世界が裂けていることを誰も知らないのに
敏感な耳を持った者にはその裂ける音が遠くに聴こえる
あたかも超能力の持ち主であるかのように
しかし無用の雑音をくぐりぬけ静かに目を閉じれば
世界の裂ける音は無名者にも聴こえるだろう
媒介者として存在する身体感覚を持っているので
身体は左右に引っ張られ
痛みのために今にも悲鳴を上げそうになる
その敏感な者は町々を歩き回り
あちこちに生息している人の無言の痛みを感じる
誰がこんな無名の人びとに痛みをもたらしたのか
遠くで声が呼び、死の淵に立っている無名者の悔恨を
救いにやってくる者がある
敏感な者には遠くの声もすぐ近くに聴こえる
遠くの声は救済者の声かと思われるが
普通の無名者には聴こえることがなく
町々ではおびただしい悔恨が雪崩れのように続いている
無名者にその声の意味を届けるのは敏感に媒介する者であり
あたかも受難者のような者である
この媒介する者は無名者に世界の裂ける音を知らせるが
無名者には膨大な悔恨の集積が世界の裂け目のように感じられ
無言の痛みの歴史的堆積となる
その声は救いの声であるはずだが
真空の中で耳澄ますような姿勢でしかとらえることが不可能で
世界の裂け目がさらに大きく広がれば
救済者の顔は浮き立ってくる
まるで獅子王のような顔が現れるが
それは幼いころに夢で見た親和性のある穏やかさであり
人の身体と獅子の頭を持ったまぼろしの救済者である
しかし獅子の頭の中は空洞で無限の知恵が反響するのみであり
敏感な媒介者はひたすらその反響を読みとろうとする
敏感な耳を持った者にはその裂ける音が遠くに聴こえる
あたかも超能力の持ち主であるかのように
しかし無用の雑音をくぐりぬけ静かに目を閉じれば
世界の裂ける音は無名者にも聴こえるだろう
媒介者として存在する身体感覚を持っているので
身体は左右に引っ張られ
痛みのために今にも悲鳴を上げそうになる
その敏感な者は町々を歩き回り
あちこちに生息している人の無言の痛みを感じる
誰がこんな無名の人びとに痛みをもたらしたのか
遠くで声が呼び、死の淵に立っている無名者の悔恨を
救いにやってくる者がある
敏感な者には遠くの声もすぐ近くに聴こえる
遠くの声は救済者の声かと思われるが
普通の無名者には聴こえることがなく
町々ではおびただしい悔恨が雪崩れのように続いている
無名者にその声の意味を届けるのは敏感に媒介する者であり
あたかも受難者のような者である
この媒介する者は無名者に世界の裂ける音を知らせるが
無名者には膨大な悔恨の集積が世界の裂け目のように感じられ
無言の痛みの歴史的堆積となる
その声は救いの声であるはずだが
真空の中で耳澄ますような姿勢でしかとらえることが不可能で
世界の裂け目がさらに大きく広がれば
救済者の顔は浮き立ってくる
まるで獅子王のような顔が現れるが
それは幼いころに夢で見た親和性のある穏やかさであり
人の身体と獅子の頭を持ったまぼろしの救済者である
しかし獅子の頭の中は空洞で無限の知恵が反響するのみであり
敏感な媒介者はひたすらその反響を読みとろうとする