栗太郎のブログ

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「梟の城」 司馬遼太郎

2007-03-27 16:55:12 | レヴュー 読書感想文
先日、BOOK OFFでこの本を見つけた。
いまさらとも思いながら、どうせ100円、買ってきた。

そしたら既に本棚にあった。
読んだ記憶がない。
ヤバイ。
2冊目買ったのもヤバイし、読んだか憶えていないのもヤバイ。仮にも直木賞受賞作だぜ?
ということで、早速読みだしたのでした。


映画では、中井貴一が伊賀者・葛籠重蔵をやっていた。意外に適役だと思った。読みながら、ずっと貴一の顔が浮かんできてたのには参ったが。
まあ、細かいあらすじも他の登場人物も省略します。うだうだ言うのは野暮というもの。
ただ少なくとも、

ラストにそれを持ってきたか!

という爽快感はありましたよ。
いよっ!さすが、直木賞。パチパチ!!
忍者好きの子供から、ハードボイルドな大人まで楽しめる大衆娯楽小説なだけはあるわ。


さて。
この話は司馬さんの初期の作品なだけに、文章がみずみずしいのだ。

俗人になり出世を望む、かつての忍者仲間・風間五平の講釈に、
>おかしな歌を覚えたのう
と切り返したり、

悪人を評して
>真正の悪人は、いかなる善人よりも義理がたく、時あっては異常な誠実さをもつものだ。
とその本性を突いたり、

負けを認めず、わしの勝ちじゃと言いながら果てていく甲賀者を、
>忍者の体面を守ろうとする死に見栄
と描いたり、

司馬さんの言葉には相変わらずこっちが酔ってしまう。


そして、定番の女との絡みも勿論ある。

多分、映画にはないシーンだと思うけど、中井貴一が鶴田真由に、(あくまで役ですよ)
>女の裾をまさぐって~黒い地図がみえた。
なんて、いやらしくもニクイ描写。淫靡。

結局そういう場面が、自己の精神の暗部に陶酔している伊賀者の輪郭を、いっそう浮かび上がらせているのだな。


たとえば池波正太郎にしても、わざわざイイ女を引っ張り出してきて、読者にエロティシズムという快感を提供してくれる。
「鬼平」のおまさなど、はじめの登場で痴態を曝したものだから、あとあとまでその幻想に取り付かれてしまう。
・・・って僕だけか?

逆に、エロにいかないのは吉川英治かなぁ。
「武蔵」ではお通やアケミが出てきても、求道者としての武蔵の引き立て役に過ぎなかったわけだしね。



ところで、
忍者は、本当にいたのだろうか?

しかも、世の中を変えるほどの技量をもった忍者が?


僕は、いたと思っているんだよね。
しかも、名の知れた武将より、歴史上数段重要な役割を影で果たしてきたと思っている。

先日のTVでみのもんたが、「信玄・謙信は信長が毒殺したぁ!」
なんてやってたが、笑殺するほど馬鹿げた話じゃない。
十分ありえる話だし、むしろ忍者・乱波・間者といわれる彼らの中にこそ実は歴史の主役がいて、信長達こそが傀儡だったとしたら...。

そもそも歴史の正史・記述なんて、施政者の言い訳なんです。
ただのまやかしのこじ付けが並んでると思えばいい。
つまり、記録・現象として見えるものが全て正しいわけではないはずなのです。

突拍子もないことだけど、僕は、UFOだってありだと思っている。
だって、そもそもこの宇宙に生命体が地球上だけっておかしいでしょ?
人類より、何千年何万年前から文明をもった生物が、ひょっこり地球に顔を出したって不思議じゃない。

忍者も、UFOも、いないんじゃなくて見えてないだけなんですよ!
とまあ、考えているほうが楽しくない? 

あれもこれもロマンだねえ♪


10点満点中オススメ度、歴史小説の楽しさ満載で8★★★★★★★★


梟の城 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社

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