NEETな日常

<Not in Education,Employment or Training>

「東電批判したら経産省から圧力」渦中の古賀茂明氏『日本中枢を再生させる勉強会』講演テキスト起こし

2011-07-15 12:25:11 | ネット
こちらの記事より転載

【このテキストは転載自由、拡散自由です】

先日7月5日火曜日に衆議院議員会館にて開催されました超党派の勉強会「日本中枢を再生させる勉強会」に於ける、古賀茂明さんの講演の様子を取材し、テキスト化いたしました。

動画やPDF化した当日の資料は、こちらに掲載しています。参考にしてください。(取材:東京プレスクラブ、協力:プレスネットワーク)

東電救済法案とも言われる「原発賠償機構法」が早ければ今週にも通るとの見方もある中、周辺の動きは慌ただしくなってきています。今つけるべきけじめをつけずに、未来の若者達に負債を押し付けることにするのか。わたしたちはその瀬戸際にあると言えます。ここでどういう決断をするかで、未来のエネルギー産業は大きく変わってくる可能性があります。このまま、あいかわらずの体質のままで進んでいっていいのでしょうか。

東京電力の今後、エネルギー産業の今後についてのたたき台となる『古賀プラン』を震災後迅速に公開し、議論のたたき台をつくってきた経産省の古賀さんが、先日事務次官より「辞めてほしい」と「退職勧奨」されたとの報道がおこなわれました。一体何が起きたのでしょうか。講演はその時の話からはじまり、公務員改革、そしてエネルギー産業の改革のあり方などについて触れる大変興味深い講演です。講演の時間は実質30分でしたが、実に濃密な30分間でした。

古賀さんはまさに現代の「志士」とも呼ぶべき、得難い論客だと思いますが、理由も明確でないまま、そのような人物を斬り捨てようとする経産省やそれを止めようともしない官邸らの動きには危機感を覚えます。その影響はマスコミにも及び、寄稿やテレビ出演までも難しい状況となりつつあるそうです。意見を述べることすらままならず圧力を受ける状況、その裏には何があるのでしょうか。


出席者:
渡辺喜美さん(みんなの党)、小沢さきひとさん(民主党)、塩崎やすひささん(自民党)、河野太郎さん(自民党)、ほか勉強会出席者多数。

●古賀茂明さん(経済産業省 大臣官房付)プロフィール
ダイエー、カネボウなど事業再生のプロフェッショナル。中曾根康弘元総理をして「これは革命だよ」と言わしめた公務員改革を支え、遂には昨年末公務員改革に及び腰の民主党と衝突し、閑職に飛ばされる。震災後はエネルギー産業の未来へのたたき台となる『古賀プラン』等を公開し、議論の一翼を担う人物として注目されている、が先日経産省より「退職勧奨」という圧力を受ける。まさに「戦う官僚」。その力の源泉をきいたところ、がんとの闘病を通して「正しいことをやりたい」と考えるに至ったとのこと。




古賀茂明氏講演「日本中枢を再生させる勉強会」(超党派)
私が今までやってきました公務員改革の話と、それから電力の話。この2つを中心に話をさせていただいて、あと色々質問等あると思いますので、それにお答えしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

まず私が置かれた立場であります。報道でご存知の方も多いと思いますけども、6月の24日金曜日の午後でしたけども、松永和夫経済産業省事務次官から呼ばれまして、7月15日をメドにやめてくれと。理由は君に相応しいポストがないから。という一言でありました。

で、私は一昨年の12月の17日に、公務員制度改革推進本部の事務局というところから経産省のほうに戻りまして、そのときに普通の時期ではない移動だったので「いますぐポストはないから、ちょっと年明けまでまってくれ」というふうに(経産省の)事務次官と官房長官から言われまして、そのまま結局一年半以上仕事がないままという形になっております。それ以前は渡辺大臣が行革担当大臣をやられていたときに、ちょっと手伝ってくれということで呼ばれまして、公務員改革基本法というのが出来た後をうけてその実施法を作っていくという仕事に携わったわけであります。

公務員改革
今日はちょっと話のなかで、おそらくですね。自民党や民主党の先生方が「なんだこいつ!」と思うようなことをいってしまうかもしれませんけども、私は特にどの政党ということはなくやっておりますので、そのなかで感じたことをそのままお話しします。それが結果的に自民党批判であったり民主党批判であったりといったことに繋がるかもしれませんがそこのところはご容赦いただきたいというふうに思います。

もともとですね、自民党という政党も公務員改革には決して熱心ではなかったと私は感じております。ここにきている先生方は、もちろん非常に前向きで私が公務員改革をやっているというのも、色んな形でサポートをしていただきました。自民党の会議のなかで、声高に改革の必要性を叫んでいただきましたし、最後よりきられそうになるところを何回も土俵際で踏ん張っていただいて押し戻すということをやっていただいて、私のいたときに公務員改革の法案が一応できた。出来て国会に出せたというところまでいっております。

実はそのとき、おもしろいことに自民党はどちからというと、全体としては足を引っ張っていた方が多かったんです。自民党本部の幹部会とかそういうところに行くと、私は1人でその必要性を訴えていました。そして例えば「人事院から権限を内閣人事局に持ってくる」なんてことをいったら今日は名前を言いませんけども、一般の方は改革派だと思っておられるような先生が「君そんなことできるわけない。僕だってできなかったんだ」みたいなことを、おっしゃる、というようなことがありました。

自民党に足を引っ張られながら、実は裏で民主党の先生方には非常に応援していただいていたということもありました。松井孝治先生や――これはいい話ですから名前出していいと思いますが――そういう方々が裏で「お前ガンパレ!」と。あとは外務の竹内先生ですね、そういう方々には裏から支えていただいた。しかしながら結局自民党時代に出した案は廃案になってしまいました。

