして、そのメールの一つ一つに書き込み欄があり、そこに書いた文字が女性キャラクターからのメールとして入力できるのである。

 「このソフトを使って、入力する文書は比較的自由なの。会う約束をしてもいいし、お客様のことを悪口をいってもいいの。あまり優秀じゃない女性を演出して。要するに、熟女ワールドへ誘導するサイトなんだから。」

「ということは、熟女ワールドは会う約束とかしちゃいけないんですか?」 エドはうなずいた。あとで説明するけど、と前置きして、熟女ワールドではしてはいけないルールがいくつかあるらしい。それは後述する まず一人目 「えっと、私23歳OLです。毎日忙しくてぜんぜん私出会いがありません。このまま彼氏がいないままさびしく終わってゆくのはすごくいやです。私と付き合ってください」 というのが売り文句のキャラである。こんな馬鹿馬鹿しいことにメールを出すやつなんているのか…なんて、思いながら、その下にある「メール一括表示」というボタンをクリックするとなんと、数十通の男性からのメールが表示された

「えへへ、いつだったら会える?」

「土日休みだけど、休みいつ?」

「オナニーしてるの?」

 

 … こんな文句のオンパレード。中にはご丁寧に写真までくっつけてきている。それを開くとなんと男性器のアップだった。…。

そして、こういった作業が続いてゆくのだ。と俺はちょっと途方にくれてしまった。しかし出会い系サイトのさくらの恐ろしさはこれからが本番なのだ


研修一日目

2008-09-02 10:55:06 | Weblog
「それじゃあまず、このゲームをやってもらうわね」

エドさんが、自分の研修担当となった。昨日行ったビルにもう一度行った俺は、ナンバーキーがまだ付与されていないので、インターホンでドアを開けてもらう。

エドさんの案内で、さっきのガラス張りのオフィスの中に入った。もちろんここもナンバーズキーがないと入れないようだ。

案内されたPCの前に座ると、画面にタイピング練習用のソフトが起動していた。

この職場は、キー入力の速さが命だから。このソフトを使って暇なときがあったら練習してね。まあ、今日は小手調べでどのくらいできるのか見せていただくわ。

成績はランキングでいうと歴代2位だった。まあ、子供のときからPCはおもちゃ代わりだったし、データ入力の仕事も結構していたので自信があったわけだが。

「すごーい。本当に速いのね。じゃあ、うちの即戦力になっていただこうかしら」

エドさんはおれをほめた。周りの男性社員も自分をほめた。ここはバイトのほうが社員よりも表向き地位が上であるということに後になって気づくのであるが。

「それじゃ、うちの会社の概要を説明するわね。まず私たちの会社は雑誌、インターネットのウェブサイトを使って、『ラブラブ天国』っていうサイトを宣伝しているの。そのサイトも出会い系サイトなんだけど、それはあくまでダミー。そこに登録した人すべてに私たちの本当の出会い系サイトの案内メールを送信しているの。それで本当のサイトがこれ『塾女ワールド』よ」 

じゅ、塾女ワールド。なんてイージーな名前…。つまり、エドさんの話によるとこういうことらしい

1:客を集める仮の出会い系サイトを雑誌、ネットなどで宣伝する。もちろんこのサイトはダミーサイト。

2:そこに一時客を登録させ、その情報から形態などのメールアドレスを割り出し、そのアドレスに本当の出会い系サイトのサクラが打ったメールを出して、本当の課金の発生するサイトに再登録させる

というものだった。へえええ、と思いながら聞いていると

「じゃあ、まずラブラブ天国のほうから試しにやってもらいましょうか。出会い系サイトのサクラってしたことがないのよね?」

といわれ、別のPCまで移動する。いよいよサクラへの第一歩が始まったのだ

Blog Setomits:http://matatabi.homeip.net/blog/setomits/

面接へGo!2

2008-09-01 14:10:36 | Weblog
面接の日の午後、自分はオフィス街の中の指定されたあるビルへと向かっていた。自分は「データ入力」という職種だけに、なるほど、確かにここらへんにあるかもしれない…と思いながら住所を頼りに歩みを進めていた

