マグロは食卓から消えたか

日本のマグロが値上がりしない理由。寿司屋からマグロが消えない理由。

マグロの国別漁獲量

2007-06-05 21:50:47 | マグロ
日本と台湾の漁獲量は、ともに年間25万トンである(2004年)。
台湾では日本への輸出を目的とするマグロ漁業が盛んである。
日本のマグロ漁船には国際的な規制が厳しく、漁獲量は減少傾向にある。
日本ではマグロ消費量の60%を輸入する。最大の輸入先は台湾である。
日本国内ではマグロの枯渇や値上がりが不可避と言われていたが、国内に出回るマグロが安くて豊富なのは、台湾からの輸入が多いからである。
しかし、台湾漁船のマグロ乱獲がマグロ資源保護にマイナスであり、台湾のマグロ漁へは国際的批判が強い。台湾漁船への漁獲規制が国際的な問題になっている。
日本が、世界中からマグロを輸入していることも、大きな問題である。




マグロ漁場

2007-06-05 19:16:15 | マグロ
世界のマグロ漁場では、日本の遠洋マグロ漁船が独占的にマグロを漁獲していた。しかし、1970年代には、世界の沿岸国は200カイリ排他的経済水域を設定し、日本の遠洋漁船をマグロ漁場から追い出した。







クロマグロ(長さ3m)
地中海、大西洋、太平洋の一部に生息する。北半球の海域に生息する。インド洋にはいない。マグロのうちでは最高級品。世界のマグロ年間総漁獲量は約200万トン、そのうちの4万トンがクロマグロである。絶滅が危惧されているため、先進国の政府と環境保護団体の監視が強まっている。



ミナミマグロ(長さ2m)
インド洋に多く生息し、インドマグロともいわれる。マグロ総漁獲量200万トンのうちの2万トン。先進国の環境保護団体の監視が強まっている。



メバチマグロ(2m)
熱帯~温帯に多く生息する。目玉が大きいのでメバチ。世界のマグロ総漁獲量200万トンのうちの40万トン。漁獲量が多いのは、発展途上国の沿岸に漁場が集中し、その発展途上国には排他的経済水域と公海の管理能力がないためである。



キハダマグロ(1~2m)
熱帯~温帯に分布。世界のマグロ漁獲量206万トンのうち、138万トンがキハダマグロである。マグロの60%以上を占める。キハダマグロも、発展途上国の海洋管理の及ばない海域で、大量に漁獲される。



ビンナガ(1m)
世界中に生息する小型のマグロ。ビンチョウマグロともいわれる。世界のマグロ生産量206万トンのうち、22万トンがビンナガである。




マグロ漁船第五福竜丸

2007-06-05 11:11:27 | マグロ
昭和29年、アメリカが太平洋で核実験をしていたが、その海域近くでマグロ漁をしていた第五福竜丸が水爆による放射能を多量に浴びた。広島・長崎に続く被害に、アメリカの核実験に反対する市民運動が盛り上がり、第五福竜丸は反核運動の象徴的存在になった。一方、日本国内では、すべてのマグロが放射能汚染されていると誤解され、マグロの消費量が急減した。
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静岡県焼津を出港した遠洋木造マグロ漁船第五福竜丸(140トン、全長30m)は、1954年3月1日、太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で、アメリカの水爆実験によって放射能被害を受けた。乗組員23人は食欲を失い、皮膚がただれた。3月14日に焼津に帰港した。





第五福竜丸の漁獲したマグロは焼津港に水揚げされたが、放射能汚染されていて、すべて廃棄された。また、第五福竜丸乗組員の久保山愛吉が帰港半年後に死亡した。
ビキニ環礁付近で操業した他のマグロ漁船からも、放射能汚染されたマグロが発見された。

日本国民はマグロの放射能汚染から、広島・長崎の原爆を連想した。原爆よりは100倍以上も強力な水爆実験であり、放射能で汚染の有無に関係なく、マグロを買うのをやめた。当時のマグロは原爆マグロ、水爆マグロ、放射能マグロ、と言われた。国内に水揚げされるマグロの放射能汚染はゼロであり、漁業団体はくりかえして安全宣言をしたにもかかわらず、マグロは売れなかった。水揚げされたマグロは、家畜のエサにされたり、海洋投棄されたりした。
マグロは国内ではタダ同然の安さであった。この当時、タラを原料とした魚肉ソーセージがあったが、味が悪かった。タラの代わりに、安いマグロを原料にして、味のよい魚肉ソーセージが開発された。美味しくて、安くて栄養が豊富であり、学校給食用として大量に売れた。マグロは国内に水揚げされ、少しずつ高く売れるようになった。



この丸善の魚肉ソーセージには薬品臭がなく、今の時点では一番美味しい。しかし、残念ながら大手スーパーでは売っていないようで、入手しにくい。