そのあと選挙で民主党政権になり、私は非常に期待しました。というのは、我々を裏で支えていただいていた民主党が政権をとるのならばもっと思い切ったことができる。そういうふうに思いまして、事務局にも全体ではもちろん後ろ向きの人も多かったんですけども、若い人を中心に「これもしかすると凄いことができるかもしれないぞ」というので内々に、いろんな革新的な案を、錬ったりしながら待っていたのですが、当初ではマスコミでもだいぶ話されていますのでご存知のかたも多いと思いますが、仙谷官房長官。当時は最初に話をいただいた時には大臣のポストが決まっていない段階で、厚労大臣か行政刷新大臣かというような話をされた段階でお声がけをいただきまして、公務員改革だけでなく様々な改革について色々意見交換をさせていただいたりしました。そのときには、補佐官で来てほしいというふうなお話しもいただいて、そのあと行政刷新大臣になられたわけですけども、行政刷新会議のメンバーはどうするんだとか、事務局をどういう風に構成するか。こういう案を作ったりして、仙谷さんはその場で我々が推薦した方に電話をして、了解と取り付けたり、そんなところまで話が実は進んでおりましたが、9月のシルバーウィークの間に呼ばれたのですけども、2時間以上待たされまして、本当は早く来てくれと言われて予定よりも早くいったのですが、そのあと結局ずっと中に通してもらえない。入ってみたら雰囲気ががらっとかわっていて、何か具体的な話はなにもなく雑談をして「それじゃまた」みたいなことで、それっきり私は仙谷さんとはお話しをしていないという状況であります。

そのわずか数時間の間に、状況が逆転したということであります。その間なにがあったか私にはわからいのですけども、言われているところでは、やはり霞ヶ関の官僚、官邸が中心になって私の起用を阻止した、というふうに言われています。

そんなことで、自民党も民主党もこの国の形を変えていくということをやるうえで、その重要性をわかっておられる方と、それとは逆にこの国の形が変わると困るという風に思っておられる方もおそらくたくさんおられる。そして常にその攻め際にいるというのが私の実感であります。

したがって、国民から見ると公務員改革だけじゃなくて自民党ですか民主党ですかと言われても非常に困る。というのが正直今起きていることじゃないかなと。ですから、これだけの閉塞状況、もちろん地震というのもありますから、こんなときに選挙するのかという議論ももちろん出てくるんですけども、なんで選挙というものに前向きになれないかっていうと、選択肢がないということが非常に大きいと思うんですね。



政策のイノベーション
それから管さんの能力がどうのこうのと色々議論がありますけども、国民がいまひとつ盛り上がらない。つまるところそのあとの選択肢がないんです。国民は結局同じじゃないか、という風な感じを抱いている。普通であればこういうときは世論が盛り上がっていくんですね。「なんとかしてくださいよ」となるとこなんですけど、そうにすらならず相当冷めちゃった状況だというふうに感じています。

失われた20年、これから30年になりそうだっていう話もありますけど、この間政治の責任というのは非常に大きいと思います。そして官僚が新しい政策をちゃんと提示してこなかったという責任も非常に大きいと思っています。日本の経済が世界の一流に、追いつき追い越せといって追いついて、さらに優秀な企業によっては追い越して、世界のトップランナーになっていったのに比べて、行政のほうは追いつき追い越せというところはやったんですけども、その後追い越すというを全然できなかった。追いついたところであぐらをかいて、日本の行政の中から政策のイノベーションがまったくでていない。これが最大の問題だと思います。そして結果として出てきたパフォーマンスが、最低のパフォーマンス。

あれだけ優秀で公正であるといわれた官僚が政策を作っているにもかかわらず、世界から見て、日本の行政について「いい政策をやっているから、ちょっと視察にいってこよう」て話は聞いたことがありません。

我々はよく色んな国へ視察にいきます。それは別にアメリカとかイギリスとかドイツ、大国だけではありません。デンマークだとかスウェーデンだとかそういう日本に比べればはるかに規模の小さな国でも、いろんな政策をうみながら新しい取り組みがはじまっています。どんどんそれが実施されています。しかし日本ではそういうことがまったく起きない。これは政治の問題もありますけど、やはり官僚の質が非常に下がっている。イノベーションを起こす、そういう仕組みになっていない。だけど今イノベーションを一番必要としている国はこの日本なんです。世界のマネをしているだけじゃとてもやっていけない。新しい政策をどんどん作らなければいけない。それを生み出す官僚制度になっているかどうか。ということであります。

仮にこれが政治のほうが大きく変わって、新しい政策を実現したいというイニシアティブをとれる、そういう政権ができたとしても官僚制度が国民のために働くという、そういう仕組みに変わっていない限り、改革も中途半端に終わる。それから政権が交代する度に、その隙を狙って後ろに戻る。いうことがおきるだろうと思っています。

自民党から民主党に政権が変わっていろんなものが前に進むかと思われたのですが、実はその隙をついて後ろへ戻っていることがたくさんあります。そういうことを考えたときに、やはり官僚が自分の省益のことを考えて、互助会と呼んでますけど天下りを含めた自分達の利益を守ろうというその仕組みを変えておかない限り、決して日本の改革は前に進まないだろうという風に思っています。それが今、公務員改革について感じていることでありまして、おそらく今日お集まりの先生方は、官僚が国民のために働く仕組みを作るといことについて非常に熱心な先生方ばかりだと思っています。ここにおられない今まで足を引っ張られていた先生方に強く申し上げたいのですけど、この点に手をつけないで、他の官僚といくらやろうとしても意味がありませんよ。おそらくできませんよ。ということを強く申し上げたい。それが公務員改革に関する話です。ちょっと具体的な話をすると時間がなくなってしまいますので、次に電力について触れさせていただきたいと思います。



東京電力の問題
今お手元には少し長い資料をお配りしてあります。東京電力をどうするか。それから、その後の電力事情をどうするか。それが大きな課題になってきて国会での審議がはじまります。大事なことは、1つは賠償をちゃんとやるということ。それからもう1つは、電力供給を安定的に継続すること。それからもう1つ忘れてはいけないのが、将来の電力市場、あるいはエネルギー産業というものの発展の基礎というものを、この際しっかり作る。道筋をつける。ということを達成しなければいけない。という風に思っております。今政府のほうから新しい原子力損害賠償法支援機構を作る法案が出ておりますけども、私はこの法案というのはいかなる意味においても非常に悪い方の選択肢を選んでしまったという風に感じています。

