令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

金村・千年編(6)滝(たぎ)の常盤(ときは)の

2010年01月05日 | 金村・千年編
【掲載日:平成21年12月24日】

皆人の 命もわれも み吉野の
             たぎ常磐ときはの つねならぬかも


千年ちとせ殿だと 気は張らぬが
 赤人殿じゃと  そうは行かぬ」
われ知らず 競争意識が先に立つ 金村かなむら

神亀じんき二年〔725〕 夏五月 吉野の離宮

先ず 山部赤人に 詠歌えいかのおめしがあった
『やすみしし わご大君の・・・』に始まり 川め山めが続き 宮の永遠なるを うた
人麻呂以来の つぎならわされた 長歌のうた

続く反歌に 金村は 仰天ぎょうてんした

み吉野の 象山きさやまの 木末こねれには ここだもさわく 鳥の声かも
《吉野山 象山きさやま木立ち こずえさき 鳥がいっぱい さえずる朝や》
―山部赤人―〔巻六・九二四〕 

おだやかならざる 心を胸に 笠金村かさのかなむらは 詠う

あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 
上辺かみへには 千鳥しば鳴き 下辺しもへには かはづ妻呼ぶ 
ももしきの 大宮人おおみやびとも をちこちに しじにしあれば
 
さわやかな 激流ながれこだま 響いてる 吉野の川の 川の瀬の 清い流れの 上流で
 千鳥鳴いてる 下流かりゅうでは 蛙妻呼び 鳴いとおる
 大宮人も あちこちで 大勢って 遊行あそんでる》
見るごとに あやにともしみ 玉葛たまかづら 絶ゆること無く 万代よろづよに かくしもがもと 
天地あめつちの 神をそ祈る かしこくあれども

《心かれる いつ見ても 何時何時いついつまでも このままで あって欲しいと 祈るんや
 神さんよろしゅう 願います》
                         ―笠金村―〔巻六・九二〇〕 

万代よろづよに 見とも飽かめや み吉野の たぎ河内かふちの 大宮所おおみやどころ
永遠とわまでも 見飽けへんなあ この吉野 はげし流れの 大宮所》
                         ―笠金村―〔巻六・九二一〕 
皆人の 命もわれも み吉野の たぎ常磐ときはの つねならぬかも
《このわしも 皆の命も 永久とわ続け 吉野の滝の この岩みたい》
                         ―笠金村―〔巻六・九二二〕 

〔反歌は 長歌の一部反復か そうまとめが 常の道
 しかるに  あれは なんじゃ
 新しき試みと言えば  聞こえはいいが・・・〕
金村の  耳に 赤人の声が 残る
『・・・ここだもさわく  鳥の声かも』
〔この 清々すがすがしさは どうじゃ
 何とは無しの けいの歌 
 み人の心根 何一つ 言葉にしてらぬに 伝わってくるものがある・・・〕
〔わしは  古いのかも 知れぬ・・・〕
夜更け まんじりともせず とこす 金村



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