マグロは食卓から消えたか

日本のマグロが値上がりしない理由。寿司屋からマグロが消えない理由。

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マグロ漁業と便宜置籍船FOC

2007-06-08 17:45:04 | マグロ
世界のマグロ漁船の総数は2万隻。そのうちの1500隻は便宜置籍船である。また、船籍不明船も1500隻程度である。
便宜置籍船は船舶の形式的登録国であり、FOC(Flag of Convenience)と書き表される。台湾、日本、スペインなど先進国のマグロ漁船はマグロ資源保護のための国際規制を受けずに操業できるように、海洋管理能力がなく、しかも国際協定にも非加盟の国にマグロ漁船を登録する。登録される国はパナマ、ホンジュラス、ベリーズ、カンボジア、それに海のないボリビア、モンゴルなどである。
日本・台湾の超低温冷凍運搬船が、便宜置隻船からマグロを安く買い集め、最終的には清水の超低温冷凍倉庫に運ぶ。その結果として、日本ではいつでも安い冷凍マグロが売られているのである。

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マグロ漁船を便宜置籍船国に登録すると、マグロの魚種、操業海域、期日、数量などの国際的規制を受けない。マグロをとり放題の違法操業(IUU漁業)になる。洋上で日本あるいは台湾の冷凍運搬船にマグロを売り渡す場合、IUU漁業の弱みがあり、正規船の半値の取引になる。
日本で常時安い冷凍マグロが売られているのは、便宜置籍船国のマグロ漁船の違法操業(IUU漁業)と、それを手助けするマグロ冷凍運搬船が存在するからである。-60℃で冷凍する。日本では清水に-60℃の冷凍倉庫群があり、マグロ冷凍船は最終的には清水をめざす。
便宜置籍船のマグロは安く買いたたかれるので、マグロ漁船の利益が小さい。そのため、発展途上国の低賃金の船員を雇い、日本・韓国・台湾が手放した老朽船を使う。
便宜置籍船として登録変更しなくても、全長24m未満(ほぼ70トン未満)の小型漁船はマグロ漁船とみなされず、マグロ資源保護の規制対象外である。台湾を中心として、小型漁船によるマグロ漁が増加している。そして、マグロ冷凍運搬船は日本入港時のマグロ来歴チェックをすり抜けるため、小型漁船からマグロを洋上積み換えをしたように、偽装することが多い。

日本の冷凍運搬船が、日本漁船や便宜置籍漁船からマグロを買い集めて、日本に運ぶと、日本産のマグロになる。台湾の冷凍運搬船がマグロを買い集めて直接日本に運ぶと、台湾からの輸入となる。
日本のマグロ冷凍運搬船は、洋上で便宜置籍船からマグロを買うことは法的に禁止されている。しかし、長さ24m未満の小型漁船からマグロを買い付けたとか、操業許可を得ている日本漁船から買い付けたとか、入港時のチェックを欺く手口はいくらでもある。
さらに、マグロ冷凍運搬船そのものを、パナマやカンボジアなどの便宜置籍船として登録すると、日本への入港時には、積荷のマグロの来歴チェックがない。違法操業(IUU漁業)のマグロを、簡単に輸入できる。合法的なマグロを日本船籍の冷凍運搬船が運び、違法操業のマグロを便宜置籍船国の冷凍運搬船が運ぶ、という役割分担ができている。

マグロ資源が減少し、資源管理の国際協定が厳しくなった。国別の魚種・漁獲量割当、操業海域・期日指定、混獲防止のための漁法の規制などの国際協定を厳守すれば、日本へのマグロ供給は半減する。
しかし、マグロ漁船を、その国際協定に無関係の第三国に登録し、便宜置籍船とすると、国際協定に拘束されず、違法操業(IUU漁業)のやり放題である。いつ、どこで、どんなマグロを獲ろうが、全く自由勝手である。船員も低賃金の外国人を雇う。日本・台湾で使っていた老朽船を使う。
便宜置籍船の船主は、自らの船を、Flag of Freedom (FOC)と呼ぶ。
1年を越えるマグロ遠洋漁船の長期操業を支えるため、国際的補給システムがある。漁船に資材・食料・燃料・家族からの手紙などを届ける補給船があり、その補給船に冷凍設備があれば、補給と引き替えにマグロを積み替え、日本に運ぶ。IUU漁業のために新たな国籍を得た漁船が、便宜置籍船である。その便宜置籍船も、正規船同様、国際的補給システムに支えられている。