これから審議が行われますので、ぜひ国会の場では、これを大幅に修正ないし作り直しをしていただいたほうがいいんじゃないかという風に思います。いくつかのポイントはありますが、1つは東電に支払いをさせるのか政府なのかという議論がずっと行われておりますけど、被災者からみればどっちでもいいので早く払ってくれということだと思いますので、私はこの紙では国と東電の連帯債務にとりあえずして、それでどちらに責任があるかというのは、東電も政府もあとでゆっくり調整をしていくという仕組みにしたらどうだと申し上げております。

いずれにしても今東電を叩けばいいという風潮が広がっていますが、これは政府の中から見る、あるいは経産省にいるとよくわかりますけれども東電を徹底的に悪者にするということによって政府の責任をかすませる、ということをやっているのは非常に明らかだと思いますので、あまりそこに惑わせないように。とにかく視点の中心は被災者だということ考えが1つ重要なことです。

東電の法的整理
それからもう1つ、東電は破綻処理をするかどうか、法的整理をするかどうかということが議論になっています。法的整理をするかどうかというのは東電を潰してしまえというそういうレベルの議論ではなく、国民負担をどれだけ小さくできるかという観点それだけです。要するに今の政府の案では、株主の責任は問いません。ですから引き続き同じような権限を持ち続けるというようなことになります。私の考え方で法的整理すれば、株主の責任を100%問います。JALのときも同じです。JALのときも株は紙切れになりました。大混乱に陥ると言われましたが何の問題もありませんでした。今回もこれをしっかりやる。そうすると株式資本は1.6兆円今ありますので、1.6兆円分は国民負担で株をもちます。

それからもう1つ、通常の企業でお金払えないと言ったら、起きることは銀行の債権はカットするということになります。今、有利子負債が4兆弱ありますので、これをカットする比率によりますけど、例えばJALの場合は8割以上カットされました。しかもJALの場合社債までカットしてるんですけども、今回は技術的なことですけど、電気事業法で社債は一旦担保付き債券ということになっていて、保護されてしまいます。それはカットできませんが、社債を除いて4兆ぐらいの金融機関からの融資を行いますので8割カットすれば3兆ぐらい確保できる、5割カットすれば2兆確保できる。その分、国民負担が減ります。普通に法的処理をすると国民負担は3兆から4兆確実に減るということです。今の政府案では3兆から4兆、株主と銀行を保護するためのコストを国民に税金ないし料金負担で上乗せをしている。これは非常に長期に渡って利益のなかからちょっとずつ取りますというような形を法案上はとることによって目立たなくしている形であります。

ここは1つ大きなマジックがあります。料金の値上げはしない、厳しく利益から削り取るという風に言っています。しかし、日本の電力料金の決め方というのは総括原価方式というのになってまして、かかったコストというのは丸々電気料金にのせられる。コストプラス適正な利潤という考え方でできるということがわかっています。適正な利潤の算出ですが、実はコストに一定の比率をかけるということを致しております。つまり、利益を増やすためにはコストを増やすことが一番の近道という構造です。普通の企業とはまったく逆です。普通の企業はコストを減らすことによって利益が増える。電力会社はコストを増やすことによって利益が増える。つまり、電力会社は利益から負担をさせますよ。といえるのは何をするかというと、コストを増やしてその分利益を水増しするということです。あるいは、今ジャブジャブのコスト構造になっているはずですけど、ジャブジャブの構造になっている利益とういものを、本来は査定をすると大幅な電力料金値下げということができるはずなんですが、それをしないで余裕をもったままにしておいて、本来下げるべき料金を下げないで経費の中から負担をしています。という形を作ることが起きるだけですので、やはり国民負担になってくる、しかも国民負担から株主と銀行の債権を守るという部分だけ上乗せされた形になっていくということです。

この法案のもう1つの非常に大きな問題は、基本的にすべて東電が悪者になるということをアピールするための法案ですので、20年でも30年でもこの事故を起こした責任という十字架を背負わせて、ずっと儲からない会社で儲けても全部借金の返済のためにあてられるという風な、非常に暗いゾンビ企業になっていくということです。東電は日本の経済の中枢の首都圏を担当している会社ですので、本来は日本経済の発展の中心になるべく首都圏の電力市場、これを支える中心的企業が何十年かゾンビ企業であるという選択をしています。



日本のエネルギー産業を進化させる最後のチャンス
実は成長戦略では、日本のエネルギー産業というのはどんどん伸びていくはずの期待される分野になっています。それは、当然のことながらホームプレイヤーとなる電力会社が電気にいろんな設備投資をして、特にスマートグリッドというものをどんどん展開し、再生可能エネルギーがどんどん発展し、それによってそこに日本の技術とういうのはそういう分野で非常に進んでいますから、そこのフロントランナーになってそれをもって世界のスマートグリッド市場に出て行く。そういう戦略であります。ところが、この復興法案のような選択をすれば、それの一番中心的になるはずの東京電力がそういう余力がいっさいない企業になっていく。スマートグリッドの発展というのが特に非常に遅れていくと思います。

日本は最先端にどんどんいけるはずなんです。ここ10年ぐらい若手の連中はそれらをすぐやりたいということで色んなアイディアを出してきたわけですけども、発送電分離につながることを懸念する電力会社に強硬な反対によってすべて潰されてきた。ですから私は若い人たちと話していてそこまでいうのは驚いたのですが、彼らが言うには「古賀さんやめないでください。東京電力をとにかく解体してください。そうでなければ日本のスマートグリッドは絶対に進みません。今回が最後のチャンスです。」ということを非常に強く訴えていました。結局、改革の大きなチャンスであるのに、この法案でですね、この法案が通ったから発送電分離ができないというわけではありませんなんて理屈はいってますが基本的には今の仕組みの温存する方法でいくことは確実だと思います。ということで、非常に大きな問題を抱えた法案だと思いますので、ぜひこの点について国会で真剣なる議論していただいて、根本的な議論をしたうえで決断していただきたい。

電力会社の根回しが相当効いてきている
一時ですね、この話題で随分盛り上がった雰囲気が感じられたのですけども、今私が肌で感じているところでは、電力会社の根回しが相当効いてきていて、ほとんどこの改革というのは瀕死の状況になっています。オセロゲームでいえば真っ白になるような機運であったのがパタパタと黒く裏返ってきているという雰囲気を感じています。これは民主党だけでなく自民党のなかでもそういう感じではないかなと非常に心配をしておりまして、今日は日本の将来を察する先生方がいらっしゃいますが、こういう先生方のご意見というのが下手をすると葬り去られてしまう可能性があるなと、それぐらい電力会社の力が強いですね。特に地方にいけばその力というのが歴然としています。

