令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

旅人編(11)天より雪の

2009年10月31日 | 旅人編
【掲載日:平成21年11月18日】

わがそのに 梅の花散る ひきかたの
           あめより雪の 流れ来るかも

【大宰府の梅、観世音寺北方】


天平二年〔730〕正月 
ここ 大宰府そちやかた
集うは  大宰府管下の国司ら 
いずれも  都より派遣の高官 総勢三十二人
庭に咲き誇る 梅をでてのうたげ

帥 旅人が えんを仕切る
「集いし面々 つの組に 分ける
 それぞれ  八名づつ 車座となり
 組毎に  選者を立て
 各人のみたる歌の「これは」を談じ
 一人一作を えいずべし」

厳選された 一人一作の 歌詠うたよみが始まった
【第壱組の歌】 
正月むつき立ち 春のきたらば かくしこそ 梅をきつつ たのしきを 
《正月の 新春来たぞ 今日の日を 梅めたたえ 楽しゅう過ごそ》
                         ―大弐だいに紀卿きのまえつきみ―〔巻五・八一五〕
「さすが 大弐殿 きっかけの寿ことほぎ歌 見事 見事」〔旅人〕
梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず わが家の園に ありこせぬかも
《今まさに ここで咲いてる 梅のに うちの庭でも 咲き続けてや》
                         ―少弐せうに小野大夫おののだいぶ―〔巻五・八一六〕
梅の花 咲きたる園の 青柳あをやぎは かづらにすべく 成りにけらずや
《梅の花 咲いてる庭の やなぎは かづらに丁度 ええんとちゃうか》
                         ―少弐粟田あはたの大夫―〔巻五・八一七〕
春されば まづ咲く宿の 梅の花 独り見つつや はるくらさむ
《春来たら 最初さいしょ咲く花 梅の花 独り見るには 惜しい春やな》
                         ―筑前守つくしのみちのくちのかみ山上やまのうへの大夫―〔巻五・八一八〕
「憶良殿 泣かせてくれるな 大伴郎女いらつめがこと」〔旅人〕
世の中は 恋しげしゑや かくしあらば 梅の花にも 成らましものを             
《人生は 関わり事が いよって 梅の花でも 成りたいもんや》
                         ―豊後守とよのみちのしりのかみ大伴おほともの大夫―〔巻五・八一九〕
梅の花 今盛りなり 思ふどち 插頭かざしにしてな 今盛りなり
《梅の花  今真っ盛り みんなして 髪にかざそや 盛りの花を》
                         ―筑後守つくしのみちのしりのかみ葛井ふぢゐの大夫―〔巻五・八二〇〕
青柳あおやなぎ 梅との花を 折りかざし 飲みての後は 散りぬともよし
《梅の花 柳と一緒に 髪に挿し 飲みかしたら 散ってもええで》
                         ―笠沙弥かさのさみ―〔巻五・八二一〕
満誓まんせい殿は 花より酒か」〔旅人〕
わがそのに 梅の花散る ひきかたの あめより雪の 流れ来るかも
《梅の花  空に舞うよに 散って来る 天から雪が 降ってきたんか》
                         ―主人あるじ―〔巻五・八二二〕






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