恩田陸さんが直木賞受賞の話題で盛り上がったとき、
ちょうど読んでいたのが、恩田陸「私の家では何も起こらない」でした。
タイムリーだったこともあって、受賞は余計に嬉しいものでしたねー。
恩田さんの作品はたびたび読んでいるけれど、文庫になったものが中心なので、
今回賞を受賞された作品を読むのはまだ先になるでしょう…(^^;)
さて、今回は「私の家では~」ですが、こちらは幽霊屋敷のお話です。
丘の上にポツンと建つお屋敷をめぐる短編集なのですが、全体でつながるようになっています。
私の友人曰く、恩田作品はホラーの印象が強くて怖くて読めないそうなのですが、
まさしくその怖いホラー寄り…っていうか、結構その幽霊たちが生きている間の死に方が悲惨です…
映画で描写するとR指定作品になるかもね~っていう。。。
そっち方面の耐性はありますが、残忍な殺され方をされていたり、
人肉を食べる主のために子供をさらって殺し、その肉を食べさせていた女の話とかは
さすがに背筋がぞーっとなりました。
また、恩田さんらしいのですが、解釈がどこか難しく、
「こういうことかしら…?」と自分なりに解釈して楽しむ系の余韻を狙った(?)ものもあります(笑)
「我々は失敗しつつある」というタイトルの短編ですが、
最初は正直わけわからなかったんですよね~。
その後の短編を何個か読んでまた戻って読んでみると、何となくわかってきたような気がします。
怖いばかりではなく、どこかホッとするお話もあり、
幽霊というのはそもそも生きている人間を怖がらせるものじゃないよなぁ(そういうのもあるかもですが)と。
また、本の中でも出てきていますが、今私たちが住んでいるところは、
大昔から脈々と生活が営まれてきて、今生きている人たちよりも多くの人が死んでいます。
そう考えると、その土地への思いや歴史が複雑に絡み合って、
何かしらの影響を私たちに与えていてもおかしくはないよなぁと思うのです。
そんなことを気付かされる一冊となりました。
怖い描写が苦手という友人にはおすすめできないかもしれませんが(笑)、
ただただホラーっていう作品ではないのが恩田さんの魅力なのです。
いろいろ読んできましたが次はどの作品を読もうかと悩み中です。
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