東京にいるとトヨタもいれば新日鉄もいるしなんとなく東京電力が相対的に大企業の1つだと言えるはずですけど、地方にいけば電力会社というのはダントツの力を持っています。それはなぜかといえば、さっきの総括原価方式でコストを高くしている電力会社。つまり、売るほうの側から見れば何でも高く買ってくれる。この構造があるんです。ですから、例えば鉄鋼会社とか化学会社が100万kWの自家発電を設けたとする。普通に考えればフル稼働して余剰電力を電力で売りたいというのがあたりまえなんですけど、これは言えないんです。東京電力に余った電力を買ってくださいという話ができない。ついこの間まではスマートグリッドという言葉も出してもいけない。そういう状況だったんですね。それぐらいの力があります。

今日はテレビ局の方も入られてますし、マスコミの方もたくさんいらっしゃいますけども、実はマスコミにも同じです。東京電力がここまでやられているのだから、全然力がなくなっているのだろうと思いきやそんなことは全然ないんです。ですから、私をテレビに出すということについては、プロデューサーレベルで非常に大きな議論になって(だいたいの場合は)なくなります。ディレクターレベルで色んな局の人たちが、内々で私のところに来てご出演をお願いします。という話があって準備をしていると、ほとんど全部なくなります。私の知り合いの経産省を経験された官僚の人たちがが関西でTV出演をしようとした。そのテレビ局で最初にプロデューサーに言われたのが「今日は発送電の話は絶対にしないでください。」ということだった。これはつい最近の話です。というぐらい力が非常に強いんです。学会でもそうです。

私は、電力会社の広告は禁止すべきだと思っています。競争していないのに宣伝する必要は全然ないんです。節電のコマーシャルっていうのを、あるいはそのこの間までお詫びの広告というのを大量に流しましたよね。さすがに批判も強まって今はほとんどなくなっていると思いますけど、あのお詫びの広告は何かというと、要するに東京電力の力がなくなっただろうと思っているかもしれないけどまだまだありますよ。というメッセージだという風に私は思っています。現に、金が入り始めてからマスコミはかなりひいてます。

それを変えていくというのは、日本の社会を変えていく上で非常に大きな意味があると思います。適切ではない例えかもしれないですけど、GHQが財閥解体をやりましたよね。それに近いような感覚。単なる電力市場の問題だけではなく、社会構造を変えるぐらいの意味をもっているという風に思っています。

今、日本は平時ではない
時間がだいぶなくなりましたので、最後にここにお集まりの先生方は日本をなんとか変えようということで、お集まりいただいてる方々ばかりだと思いますけど、これからやる改革というのはどういうものか。もちろん1人ずつ全部考え方は違うと思いますけど、1点大事なのは今日本は平時ではないということです。緊急時であるという理解をしていただきたいなと思います。そういう時に、行う改革はそうとう今の仕組みにのっかている方々、悪い言葉で言えば既得権グループという方々にとっては、非常に大きな不安、あるいは不利益というものを甘受していただかなければいけない。いままで散々言われてきたけど出来なかったこと、それは難しいからできなかったことですけども、それを今手をつけざるをえない時に来ていると思っておりまして、私は先生方に色々ご支援をいただいてですね、辞めるなという風に言われてます。ツイッターだとか色んな手紙だとかメールでですね、絶対やめるなという話が来ておりますので非常に心強いのですが、もし仮にこの職を退くということがあった場合は、この改革について先生方がどれだけの覚悟をもってやっておられるのか。ということを問いかけるようなキャンペーンをやりたいなという風に思っております。

国民が国民の声として、政治家になにをやってくれるのかというのを、突きつけていく。こういうことをやらないとですね。おそらくこの国は変わらないだろうなという風に思います。例えば具体的な例としては、今まさに議論となっている電力についてですね。よい改革のプランだと言えるんですかと。例えば年内に、発送電分離、あるいは発電の分割というのを含めた完全自由化ということについて、イエスという方向性を出してください。イエスといえますか、ノーですか。ということを突きつけていく。あるいは東京電力について株主責任、銀行の債権カットということに踏み込めますか。イエスですかノーですか。ということを問いかける。

若い人は今、税金も年金も払うな。自分達の将来をかんがえろ
あるいは、増税という非常に安易な方向に今全体が向かっていますけど、増税の前に、それは公務員改革をやるとかそういうことももちろんあるんですけども、戦う成長戦略というのが必要という風に思うのですけども、若い人のこれからの社会保障を考えたときに、増税というのはなんの足しにもなりません。なぜなら増税しても全部今年使っちゃうんです。若い人のためにとっとくのではありません。私は若い人にいっているのは、税金も年金も払うなと。それはですね、ただ払うなといってるわけではないんです。仮に政治がこういうことをやってくれなかったら私達は払いませんよ。という風に言うべきである。こういうことっていうのは何かというと、自分達の将来の年金や医療の社会保障が安心安全だといえるために、なにをやってくれるんですか。それは今の増税じゃないよ。増税やって今年使っちゃったら何も意味がないですよ。若い人にとって意味があるのは30年後40年後の日本で、自分達が歳とったときに、その時の若い人達がちゃんと社会を支えてくれるような経済と成長戦略をつくっていくことが必要なんです。

戦う成長戦略
この間自民党の成長戦略を見せていただいて、農業とか医療とか最先端エネルギー、そういうのがこれからの柱という風に書いてあった。ところがこういうもの全てにおいて、自由な活動はほとんどできません。農業をそんなに大きく伸ばしたいのだったら、そこに巨大な資本が入って大規模にやらなくちゃいけません。中国でも株式会社が農業をやっています。そこに日本の商社が出資をして、株式会社が農業やってるんです。ところが、日本でそれはできません。農業を伸ばしたいんだったら、そういう改革をやりますか、これは農協との戦争になりますよ。農協と戦えるんですか、という話です。私は株式会社のことばかりいってますが、それはわかりやすいから言ってるんです。資本主義の国でありながら伸ばしたい産業で株式会社が自由な活動をできない。この滑稽さというのはなんなんだろうか。

