読書ダイアリー☆時々、東京散歩

読書感想と東京のお出掛けを徒然なるままに。

映画「へルタースケルター」

2019-11-21 10:26:12 | 映画、DVD
映画「へルタースケルター」を見ました。
主演:沢尻エリカ マネージャー:寺島しのぶ 検事:大森南朋

今話題の沢尻さんの映画をちゃんと見てみたくなって、やっと見ることが出来ました。
いかにも華やかな世界に身を置く女性、まるで浜崎あゆみを彷彿とさせるような印象も受けました。
それはavexならではの空気感のせいでしょうか。

デブ専の風俗嬢として生きていた若い女性が突如全身整形で生まれ変わり、
若い女性の憧れの存在に生まれ変わります。

しかし、その華やかな世界の裏側は、整形の副作用の恐怖、
トップからひきずり降ろされ忘れ去られる恐怖。
美人でもトップでも、手にしたものを失うことを恐れて毎日びくびくしている。

どんなパワハラにも耐え続けるマネージャーは、
「私がいないと、何もできないから」とめちゃくちゃにされてもずっと支え続ける。
男女問わずセクハラもするこの女性を支え続ける。

人間というのは「欲しい欲しい」ものを手に入れても、次はそれを失う恐怖と戦う。
本物ののエリカさんも、実際にはウサギのようにいつも震えていたのかもしれない。

大人は彼女の何かを踏みにじってしまったのか。
「大丈夫だから」と大人に心配をかけない子供にしてしまったのか。
そのまま自分で無理やり処理してしまう大人になってしまったのか。
自分で処理できないから、いけないものに手を出してしまうのか。
その闇も彼女にしか知りえないものだけど、誰かにもっと早く分かってもらえたらよかったのに。
自分自身で向き合うことができるように。

映画「二重生活」

2019-11-21 02:02:02 | 映画、DVD
映画「二重生活」を見ました。
主演:門脇麦、その同棲相手:菅田将暉、大学院の担当教授:リリー・フランキー

主人公(門脇麦)は、哲学の修士論文で「目的なき尾行」を教授(リリー・フランキー)に勧められる。
返答に困りつつ、帰り道から近所に住む全てに恵まれたセレブ男性(長谷川博己)の尾行を始めてしまう。
「対象者と接触してはいけない」との教授との約束の元、彼の秘密に触れることになり、毎日尾行を続ける。

彼には妻と娘がいて、親が地主で相続した大きな邸宅に住み、出版会社の部長。
誰もがうらやむからの生活の裏には、愛人がいた。
愛人との逢瀬の場で喧嘩になる。会いたくて会いたくてやっと会えた二人でも、不倫には嫉妬がつきものだ。
不倫で幸せになれる人などいないのだ。。。
彼女はレストランで激高して、出て言ってしまう。
そこで、帰ろうとした彼の目の前には、妻と娘がたたずむ。。。。

その後、妻は自殺未遂。
彼は、「尾行は妻の差し金で、妻の自殺未遂は君にも責任がある」と責める。

結局、同棲していた彼(菅田将暉)にはこのことを何も告げていなかったため
関係がギクシャクして、お互い「何んのために一緒にいるのか」答えを出せずに彼は出て行く。

結局、対象者と接触してしまったことでこの尾行は幕を閉じるが、
「対象者を変えても、君には尾行を続けてほしい」と教授に激励され、継続する。
次の対象者は、、、教授である。日々の教授夫妻の生活を尾行し続ける。
尾行は、その人の人生に成り代わりその人の人生を体験すること。

日本映画の深さに驚く。
レビューには賛否両論あるが、私はとても深いものを見せてもらったと思っている。
全ての人間が明確な目的を持って生きているだろうか。
全ての人間が満たされて生きているだろうか。
皆、分からない中を手探りに生きて、つらいことに耐え、空っぽに耐えている。
でも、その中に希望を見出して、自分の生き方を見つけていく。
生き方を見つけられたら幸せだと思う。
その生き方の中で必死に生き抜くことで、何かを得ると思う。







