今日も ぺこぺこ

ジョリ夫婦&ぺこ。3匹とも、今日も元気に「ぺこっ」てます。

グルノーブル小旅行 1 -グルノーブルまでの長い道のり-

2005-12-02 03:30:09 | Weblog

今週末、わたしは夫の学校のある「グルノーブル」というスイス国境に近い山の中
の街へ行くことになっていました。
わたしはこの小旅行をわくわくドキドキ、楽しみに待ってたんです。
まだ見ぬグルノーブルの地、一体どんな所かな???

今日(金曜日)、朝早く家を出ました。ちょうど夫の学校のお昼休憩がけっこう長い
ことを利用して、いっしょに昼ごはんを食べよう!と約束していたからなんです。
11時半頃にグルノーブル駅へ着くTGVで出かけました。それから路面電車に
乗って行けば12時頃に夫と会えるはずでした。ところが・・・・

グルノーブル駅まであと30分ほどという頃、わたしの乗ってるTGVが、駅でも無い
場所でゆるやかに止まりました。路線上で何か不都合があったとのことで、しばらく
停車しますとのアナウンス。
わたしの隣の席には中年女性が座っていたのですが、パリからここまで一度も
会話を交わさずにきました。が、このアナウンスがあってから1時間以上も停車した
車内で待たされ、かなりアタマにきてるこの隣人女性は、周りの人(主にワタシ)に
話しかけまくってました。「国鉄っていつもこうなんだから、ねぇ!」って感じにね。
時々車掌さんが巡回し、乗客に問題が生じてないかを確かめていました。
車掌さんが通るたびに、わたしの隣人は「ねぇ、いつ動くの?問題はまだ解決して
ないの?」と喰らいついてました。若い車掌さんもちょっとたじたじ・・・。
「国鉄って・・・」と文句言う彼女に対して困り顔の車掌さん、苦虫を潰したような顔を
しながら「いやぁ~、いつもこうってワケじゃないですよっ。」と。しかし彼女も引き
下がらない。「わたし、つい2週間ほど前に、パリ近郊で同じ目に遭ったのよ!」と
顔で笑ってキツイ言葉を吐き散らす。(苦笑)
そんな状態なので、周囲の人たちも同じようにガヤガヤと隣近所の席の人と世間話
をしたり、携帯で約束してた人に電話連絡したりしていました。
「車掌さん、まだビュッフェにサンドイッチ残ってるの??」と聞いてる人もいました。
「心配ありませんよ、まだ沢山ありますから。」でも心配する気持ちもわからなくも
なかった。だって、このままあと何時間カンヅメになるのかわからないんだから。

そうこうしてるうちに、12時半になり、約束してる時間に来ないわたしを心配した夫が
わたしの携帯に電話をかけてきました。(わたしの携帯、プリケーで、今はお金を
入れてないので電話を受けることはできてもかけることができないんです・・・)
わたし「実はね、カンヅメになっちゃってね・・・何か問題があったらしくて・・・
  機関車の動力機関から火が吹いたとかナンとか・・・これからバスが迎えに
  来るとか聞いたんだけど・・・」
「???で、今一体どこにいるの???」
わたし「え~っと・・・わかんないけど、田舎。窓の外にあひるがいる。(笑)」
そう、どこだか全くわからないところで停車されてたのです。周囲には、のどかな
田園風景が見えるだけ。
どのみちグルノーブルには夜までに到着すれば良いという予定になっていたので、
とにかく明るいうちに市内に入れてくれ!とひたすら願ってました。
車掌さんは「あと5分で迎えのバスが来て、駅まで送っていきますから。」と乗客に
言っていた。でも乗客からの鋭いツッコミ「具体的にいつ頃になりそうなんですか?」
そのツッコミに車掌さんが「あと5分で・・・という連絡を、5分前に受けたので・・・
でもまだ来てませんね(汗)」とボケで答える。(いや、ボケじゃないか。笑)

結局、止まったままの車内で2時間ほど待たされた挙句に迎えのバスが来ました。
わたしたちは、荷物を持って列車から降りてバスへ行くことに。
今までプラットフォームからしか電車に乗り降りしたことがなかったから知らなかったん
ですが、電車の出入り口ってけっこう高い位置にあるんですね。
国鉄職員さんたちが2人、出入り口に待機していて、乗客1人のワキを抱えるように
して2人がかりで1人の人間を下ろしていました。
「ハイヨッ ハイヨッ」てな感じで、時折冗談なんかも言いながら。
そして寒空の下、自分たちの乗るバスが来るまで10分ほど待たされました。
(4台のバスが1台ずつ来たので、早く下りた乗客から乗っていったんです。)