医療に株式会社が入ります、となるとそれは医師会と戦うということ。このように、いろんな改革をするときには必ず「戦う」という要素がでてきます。なので「戦う成長戦略」と言ってます。昔、自民党では成長のためにといって公共事業に色々ばら撒きをやりました。その結果財政再建どころか、財政はどんどん悪くなった。そういうトラウマがあります。ですので「成長で財政再建」というとまやかしだと批判される。むしろ守旧派の論理だという風にレッテルを貼られることが多いんですけど、これは完全に間違っています。ばら撒きじゃなくて改革によってちょっとずつ成長していくんです。小泉改革のときは税収が40兆から50兆に増えてるんです。増税はしておらず1%も税率をあげていません。しかし今また40兆に戻っちゃいました。これを50兆60兆にしていくにはどうしたらいいのか。そのためには、変わらなきゃできません。改革をどうやってやるのか。戦う形で改革をやってほしい。そういうキャンペーンをやりたいなと思っています。

まだ辞めると決めたわけじゃないんですけど、ゆくゆくはそういうような判断をせざるを得ない時が来るのかと思いつつ、そんなことを考えてます。

(了)

1:400

2008-05-28 16:44:11 | 都政関連
動物園なんてもう10年近く行っていませんが、子どもの頃に上野動物園でパンダを見たことがあります。
トントンというパンダが生まれたのは覚えているのですが、このトントンもすでにこの世にはいなくなっていたとは知りませんでした。
先月、上野動物園にただ一頭残されていたパンダ君が老齢のため他界し、ついに上野のパン打者はその主を失うことになってしまいましたが、その後すぐ、訪日した中国の胡錦涛主席は福田首相に対してパンダ二頭を上野に貸し出すことを約束してくれました。
ただ、このパンダの受け入れについては反対意見も少なくないようです。
反対派の代表格はやはり都知事の石原君。石原君は、「一年間にレンタル料が一億円もかかるなんて高すぎる!都民の税金をそんな無駄なことに使うことはできない!」とかおほざきになられたようですが、金持ち石原君にしてはなんとけちくさいことを言うのかと笑ってしまいました。
自分で始めた銀行ごっこには何千億という金を使い、うまくいかなくなるとまた400億の追加資金を投入しようという人物が、年間たかだか一億円ぽっちになにをほざくか。本当にけつの穴の小さい男です。
こんなくだらない銀行ごっこにつきあわされて何千億もの血税をどぶに捨てるぐらいならば、パンダに来てもらったほうが400倍ましです。二頭でも200年は借りていられる計算ですわ。
石原君のような金食い虫を飼って置くのと、上野動物園でパンダを見るのはどちらがお得か、考えるまでもないと思うのですが。
まあ国益にも都民の利益にも興味のない、ただ自分のわがままを満足させたいだけの石原君には、わからないかもしれませんけどね。


虐殺国家に抗議する

2008-03-23 18:47:50 | イラク関連
「イラク国旗掲げよう」 ネット発「米国抗議行動」活発化
C月BA日BZ時CE分配信 JO-DANニュース


「ブッシュ大統領来日時に日本中をイラク旗だらけにするOFF」のサイト

 バクダットで起きた大規模な虐殺で、米国政府に国際的な非難が高まっているなか、日本国内のインターネット上でも米国を批判する動きが出てきた。ミシミシに「イラクの独立」を呼びかけるコミュニティができたほか、「イラク国旗」をプリントアウトして、米国ブッシュ大統領が来日した際に掲げて抗議しよう、というサイトも登場するなど、ネットが「起爆剤」的な働きをしている。

■「インターネットのおかげで参加者が相当多く集まった」

 インターネットが起爆剤となって、米国への抗議運動が日本でも活発化している。

 イラクを支援する組織ISNJはB00H年C月BB日に米国大使館前で抗議活動をするほか、周辺でデモ行進を行うが、HP上で「イラク国旗」をダウンロードしてプリントアウトできるようにしている。デモなどには「少なくとも300人、多くて600人」が参加する見込み。同組織はJO-DANニュースに対し

  「インターネットのおかげで参加者が相当多く集まった。こちらとしては10年近くイラクの現状を訴えてきたが、事件を契機に皆さんが関心を持っていただいてよかった」

と話している。

 この運動とは別に、「ブッシュ来日時に日本中をイラク旗だらけにするOFF」と題されたサイトも登場。ネットユーザーが実際に集う「オフ会(OFF)」を念頭に、

  「とにかく世界中で日本だけが虐殺国家を歓迎してるなんて思われないようにしないといかん。抗議活動したことない人でも参加できる、イラクの人々への応援OFF。OFF参加できなくても今日から日本中をイラク国旗でいっぱいにしよう」

と呼びかけている。

■ブッシュ大統領来日の際、「イラク国旗」を持って「歓迎」

 このサイトでは、0H年E月に予定されている米国のブッシュ大統領が来日する際に、沿道で「イラク国旗」を持って「歓迎」することを計画しているほか、各人のブログに「イラク国旗」の画像を貼ることや、車に国旗のステッカーを貼り付けるよう呼びかけている。ここでも、「国旗」などをダウンロードしてプリントアウトできるようにしてある。

 また、SOSの「miximixi(ミシミシ)」でも「イラクの独立」を呼びかけるコミュニティが次々と作られ、参加者が6000人を超えるものがある。

 イラクの首都バクダットで、米国政府のイラク侵略政策に抗議するイラク国民の大規模デモが続き、2003年3月20日からの1ヶ月で英米軍に殺されたイラク人は3万人。2004年10月までに少なくとも10万人のイラク国民が殺された。2006年10月にいたって、占領による死者は、65万人に達した。
米軍による虐殺は、現在も続いており、その犠牲者は日に日に増え続けている。