告白 湊かなえ

2017-06-26 21:10:38 | 読書
湊かなえさんのデビュー作品。

「贖罪」があまりにも衝撃的だったので、他の作品にも興味をもちました。

松たか子主演で映画化もされました。

でも、私は絶対に活字がいいと思ってました。


お決まりの登場人物は教師。

教師が語り始めるのが始りです。

最初の登場人物だけでも、かなりの衝撃的な告白です。

教師を辞めます。

私の娘を殺したのはこの中にいます。

と。

次々に登場人物が、告白してゆきます。


著者のすごいところは、論点のずれている登場人物を絶妙にリアルに描きます。

それぞれの立場で、ぶれずに必死に生きています。

みんな狂っています。

いや、だれかまともな人間が出てきたかな、と思いますが

やっぱり何度でも裏切られます。

そして、更にすごいのは、読み進めるとやめられなくなり、

すごいスピード感なのです。

回転式のジャングルジムみたいに、回り始めたら、勝手に止まることもできず

掴んだ手を離すこともできず、

そのスピードについていくために

自分も全力で走り続けるしかないのです。

でま、最後の最後には、足がもつれて投げ出されてしまいます。

湊かなえさんの不思議な魅力の虜になってしまうのです。

芥川賞を、なぜ、受賞してないのかしら。。。







蒼氓(そうぼう)

2017-06-26 08:00:00 | 読書
蒼氓 石川達三



芥川賞作品を読み漁ってきた私が、やっとであった第一回芥川賞受賞作品だったのです。

この本は、ブラジル移民のお話です。尊敬する上司が、中南米で働く人のバイブルのようなものだと言って教えてくれました。

移民とは、自らその道を望んだのか。それとも、本国が望んだのか。はたまた、受け入れ国から望まれたのか・・・・

私は、なぜそのような事業が始まったのか全く知りませんでした。

戦後の生活に行き詰った国民、少しでもその国民に新天地で豊かな生活を築いてほしい。
異国民を受け入れて、閉ざされて大地で新しい作物を作ること、または国産のコーヒー豆農園の力となること。
三者の思いが叶う事業であったはずが、現実は本当に厳しいものだったということ。
その厳しい厳しい現実の上に、努力と忍耐によって、現代の日系2世3世の明るい存在があり得るのだろうと。

まず、80年前の出発は私の出身地である神戸だったことに驚きました。
ずっと横浜だと思っていたのです。
本書の書き出しに出てくる神戸は、まだまだ何もない、景色も違ったのでしょうが地形が同じだということで、私には想像しやすい情景でした。

読み進めても読み進めても、辛く苦しい情景ばかりなのですが、ずっと現状を嘆いてばかりのおばあちゃんが最後の最後に、ブラジルで迎える最初の朝に腹をくくって「朝ごはんをこしらえよう」というところで、私は涙が止まらなくなりました。
どんな状況にも、腹をくくるということが何よりも強いものなのです。
そんな人間の強さをしみじみと感じる作品でした。
その強さが、命をつないできたのだと思います。

贖罪 湊かなえ

2017-06-25 20:00:00 | 読書
「贖罪」湊かなえ


15年前、静潟田舎町で一人の女児が殺された。
直前まで一緒に遊んでいた4人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りになる。
娘を失った母親は、彼女たちに言った。
「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないなら、私が納得できる償いをしなさい。」と。
十字架を背負わされたまま成長した4人に降りかかる悲劇の連鎖の結末とは。

という、文庫裏のあらすじを読んで、どうしても手から話すことができず、うちに帰って読み始めました。
形式としては、一人一人の登場人物の告白の形式になっています。
一人一人が、重い十字架を背負い、当時の情景や現状の悲劇をを描いていきます。
最後に、被害女児の母親の告白も出てきます。

とにかく恐ろしくて、途中で読むことがやめられないような恐怖が繰り返しあります。
そして一気に読み進めて、最後には脱力してしまうような。。。悲しみと達成感がありました。

湊かなえさんの作品は初めてだったのですが、すごい人だと感動しました。

TV出演などで見かけるお姿は、すこし変わった人のイメージ強いですが、作品を読むとすごさが分かりました。

青年海外協力隊で、大洋州トンガで家庭科の教師をされていたと聞いたことがあります。
だからなのか、登場人物は教員が多いように思います。

すごい作品なのでぜひ一度読んでみてほしい作品です。

結局、一番有名な「告白」を読み始めました。こちらも、とても展開が気になる作品です。