令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(18)千引(ちびき)の石(いは)を

2010年07月02日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年7月30日】

わが恋は 千引ちびきいはを ななばかり
              首にけむも 神のまにまに



逢えぬ苦しみ 
朝明けと共に  相手を思い
日中ひなか一日 逢わんとの手立てあれこれ
策破れての  落ち込み
日の暮れが さらなる傷心いたみを誘う
延べるとこやみ 浮かぶ面影のらめき
 
いめあひは 苦しかりけり おどろきて かき探れども 手にも触れねば
《目ぇまし 手探てさぐりしても さわられん 夢でうんは もどかしこっちゃ》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四一〉 
いめにだに 見えばこそあらめ かくばかり 見えずしあるは 恋ひて死ねとか
《せめてにも 夢に出んかと 待ってても 出てえへんの 恋死ね云うことか》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四九〉 
かくばかり 面影おもかげのみに 思ほえば いかにかもせむ 人目しげくて
《面影が 浮かび浮かんで 仕様しょうないで どしたらんや 人目いのに》
                         ―大伴家持―〈巻四・七五二〉 
一重ひとへのみ 妹が結ばむ 帯をすら 三重みへ結ぶべく わが身はなりぬ
《してくれる 帯は一重で ったのに 三重結ぶほど 恋痩せしたで》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四二〉 

人間  追い詰められれば
覚悟が決まる 
〈こうなれば  もう 逢うしかない
 逢っても逢わなくても  世間は 許さない
 腹をくくるが 上策〉
開き直りに  活路を見い出そうとする 家持

恋死こひしなむ そこも同じそ 何せむに 人目ひとめ他言ひとごと 言痛こちたみわがせむ
恋死にそやで 他人ひと非難うわさを 逃れと 逢うんめても おんなじこっちゃ》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四八〉 
わが恋は 千引ちびきいはを ななばかり 首にけむも 神のまにまに
《かまへんで 千人引きの 石七つ 首掛けるな 苦し恋でも》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四三〉 


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