そのビルは確かにあった

そのビルはグリーンのビルだった。そのガラス張りのロビーの中には適度な空調が効いていてかすかにバロック音楽が鳴っていた。その職場はそのビルの5階にある。

エレベーターのドアが開くと右手にその事務所のドアがあった。となりにある呼び鈴ベルをおすと中から

「はい」

と女性の声がした。隣に0から9のボタンが並ぶナンバーキーがあった。

「お入りください」

と声がして、ドアが開錠する音がした。中に入ると、毛足の長いカーペットが敷かれたい廊下があり途中で左に折れている。両側には上半分がガラス張りになったオフィスが広がり、十数人の男女が一心にキーを叩いている。
 その方向をぼんやりと眺めているといつの間にか

「こちらです」

と声がして、そこには一人の女性が立っていた。パリッとしたスーツに身を包んだその女性はエドはるみに似ていた。(以後、この女性をエドとする)

「あなたは中山さんですね。お待ちしておりました。こちらです」

と言うと、くるっと回って、奥へと入っていく。自分もその後に続いた
ガラスの奥ではカタカタというキーを叩く音が重なり合って、響いていた

「よろしく」

廊下の突き当たりのドアを開けると、また廊下が左右にあり、その左側のドアを開けるとちょっとした会議室になっていた。その会議室は一般企業にある殺風景なものではなく、高級レストランのVIPルームのようであった。間接照明がいくつも仕掛けられたほの暗いなかにテーブルがあり、その中に幹部とみられるワイシャツ姿の中年男性が腰を下ろしていた。エドもその男性の隣に腰を下ろした

「じゃ、履歴書を見せていただけますか?」

自分は立ち上がり履歴書を開いて、両手で手渡す。エドは座りながら受け取った。
何点か履歴書について質問があり、それについて自分も簡潔に回答した。

「じゃぁ。この履歴書は預からせてもらいますね」

といって、エドと男が会議室から出て行った。
そして、エドが今度は一人で会議室に入ってきた。エトは腰掛けるとおもむろに俺に話しかけた。
 「私たちの会社のお仕事は、お客様からのメールのお返事をするのが仕事です。お客様のほとんど全部が男性です。そして…

ところであなた、出会い系サイトってご存知かしら?

俺は耳を疑った。?出会い系サイト?俺の混乱をよそにエドが話し始めた。自分たちが募集しているのは出会い系サイトの中の架空のキャラクターになりきって、そこに投稿してくる男性にメールを返信してほしいということが仕事であると説明し始めた。その後、

それで、出来ますか?

と返答を促すエドに自分はなぜか

やってみます

と俺はなぜか言ってしまった。後から考えてもわからないが、このとき「やってみる」といった理由はわからない。

「じゃ、明日から来てくださいね」

と時間を指定され、俺の採用が決まった。このときは「出会い系サイトのサクラ」という仕事がどんなものかはまったく知らなかったのだ。

北の海理事長辞任:http://matatabi.homeip.net/blog/setomits/

面接にGo!

2008-09-01 13:42:38 | Weblog
そのとき、俺はバイト探しをしていた。コンビニでアルバイト情報誌をぺらぺらめくっているが、なかなかいいバイトが見つからない。コンビニ、ファーストフード、居酒屋、引越し、クロネコ…。ページを繰っているが大体似たようなバイトばかり。

 「何か面白そうなバイトないかな…」

そんな中で見つけたのは「データ入力」という項目。時給は900円以上!がんばり次第では1500円以上可能!となっている。しかも服装自由とある。なんだろう…このバイト…。興味本位で何も考えずに自分はは早速添付されている番号へ電話。 数回の呼び出し音の後、

「もしもし」

と若い男性の声が受話器を拾った。自分は手短に、バイト情報雑誌をみて応募したこと、面接希望であることを伝えると、面接時間を伝えられた。

電話を切った後、新しい仕事が始まる第一歩か、と思いながら携帯をしまった。

もちろん、このときはこの仕事がどんな仕事かは知らなかったのである