以上、冗談ニュースでした。
米国のイラク侵攻は現在も続けられ、現在では侵攻の理由もでっち上げだったことが明らかになっていますが、それを大きく取り上げて抗議する動きは見られないようです。
少なくとも大手マスコミは取り上げていない。
国内で米兵による婦女暴行、殺人などの事件が起きても、正面から抗議することも出来ないし、しようともしない。
これらの事実は日本の置かれている国際的立場をはっきり表していると言えるでしょう。

偽装と効率

2007-10-25 14:21:40 | 時事寸評
偽装。ここ数年、良く目にするようになった言葉です。

耐震偽装、食肉偽装(牛肉、豚肉、鶏肉)、不二家、白い恋人、赤福、領収書の付け替え、日付の書き換え、偽装請負、偽装メール、消えた年金、自衛隊の米軍艦船へん給油量偽装、社保庁のずさんというよりもあまりにも悪意に満ちた年金処理、厚生労働省や旧ミドリ十字が引き起こした薬害問題などもこれに含まれるかもしれません。

これまで表沙汰にならなかった問題が、ここに来て一気に噴出してきたということでしょうか。
今、明らかになっているもの以外にも、まだまだ出てきそうです。

いままで表沙汰にならなかったと言うことは、いままではあまり誰も問題にしていなかった、と言うことでしょうか。

食品産業での偽装は、原材料生産地の偽装から、使用原料そのものの偽装、日付の偽装などがありますが、これらのほとんどが慣習的に行われてきたもので、社内ではあまり問題視されていなかったという共通傾向があるようです。つまり、ベテラン社員が、その長年の経験によって「これくらいの偽装ならば大丈夫」という気持ちで行ってきたものです。熟練の技術者だからこそ、おこしてしまった偽装ということができるでしょう。
職人技の継承などが叫ばれていますが、どうやらそんなに簡単なことではないようです。

高松塚古墳の国宝壁画がカビで破損され、ついには十何億円もの税金を使って解体しなければならなくなったのも、文化庁や関係機関の「ベテラン」たちが、その長年の経験で「これくらいなら大丈夫」という気持ちでとった行動が引き起こしたミスです。

耐震偽装なども、その最たるものでしょう。長年、建築士としての仕事の携わってきた「ベテラン」が、鉄筋をこれぐらい抜いても、コンクリートをこれぐらい薄めても「大丈夫」と判断して引いた図面です。
これに類似することは実際の建築現場ではもっと頻繁に行われていることでしょう。現場監督、親方、ベテラン労働者の一存で材料の質や量が左右されることは、良くある話です。

なぜ、こういうことになるのか。
なぜ、「ベテラン」は偽装を行うのか、あるいは行わざるを得ないのか。

その一因には「効率」ばかりを追求する、日本社会の体質と制度があるでしょう。
国会答弁や裁判での姉葉建築士の言葉を全て鵜呑みにすることは出来ませんが、しかし、それも一面の真実を表しているでしょう。
仕事を受けるためには、競争に勝つためには、自分が生きていくためには、

偽装

社会に余裕がないから、
職人にじっくりと仕事をする時間的、物質的、精神的支持を与えないから、
ベテランは
偽装にばかり
うまくなる。

人を育てることを忘れては、「ベテラン」の質も変わってしまいます。
一人の人材を育てるのには、多くの無駄が必要です。
その無駄を許さない、許せない、許す余裕のない社会は、やがて、枯れて、しんでいくでしょう。

平成の無責任男

2007-10-18 18:24:35 | 時事寸評
だいぶお久しぶりの更新です。

気がついたら国政選挙や都知事選もとっくの昔に終わり、総理大臣まで変わってしまいましたね。

安部元首相の去り際のまずさは現代日本を象徴しているような出来事でした。

一億総無責任化。

大企業や老舗の偽装や改竄が明るみに出て、政治資金などの不透明さ、事務処理のいい加減さが日の下にさらされ、あろうことか一国の大臣が任期中に自殺し、その後任も更迭される始末。
こんなお粗末な人たちでも国政に居座っていられるのが、現代日本です。
「一部の」失敗者に優しい再チャレンジの国。
なんと美しい「身内」のかばい合い。
「一部」や「身内」以外の、ニートや非正規雇用者などの社会的底辺でうろうろしている人たちには再チャレンジどころか、最初からチャンスすら与えない構造には全く目をつぶったまま、ご立派なことです。

そして政治の無責任の集大成としての安部辞任。
辞めない、と言った舌の根も乾かないうちに辞める。

昭和の無責任男には、まだ愛嬌がありましたが、平成の無責任男達は、ただひたすらに醜い。

あけましておめでとうございます

2007-01-11 04:18:09 | 雑記
気がついたらもう2007年なんですね。
去年はプライベートでもいろいろあった年でした。
NEET関係では名古屋の「引きこもり支援団体」が強制的に入寮させた男性を虐待して殺害したり、厚生労働省のNEET対策はけっきょく尻切れトンボになったりと、NEETにとっては辛い年でした。
状況はますます悪化の一途をたどっていますが、その中でNEETの自覚を持って生活して行ければと思います。
まずは生活の維持が問題ですが・・・。
ま、NEETという言葉自体が廃れてきているような来もしますが。

どう
かみなさまにとって良い年になりますように。

石原君、それでも君は国際的イベントを開くのか?

2006-08-31 01:48:49 | 都政関連
新聞などの報道によると、オリンピック招致合戦の過程で、福岡県の応援演説をした姜尚中東京大学教授に対して「外国の学者」とか「怪しげな外国人」などの発言をしたそうです。

こんな差別意識向きだしの人間が、全世界のアスリート、ありとあらゆる国や地域の人々が参加するオリンピックの開催を掲げるなど、片腹痛いと言わざるを得ません。
オリンピック開催の是非を問いたいのであれば、インフラがどうのこうの言う以前に、石原君の異常ともいえる外国人に対する差別意識をどうにかするのが先でしょう。
そういうことを無視して、東京都を国内候補地として認定したオリンピック招致委員会の委員は、無恥無能の烙印を押されても仕方ありませんね。

石原君が本当に東京でオリンピックを開催するつもりであるならば、まずはご自身の意識改革から始めるべきでしょうね。
オリンピックにかこつけて、またホームレスの追い出しなんかされたら、たまったものじゃありませんから。



