サークルの中から・・・「ひとこと感想」 (終演後、聞こえて来た。。)
芝居が進むうちに「赤シャツ」が、だんだんいい人に見えてきたんですよ
会員 Mさん
坊っちゃんの裏には、本当はこういう話があったんですね
会員 Hさん
お芝居って面白いね、「命の洗濯」が出来たよありがとう
会員 Yさん
「坊っちゃん」を、もう一度読んでからこの日を迎えました。
素適な時間をありがとうございました 会員 Iさん
今回のマキノノゾミ氏の創作劇は、新劇の中にあって、観なければ大損と思える、とっても素晴らしい舞台でした。
物語は、「坊っちゃん」の小説に沿って流れていくので、とても分かりやすく感じられました。
舞台の赤シャツは非常に気配り人間で、みんなに角が立たないように当たり障りの無いようにするけれど、弁解など考えすぎて却って、周囲から誤解を受けてしまうのです。
その誤解を受けた状態が、坊っちゃんを主観とする原作の「坊っちゃん」なのか?
イヤ、そうではないはず、「赤シャツ」は創作劇なのだから。(汗)
しかし、その誤解が、解けてて山嵐と赤シャツが和解し握手でもしてしまったら、赤シャツがポカリポカリ殴られる話が消えて、別の物語になってしまう訳だし、・・・
今から100年前の物語を、「赤シャツ」を主観とする芝居に書き上げる。
そこにスポットを当てたマキノノゾミ氏の着眼点が凄いと思いました。
きっと誰も気づかなかった「赤シャツ」の苦悩を、見事に掘り下げて、「坊っちゃん」の原作に沿って進むお芝居に本当にビックリしました。
場面によっては、反戦主義の赤シャツが、弟や周りとの思想の違いによって苦しみ悩み、「真っ直ぐ一本気の坊っちゃんのように生きられたらどんなに楽か?」と嘆き涙を流す場面もありました(泣)
坊っちゃんの初当直の日に、イナゴが坊っちゃんの布団に入り込んでいたことを思い出させる場面もあり、(そう云う訳だったのか)と納得してしまったり・・・んな訳ない訳ですが・・ややこしくなります (笑)
また現在の人間関係にも反映され、うらなり・たぬき・のだいこ・山嵐・坊っちゃん それぞれの立場に見立てた考え方や立ち回り方がそのまま適用する思いがしました。
・・・と言う事は、100年過ぎた今でも人間の関係は何ら変わっていないのではないか??と思えてくるのと同時に、そもそも大きく変われる事の方が可笑しいのかもしれないと、妙に納得してしまったり、不思議な気持ちでした
そういえば、このお芝居は、悪役の存在が感じられませんでした。
坊っちゃんも一本気で損ばかりしている性格で、声だけの出演でした。
元自分の乳母「清」に宛てた(原作に沿った)手紙が、アナウンスで流れてくるだけのことだし、決して悪役ではなく、一本気なだけの新任教師ですし。
普通、「善いもん」と「悪もん」が混在することで、物語にメリハリが付いて面白みが出てくるくというもの。
悪役が悪ければ悪く思えるほどヒーローが素晴らしいものに見えてくる。
このお芝居には、それが見当たりませんでした。
それなのに、大きな盛り上がりもあり、弟とのバトルシーンも見事でした。
誰も悪い人が居ないので、爽やかな印象のお芝居でした
流石の脚本に驚くばかりです
とにかくお芝居が、人の心をこんなにも熱くさせてくれるものなんだということを
改めて感じました。
色々書きましたが・・・お芝居を目の当たりにした感動が大きく深すぎて、どんな言葉でも旨く表現できず残念です。
おまけ : 制作さんにちょこっと聞いた話・・・
「赤シャツ」のお芝居の中で、赤シャツが慶応義塾出身ということと、
神経衰弱で胃を患っていた事と本籍地を北海道に移し、
徴兵検査で甲種合格になることを避けたというくだりがあります。
これらのことは、「夏目漱石の逸話」として記されているとのことで、
赤シャツに重ねて創作されているという事でした。
(確か、甲種合格を避けたという話は、原作にもあったような)
「坊っちゃん」を、書いた夏目漱石は、天国からこのお芝居をご覧になってどう思われていることでしょう
今回は、10年に1度というくらいラッキーな、1列目と2列目の席が巡ってきてサークルのみんなは本当に喜んでいました。感謝でした。