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女子フィギュアと採点を中心に語るブログです。
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恩田美栄のトリプルアクセルと安藤美姫の4回転サルコウ

2006-02-28 01:11:32 | 雑感
♪世間では一気に荒川静香フィーバーとなっているようで、金芽米DVDも、そしてエキシナンバーである"You raise me up"が収録されたCDもamazon売上でトップ5入りという、フィギュア界始まって以来の大ブームの予感です。
4年後にはもっと凄いことになるのでしょうか。ちょっと楽しみでもあり、不安でもあります。


♪余談はこれまでにして、本題に移ります。
今回の五輪女子フィギュアは日本勢にとってほぼ最高の結果といえるでしょう。ただ、僕が唯一不満に思っているのは代表の3人がメダルを狙える可能性が合ったにもかかわらず安藤さんが15位になってしまったことです。この安藤さんの15位も、荒川さんや村主さんのある意味盾になってくれたから良かったのだ、安藤は4年後もあるんだし、という意見もあるかもしれません。

♪ただ敢えて言わせていただきます。

「ふざけんな」

2年前の世界選手権で4位、昨年6位に入っていてメダルが狙える位置にいるというのは本人や取り巻きが一番分かっているはず。では、なぜその道を敢えて外すような方向に行ってしまったのか、非常に腹立たしくも在り、悔しくもあります。そしてなにより、以前は「4回転を跳んで!」と書いてしまっていた自分に対してもです。ブログ上ですが、言っていることが変わっていることについて、謝らせていただきます。

♪しかし、彼女の特長は4回転だけなのでしょうか?僕はそんなことはないと思います。ジャンプに関して言えば、3Lz-3Loのほうがよほど彼女の特長だったと思います。
このジャンプはもともとスルツカヤがはじめて成功させた、女子のコンビネーションジャンプの中では最高難度といわれているジャンプです。しかし彼女は昨年の世界選手権で久々にトライし成功させたものの、そもそも3Lz-3Loを試みること自体はそれほど多くなかったと記憶しています。しかし安藤さんは殆どどの試合でも当たり前のようにプログラムの中に入れ、かなり高い確率で成功させて来ていたと思います。このジャンプで他の選手よりもアドバンテージがあるから、4回転に挑めたと僕は思っています。

♪その証左といえばやや薄くなるかもしれませんが、04NHK杯のフリーでは119点を越えるスコアを出しました。さらに、05ロシア杯では、SP,FSとも3Lz-3Loの後ろが両方2Loに判定されるやや厳しすぎる判定であってもトータル172点を越えるスコアを出しています。
いずれも4回転には挑んでいません。
つまり、ロシア杯で3Lz-3Loが両方とも決まっていたら、単純に考えて180点近い点数が出たということであり、五輪のメダル争いも充分期待できたということです。その後は皆さんご存知のとおりです。

♪安藤さんはトリノで4回転を跳び転倒、それが3回転からの転倒と判定されました。しかし、これは今に始まったことではなく、すでに04年のスケートアメリカで露わになっていたことなのです。それを分かっていた佐藤コーチは安藤にその後4回転を入れさせなかった。そして、安藤さんはコーチを変える決断をする。
変わったキャロルコーチも以前のNHKスペシャルの中のNHK杯FP直前の映像(ややこしいね・・・)で、安藤さんに4回転を入れるなという指示を出しています。つまり、コーチはすでに跳べないという事が分かっていたということだと思います。

♪今回と非常に似た例が、恩田さんのトリプルアクセルです。跳べない僕が言うのは非常に失礼ですが、彼女の場合は安藤さんの例よりもやや酷かったように思います。そもそも片足で3回転半を回りきったことがなかったのですから。それでもおよそ3シーズンほど挑戦をしつづけ、結局五輪を含む全ての大会で失敗に終わります。これは恩田さんは2シーズン前からトリプルアクセルを捨てる決断をしました。

♪僕は安藤さんではないので、何故4回転にそこまで固執していたのかということまでは分かりませんが、周り(特にマスコミ)も4回転といいつづけたのは決して良い事ではなかったと思います。ある意味4回転と騒がれ、持ち上げられ、安藤さんは自分を見失っていたのかもしれないと思うと、気の毒です。世界で初めて4回転に成功させたプライド、というのもあったのかもしれません。

♪ただ、僕はここはスケート関係者が力づくでも安藤に跳ばせないという意思を示さなければならなかったと思います。恩田さんの失敗を他の選手に受け継ぐ必要はなかったのですから。そう考えると、安藤さんと関係者の意思疎通が上手くいっていなかったのかとも思うと、残念でなりません。

♪4回転にこだわった結果、本来のトレードマークである3Lz-3Loも試合で入れられなくなるケースが増え、さらに2度目のルッツが回転不足と判定されるケースが見えるなど、新採点の下でのジャンプグレードのダウンという一番やってはいけないケースにはまってしまったのです。さらに目先のことに囚われプログラム・衣装の変更などは、迷走といわれても仕方ないでしょう。
その結果が15位。スパイラルやスピンも「これが安藤美姫!?」と思ってしまうほど酷い出来だったことに驚いてしまいました。さらに、ジュニアの時には負けるはずがなかったマイスナーやゲデバイシュビリが最終グループですべり、総合でミラ・リヨンにも負けてしまうとは思いませんでした。

♪安藤さんの今後のことを考えますと、
4回転は今すぐやめなさい
という事に尽きます。そうでないと、次の五輪は切符すら取れないといっても過言ではないでしょう。現に恩田さんは五輪の翌シーズンもトリプルアクセルに挑戦。そして、新採点に戸惑いながらようやく方向性が決まった時が先の全日本直前でした。安藤さんには身体も頭も柔軟性もありますし、才能もあると思います。それでも一度落ちた評判を上げていくのは決して簡単なことではないのです。荒川さんや陳露のように世界チャンプにでもなっていればまた別でしょうが。

♪五輪は4年に1度開かれますが、そこに必ず滑れるかどうかは分からないのです。今回は全日本6位でも選ばれ滑れましたが、4年後安藤さんが恩田さんのように全日本で凄くいい演技をしても選ばれない可能性だってあるのです。もし、4年後を見据えた形で今回安藤さんを選んだとしたら、それは悔しい。それが出来るのはボルチコワが欠場したロシア女子などのケースでやることだと思います。僕の私見ですが、メダルよりもやる気や感動のほうがスポーツでは上回っていると思います。だから次はバンクーバーで勝負したい、絶対に滑りたいという選手を選んでいただきたい。
そういう意味で、現時点で次も確実かな、と思える選手はグルジアのゲデバニシュビリだけだと思います。それでも彼女はトリノで自分のできる演技を披露した。だから最終グループには入れたと思います。エミリーヒュースも同じです。層の厚いアメリカ。不可解とも取れるクワンの代表入りで代表から漏れた後も、出たいという想いから彼女はは着々と準備をしていたんだと思います。だから、五輪であれだけの演技ができたんだと思います。

♪女子マラソンでも市橋有里が無謀に高橋尚子やシモンについていって撃沈しました。結局彼女はその後フェードアウトしてしまった。無謀なことをすることは、結局後に何も残らないことが多いのです。一か八かというのは、可能性が少なくても3割くらいあるからできることだと思っています(それが出来たのが井上&ボールドウィン組のスロートリプルアクセル)。安藤さんも早くそれに気がついて、スケートリンクの上でいい演技をして欲しいな、と思います。