求道者の迷い道

昔なら人生を終える齢にして武を志し、道を求めて彷徨う。
達観出来るまでには人生足りないだろうなぁ。

昭久

2017-08-09 | 
私の習っている流派の居合の稽古は型と組太刀の稽古が多いです。
型の稽古をしている時に思うのは
「この振りで良いのかな?」
「樋で刃音がしていれば斬れるのかな?」
「理合からすると切断じゃ無いんじゃないかな?」
という疑問。

先ずは斬ってみないと「どうしたら斬れるか?」なんて分かりっこない。
斬れない居合は「殺陣」や「チャンバラダンス」と一緒だから斬れる刀の使い方を学びたいと考えました。

早速、インターネットで色々検索して、刀屋さんでも美術刀剣専門のところと武用刀も扱うところがある事が分かり、武用で使うならご主人本人が斬れる人の方が色々分かってくれるのではないか?と「刀心」さんに相談して見る事にした。
まあ、実際は「渓流詩人」さんにメールで相談して「刀心」さんを紹介して頂いたのですが。

「刀心」さんにした要求は「良く切れ、健全な状態で、折れにくく、曲がりにくい刀を下さい。」という武用刀を求めるときに誰もが考える事だった。
更にもう一つ「予算が無いので安く」という、それまでの条件をかなえるには一気に難しくなる条件を加えたのでした。

流石「刀心」さん、平成の侍。
出してきてくれた刀は「昭久」昭和18年には陸軍受命刀工となり、陸軍軍刀展覧会においては特別名誉席に選ばれた名工。
戦前は、新作日本刀展文部大臣賞・海軍大臣賞・陸軍大臣賞などを受賞。
昭和17年(1942)における現代刀匠の暫定位列表において「貴品上位」最上大業物、検査役格。



【最上大業物】憧れの言葉。

スゲー。でも、、、予算的には一番安いランクしか買えない額なんですけど。


この刀、曲がりもなく刃こぼれも無く、刃紋美しいのです。
なのに名匠の刀が何故?
美術鑑賞では致命的かもしれませんが武用では問題無い傷が。
鎺を取ってみて分かりました。
でも私には全く問題無い。



更にコストダウンの理由が。
何ともお殿様の様な金色っぽい柄巻と金梨地の鞘。
両方模造刀用の物だそうです。



濡れた畳表斬って納刀すると本来の作りの鞘よりも中が空洞の模造刀用鞘の方が具合が良い。
鞘に水が染みて鞘や刀身を痛める事が無い。
柄も目釘穴開け直してしっかりと納まってるから問題無し。

切れ味は抜群。
流石刀心さんです。
見事に無理難題を解決し、要望通りの刀を与えてくれました。