便宜置船国は中南米のベリーズ、パナマ、ホンジュラスなどであるが、海に面していないボリビアの登録船もある。アジアではカンボジア、海のないモンゴルなどである。ファックス1枚で登録ができるし、登録国の変更もできる。
便宜置船国への手数料は年100ドル程度で済むのに対し、IUU漁業による利益は1隻当たり10万ドルを越えると推定されている。
便宜置籍漁船の本当の所有者は台湾、韓国、日本、スペインなどである。特に台湾の便宜置籍船が多い。しかし、漁船の転売が頻繁にくりかえされ、所有者も転々と変わるので、便宜置籍船の国際的規制が難しい。

日本の遠洋漁業は衰退し、マグロ漁船も減船しているのに、日本産マグロ漁獲量が減らない。その理由として、日本の大型冷凍運搬船が、インド洋、大西洋、太平洋で、便宜置籍船から直接マグロを移し替え、日本に運んでいるためである。便宜置籍船の漁獲したマグロが、日本の冷凍運搬船に積み替えられると、日本漁船の漁獲の形になる。マグロのロンダリングといわれる。
台湾にも、マグロ超低温大型冷凍倉庫があり、台湾漁船、便宜置籍船、小型漁船の漁獲したマグロが-60℃で保存されている。日本国内でマグロ価格が上昇した時に、日本の清水港に向けて輸出される。

マグロの国際的漁獲規制は24m以上の漁船を対象とする。中には、長さ50m、総トン数600トンの巨大漁船もある。大型漁船は国際的規制を避けるため、第三国に船籍を移し、便宜置籍船として規制を避けてマグロを乱獲している。

台湾は23.9mプのマグロ漁船を多数建造し、外国にも多数輸出している。23.9mの漁船は国際的マグロ漁業規制の対象外だから、便宜置籍船として登録する必要はない。世界各国では23.9m型のマグロ漁船が、大型の便宜置籍マグロ漁船とともに、国際的規制を受けずに、マグロを漁獲している。
日本・台湾などのマグロ冷凍運搬船は、23.9mの規制外マグロ漁船と、便宜置籍マグロ漁船、日本のマグロ漁船などから、冷凍マグロを洋上で買い付け、日本の清水に運ぶ。このうち、23.9m型のマグロ漁船との洋上取引は違法ではない。日本漁船との洋上取引も違法ではない。つまり、便宜置籍マグロ漁船がIUU漁業の海賊船であったとしても、冷凍運搬船は便宜置籍マグロ船との洋上取引を隠す手段はいくらでもある。つまり、日本へのマグロ供給は当分は減らない。しかし、マグロ資源は確実に減少しているのである。
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便宜置籍船を海賊船と呼ぶ自然保護関係者が少なくない。マグロ資源保護の国際協定を無視するだけではない。合法的に操業しているマグロ漁船の延縄を切断して、漁獲直前のマグロを横取りすることがある。
冷凍運搬船には違法操業(IUU漁業)の弱みで、マグロ価格を安く買いたたかれる。便宜置籍船は、一層コストの削減と違法操業につとめることになる。
下船希望の乗組員には船内で懲罰を加えることがある。また、急病人が出ても、救助を関係機関に要請できにくいため、病人を死なせてしまうこともある。老朽船のため、ある日突然沈没という危険もある。

主要便宜置籍船国とマグロ漁船隻数(24m以上。2005年)
ベリーズ:241
ホンジュラス:416
アンティル:20
パナマ:222
ボリビア:16
キプロス:27
カンボジア:47
マーシャル諸島:7
シエラレオーネ:27
赤道ギニア:39
モーリシャス:24
グルジア:60
バヌアツ:47


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