抵抗のあり方

2006-05-30 14:28:25 | 時事寸評
「君が代」替え歌流布 ネット上「慰安婦」主題? (産経新聞) - goo ニュース


梅雨入りを控え、毎日蒸し暑い日が続く今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
卒業シーズンはとっくに過ぎてしまっているのですが、おもしろい記事を見つけたので、少し卒業式の話題を。
故小渕内閣で成立した「国旗国歌法」、これによって全国の小中高等学校の入学・卒業式では日の丸掲揚と君が代演奏が義務づけられました。これに反対する教員は「不適格」の烙印を押され、さまざまな処分を受けることとなっています。
そんななか。正面切って反対するのはちょっと腰が引けるけれども、心の中では反対したいという人たちが、新しい抵抗の方法を考え出したようです。
それが、「君が代」の替え歌。
日本語に聞こえる英語の歌詞、という遊び心たっぷりの歌になっています。
歌詞でみると英語だけど、歌で聞くと日本語に聞こえるというのは日本のヘビメタバンドなんかがたまに使ってました。
その伝統が「君が代」にもつかわれてるわけですね。

ところで、リンク先のニュースに、

歌詞の意味は難解だが、政府に賠償請求の裁判を起こした元慰安婦と出会った日本人少女が戦後補償裁判で歴史の真相が明らかにされていくのを心にとどめ、既に亡くなった元慰安婦の無念に思いをはせる-という設定だという。皇室に対する敬慕とはかけ離れた内容で、「国家は殺人を強いるものだと伝えるための歌」と解説したホームページもあった。

という記述があったのですが、「皇室に対する敬慕とはかけ離れた内容」とは、どういうことでしょうね。
「国歌」として制定された君が代は、皇室関係からは断絶されて、「君が代の「君」は、国民のこと」とかいう説明を、故小渕首相自身がしているのですが。
語るに落ちる、とはこのことですね。





「Kiss me, girl」歌詞

 Kiss me, girl, your old one.


 Till you’re near, it is years till you’re near.


 Sounds of the dead will she know?


 She wants all told, now retained,for, cold caves know the moon’s seeing the mad and dead.


水俣病公式確認50年

2006-04-30 02:55:10 | 時事寸評
公式確認50年 水俣病首相おわび 談話発表救済策は触れず (西日本新聞) - goo ニュース


1956年4月21日、原因不明の激しい脳症状を訴える5才の女児が新日本窒素肥料(株)(現チッソ(株))水俣工場附属病院で診療を受け、同月23日に入院しました。同年5月1日に、同工場附属病院長が水俣保健所に脳症状を呈する患者の発生を報告しました。それによって、この日が「水俣病公式発見の日」とされたそうです。
ところが、政府が水俣病を公害と認める見解を発表したのは、水俣病の公式発見から遅れること10年以上も後の1968年のことだったのです。

その間、1956年10月には、熊本大学医学部研究班が早くもチッソの工場廃水との関連性を疑い、翌1957年4月には水俣保健所の実験でによって、水俣湾産魚貝類の毒性が確認されたのにもかかわらず、その年の9月に厚生省は、「水俣湾の全魚貝類有毒化の根拠なし」、として魚貝類の販売禁止措置はできない、との回答を熊本県に与え、結果として水俣病の拡散を防止する責任を果たしませんでした。
1959(昭和34)年7月には熊本大学医学部研究班によって有機水銀説が報告されましたが、その年の11月には、厚生省で食品衛生調査会水俣食中毒部会が、「水俣湾産の魚貝類中の有機水銀が原因」と厚生大臣に答申、即日解散させられるという、あまりにもお粗末な醜態が演じられました。
1963年2月、熊本大学医学部研究班が、水俣病の原因はチッソ水俣工場アセトアルデヒド排水中のメチル水銀化合物を蓄積した水俣病の魚介類である、と正式発表しました。
そしてそのさらに五年後の1968年9月26日に、やっと政府は水俣病を公害病と認める見解を発表したのです。
しかも政府が水俣病を公害として認める数年前の1964年には、新潟県阿賀野川流域で、第二水俣病が起こっているのです。

なぜ、水俣病が公害であると認められるまでにこんなにも長い時間がかかったのか。
原因はいくつか考えられるでしょう。しかしその最大のものは日本国政府による大企業重視と国民軽視の姿勢にあると言っても過言ではないと思います。
加害者であるチッソは、その技術力と生産力が世界でも有数の大企業であり、まさに日本の高度経済成長を支える存在でした。
対して被害者は水俣湾で漁業に従事する、戦後の経済成長にはほとんど貢献しない人々ばかりです。
ここで「国家指導者」達が「国家の利益」と「国民の健康的な生活」を天秤にかけて、前者を守ることを選択した結果が、現在まで続く水俣病患者への仕打ちであり、また大に水俣病の発生を防げなかった(防がなかった)原因でしょう。
「国家の利益」のために「国民の生活」を犠牲にするやり方は、50年前から現在まで、少しも変わっていません。
今年の三月に山口県岩国市で基地移転の是非を問う住民投票が行われ、その結果9割以上が反対票を投じました。その結果にもかかわらず、小泉首相は「どこでも住民投票をすれば反対でしょうね、基地は」などと他人事のようにしれっと述べた上で、日米間で米軍再編の最終報告を取りまとめる方針については「変わりありません」と語るなど、岩国移転計画を変更する考えはまったくないようです。
これは住民がいくら反対しようとも、「国家」のためには必要な犠牲なのだから我慢せいという、あまりにも傲慢な姿勢であり、長期間水俣病を認めなかった50年前の日本政府とまったく同じ体質です。
優勢民営化をうったえていた時には、あれだけ「民意」を強調していた小泉首相ですが、基地問題になると一転「民意」などまったく省みない。こんなにわかりやすいダブル・スタンダードを許している我々は、一体なんなんでしょうね。
つい先日も、「古い自民党をぶっこわした」とか自画自賛していましたが、実はやってることは50年前と変わっていないこの事実。
小泉政治から「改革」を抜いたら、何にも残らないどころか、マイナスになってしまうと思いますが、結局スローガンと思い込みだけの「改革」なんか、なかったようなものですからね。

