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アルチンボルド風ディスプレイと日本橋考

2007-12-08 11:55:13 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
ちょっと冬バテ気味の週末、所用で日本橋へ。日本橋高島屋前の出口に上るなり、
クリスマス仕様の深紅×シルバーのグラマラスなウィンドウディスプレイが
寝不足気味な瞳の奥にキラキラ刺さる。

え…! よく見れば、このシルバーの円い縁取りも、たっぷりしたドレスも、
すべてちっちゃなベアでできている! わーお。

まるでアルチンボルドのマニエリスム絵画みたいだ。

ちなみに、こちらも深紅のシャンデリアがすべて赤ベアでできている。妖しくも、プリティ(笑)。

ほかにも、ベアたちがピラミッド状に積み重なったリカちゃんハウスなどなど
老舗百貨店の軒下をめくるめく飾る ラブリー&キッチュなマニエリスム的ベアワールドは必見。
ちなみに、エントランスを入った真正面にも、円錐形にうず高く積みあがった
巨大なベア∞クリスマスツリーが、無数の無邪気な瞳でお客さまを迎えてくれる。。

夏―秋に開催していた『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展』でも、
恐ろしくイマジネイティブなアルチンボルド風作品を大量に観て驚いたが
シュヴァンクマイエルさんに、ぜひこのベアワールドをチェコアニメ風に
もこもこと動かしてほしいもの(笑)。

…ふと、ベアたちの前をゆっくりと通りすぎていったバスのボディに
「日本橋に青空を 日本橋川に光を」のメッセージ。
これが、以前、日本橋をテーマにした媒体で取材させていただいた人が云っていた
日本橋界隈の企業がスポンサーになっているエコ仕様の無料巡回メトロリンクバス?

江戸幕府開府の年、全国へ続く五街道の起点として架けられた日本橋。
東京オリンピックの前年、工事が早くて安価、という理由だけで、
この橋に大胆不敵に覆い被さった首都高の高架橋。
これを取っ払って地下に通そうという論議には、「日本橋に青空を」と
言い出したのが あのスローガン大将コイズミ氏だったこともあり、
経済や政治の思惑がいろいろ絡んでいるようだけど、
まあ、単純に見た目だけで云えば、
あの冗談みたいな景観がまかり通ってきたこと自体、冗談のよう。
ファシズム時代、古代ローマ遺跡を分断して戦車が走る大通りを作らせたムッソリーニもびっくりな。

夏ごろ、榮太樓飴本鋪の会長に「粋」についてのインタビューした際、
江戸っ子の会長は非常に興味深い独自の「粋論」を展開。いわく
「粋の反対は野暮でしょ。例えば日本橋川の上の高架、ああいうのを野暮ってんだな」

帰りに、半年振りにかかりつけの歯科へ。ここの還暦過ぎた院長も日本橋生まれの江戸っ子。
予防医療を徹底しているこの歯科医院では、「歯磨きは食後必ず10分以上、寝る前は20分以上励行」
「甘いものは禁止(!)」を全患者に言い渡しており、少しでも磨き足りない所は即座にチェックされ、
歯科衛生士さんから厳しくも愛情深いシスターみたいにたっぷり指導を受けることになる。

甘いもの禁止令には、チョコ中毒の私は当初面食らったが、この医院はそれでも素晴らしい。
治療技術やインフォームドコンセント、アフターサービスという面で、目から鱗の水準なのはもちろん、
待合室や治療室のインテリアが実に素敵なのだ(↓院長許可のもと撮影敢行)。

テンペラ画や季節の花が生けられたプチホテルのレセプションみたいなシックな待合室の一角には
ハープシコードに似た中世のアンティーク楽器スピネット。院内BGMは有線でなく、院長厳選の室内楽。
全個室のウッディな治療室の天井にも、植物や動物をモチーフにした趣深い天井画が描かれており、
今回は蝶と葡萄、前回は羊と紫陽花…などと、毎回楽しめてしまう。

問題は、医院と至近の高島屋デパ地下で、ついついスイーツの誘惑に駆られてしまうこと。。

あそこで何も買わないひとがいたら鬼ですってば、先生。
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