これ↓が、バス待ちしていたワタシの目の前の風景です。

のどかでしょ(笑) ここに見える人たち全員、TGVの乗客です。
白いウシさんは、突如現れた大量の人間に驚いたのか、とにかくじーっと様子を
うかがってました。まんじりともせず。

これ↓が、ウシを背にした時にワタシが見た風景です。

止まってるTGVと、わたしたちがこれから乗るバス。そして乗客たち。
寒かったけど、凍える寒さではなかったのが救いでした。

ようやくバスに乗り込んだわたし。なんと、先ほどまで隣の席で文句言ってたオバサン
がわたしの斜め前の席に座ってました。そしてそこでも喋りまくってました。
「30分遅れでも少しはお金を返してもらえるんだから、これなら全額返してもらえる
はずよ!駅で封筒もらわなきゃ!」と皆に聞こえる声で言ってました。
そうなんです、新幹線なんだから、こんなに遅れるんなら急行に乗ってたほうがマシ!
ってことになりますよね。(コレ知らなかったらわたしは封筒を取らずにいたところ
でした。オバサンありがとうね~。)

バスは動き出し、そして田舎の畑の中をどんどん進みます。
1分ほど走ったところで、自分たちの乗ってたTGVが無残にも田舎の線路上に取り残
されているのが見えました。
そこからしばらく走ったところに、わたしの左手に切り倒された木が半ば朽ちた塊があり、
そこの枝の上に、ワシ?と思える鳥が見えました。バスのほんのすぐ近くですよ。
最初「ワシじゃないだろう、きっとトンビか何かだ。」と思ったんですが、トンビにしては
なんとなく違うような・・・そして、フランスにはワシだかタカだかが生息していると
以前本で見ていたので。(あれが本当にワシかタカだとしたら、びっくり!)
それから少し進むと今度は右手に何かチカチカ光るものが見えました。
「ちょっと早いけどクリスマスの飾りつけでもしてる家があるのかな?」なんてことを
考えながらそれを見ていたら、前の席の人が「あ、消防車だ。アレだね。」なんて
言っています。あっ、そうか、火を吹いた機関車なんだ・・・。
わたしが見たのは消防車の点滅するランプでした。(汗)
(後からわかったのですが、貨物車か何かの動力機関が故障して火を吹いたんだ
そうです。わたしたちのTGVが止まり、その後の電車も不通や運行見直しなどとなり、
翌日地元の新聞に載ってました。)

周囲を囲む山々は、地層があらわになった、ものすごい外観をなしていました。
縞々の地層が斜めに隆起して作り上げた山々。すんごい迫力です。多分岩盤なの
でしょう、木がほとんど生えてない山なので地層の縞々がよけいに目立つのです。

予定より随分と遅れてグルノーブル駅へ到着。
駅に着くと、皆と同じ方向へ歩き、そして例の「運賃払い戻しのための封筒」をもらい
ました。(これ、もらっとかないとね~。)
駅の中はものすごい人でいっぱい。これから電車に乗ろうとしてる人たちです。
皆、「電車が遅れてる」とかで大変な目にあっているのでしょう・・・。

そして路面電車乗り場へ。

これがグルノーブル駅前の風景です。
そこに見えるのが路面電車の停車場。キップを買い、乗る前に自分でカチッと刻印
する仕組みです。日本の地下鉄とかみたいに、乗車した日付と時間が印刷されます。

後ろのほう、遠くに見える山々、スゴイでしょ?

これはB線ですが、わたしはA線に乗って夫との待ち合わせ場所へ行きました。

待ち合わせ場所は、ショッピングセンター内のカフェテリア。
わたしがそこへ到着したのは午後3時くらいでした。夫との待ち合わせは5時。
しばらくお店の中をぶらぶらした後で、もう疲れたのでカフェテリアで本を読むことに。
(まさかこんなことになるとは思ってなかったんですが、偶然にも本を1冊持ってきて
たんです。)
コーヒー飲みながら本を読んでひたすら時間を潰していると、夫がひょっこり現れました。
「やぁ、大丈夫?」
わたし「長かったよぉ~~~」
結局、パリのアパートを出てからこの待ち合わせ場所まで来るのに8時間ほどかかった
計算になります。そのうち「TGV&バス」に乗ってたのが6時間ほど。
(通常ならTGVで3時間なんですけどね。)

それから夫のアパートへ行きました。
もう外はかなり暗くなっていました。
全てのエネルギーを吸い取られたような状態になって、その日は廃人のように
ベッドに横たわったのでした。

(つづく)

↓朝になって、夫のアパートの窓から撮った写真です。