超然とした売れない文士、綿貫征士郎は
ひょんな事から畏友党堂の閑居を
預かることとなった。
ただの家ではない。
魑魅魍魎不可思議な家である。
しかしさも当然のように眈々と受け入れる。
自然もまたともなり。
四季はめぐり、狸や狐、かわうそ、カッパなどがともに住み、
生活を織りなして行く。
不思議にほっとする物語りである。
何故かはそれほど問わない。
あるがままをともにするここち良さを味わおう。
たまにはこんなのもよい。
黒白つける必要なんかないのだから。
出典: 家守綺譚 梨木果歩 著
新潮社
新潮文庫 平成18年10月発行
平成20年11月7刷