水俣病の発見から五十年。しかし、その解決には程遠い。
変えなくちゃいけないのは、政治なんかじゃなくて、我々一人一人の、ものの考え方なのだと思います。



資料一:水俣病公式確認50年に当たっての首相の談話

 水俣病の公式確認から50年という節目の年を迎え、これまでにお亡くなりになった多くの方々に謹んで哀悼の念をささげるとともに、被害者の方々をはじめご遺族、ご家族など関係者の方々の長きにわたる苦しみに心よりお見舞いを申し上げます。
 日本の高度経済成長の中で生じた水俣病問題は、深刻な健康被害をもたらしたばかりでなく、地域住民の皆さまに大きな犠牲を強いてきました。一昨年10月の最高裁判決において国の責任が認められましたが、長期間にわたって適切な対応をなすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、政府としてその責任を痛感し、率直におわびを申し上げます。
 この50年の節目を機に、1995年の政治解決および今般の最高裁判決を踏まえ、このような悲劇を2度と繰り返さないために、水俣病の経験を内外に広く伝え続けるとともに、その教訓を生かし、環境を守り安心して暮らしていける社会を実現すべく、政府を挙げて取り組んでいく決意をここに表明いたします。


資料二:首相談話への反応

水俣病国家賠償訴訟原告団、中嶋武光副団長
「早期救済へ首相の決意を期待したが、大変失望している。政府はいまだに、被害者に目を向けていない」

水俣病互助会事務局、谷洋一さん
「通り一遍のあいさつ文に意味はない。認定問題や胎児性患者支援のシステムづくりなど未解決問題をどうするかが1番の課題なのに、深刻さが全く伝わってこない。企業に加担し続けた行政や政府が、今も被害者に向き合っていないことを明白にする談話だ」

水俣病被害者芦北の会、村上喜治会長
「行政や政府が至らないために今の混乱があるのだから、謝罪は当たり前。感慨はない。ただ、首相が言う被害者の中に未認定の私たちも含まれていると信じたい。これを機に、少しでも早い救済を願う」

水俣市の宮本勝彬市長
「首相談話が出たことは関係者のご努力の結果であり、ありがたい」、「被害者救済につながる具体的内容がほしかった。物足りない。今後の取り組みに期待したい」

熊本県の潮谷義子知事
「地元が要望していた首相の慰霊式出席はかなわなかったが、今回の談話で、政府として謝罪され、悲劇を2度と繰り返さないと誓った意義は大きい。地元にとって大きな励みになる。水俣病が1地域の問題ではなく、国全体の問題だという意識を共有できたと思う。公害の再発防止はもちろん、被害者の早期救済に、国としての主体的な取り組みを期待したい」


参考:水俣病



NPO法人「アイ・メンタルスクール」で入寮者の無職男性が死亡

2006-04-22 01:45:00 | NEET
引きこもり支援施設変死事件、現場検証…名古屋 (読売新聞) - goo ニュース


あるニートが殺されました。彼を「救う」はずだった人たちの手で。

事件がおきたのは名古屋市北区にあるNPO法人「アイ・メンタルスクール」の寮。死因は手足に受けた打撲による外傷性ショック。
報道によれば、殺された男性は時々暴れることがあり、時々拘束されていた、とのことですが、彼が「アイ・メンタルスクール」につれてこられたのが14日、そして死んだのはそのわずか4日後18日。たった四日間で外傷性ショックを起こして死亡するほどの傷を負わせられたのは、日常的な拘束が行われていたと考えるほかにはありません。

この殺人集団NPO法人「アイ・メンタルスクール」の代表者は杉浦昌子。
この人はテレビでたまにやっているひきこもり特集などにも出てくる人のようです。
私はテレビのひきこもり特集がとても嫌いです。見ていて、非常に気分が悪い。
普段は何もいえないのであろう父親が、いきなり怒鳴り散らして、乱暴に息子を部屋から引きずり出す。母親が号泣する。そして、アカの他人であるはずの、化粧の濃いおばさんがえらそうに説教する。ひきこもりの息子ではなく、その両親に。
家から出たがらない息子を無理やり、つまり暴力的に引きずり出して、化粧の濃いおばさんが「経営」する「更正施設」に送り込む。
この全過程は、ひきこもり本人の意思も人権も無視した犯罪行為です。それなのに、テレビではまるで善行を施しているように表現される。「みんな、彼自身のためなのです」なんて、たった一言のコメントで、犯罪行為が正当化され、それが公共の電波に乗って流される。信じがたいことですが、これが現代日本の真実です。
今回、殺人を犯した「アイ・メンタルスクール」は、外傷性ショックを起こすほどの傷を与えることになった拘束行為も殺された「彼自身のため」、と強弁するのでしょうか。

ひきこもりと呼ばれる青年達に対して行われてきた、「善意の」犯罪行為を黙認していた結果が、今回の殺人事件につながっているのだと断言できます。かれは、警察の怠慢、一般大衆の犯罪行為に対する不感症の犠牲になって死んだのだといえるでしょう。

さて、息子を殺された両親は、いまどういう気持ちでいるのでしょうね。
もしかしたら、厄介払いが出来た、と喜んでいるかもしれません。
NPO法人「アイ・メンタルスクール」は慈善事業ではありません。NPO法人といっても、ただでひきこもりの青年達をさらってくるわけではないのです。どうしても、お金がかかるのです。死んでしまえば、金はかからなくなるわけですがね。
家にいれば、死なずにすみ、殺人者杉浦昌子や、結果的に殺人集団に我が子を売り渡してしまった両親達が考えるところの「立ち直る」チャンスがあったかもしれない、一人の人間の未来を、殺人集団NPO法人「アイ・メンタルスクール」は、冷酷非常にも奪い取ってしまったのです。

とはいっても、この事件でNPO法人「アイ・メンタルスクール」が亡くなる可能性は低いですし、よしんばなくなったとしても、また同じような施設がすぐに作られることでしょう。いや、すでに同様の殺人集団予備軍は、日本全国どこにでもあるのが本当かもしれません。

ニートな私とにとって見れば、明日はわが身。「善意」の人々に命を奪われるのは、次は私かもしれないし、あなたかもしれない。
殺されたひきこもりの青年よ、安らかに眠りたまえ。たとえその死が、苦痛と恐怖と屈辱にまみれていたものだとしても。