熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本空港の民営化で何が変わるか ? 第二回

2017-05-17 | ブログ

 2012年2月、小誌で『熊本県は1989年から約4918平方メートルを祟城大学に無償提供』と報じた。
 国内唯一の「空港にキャンパスを持つ」と触れ込みの祟城大学だが、フェンスで囲んだ同南ウィング実習棟の先から滑走路誘導口までの約4918平方メートルは県有地である。
 空港内における県有地の貸与は、収益事業として民間の小型航空機駐機場、同整備工場等にも存在するわけで、それは特異な状況でもないのだが、これが「協議しての無償提供」(県交通政策課)で、しかも、その理由が「文書不存在」(同課航空班)といことになれば妥協と無能の県議会に関係なく異常だと、これを問題提起。
 県営住宅の家賃滞納に訴訟の構えを見せる一方で、約3億5000万円(隣接の民間施設等地での賃貸料から試算・時効10年でも約1億4000万円の請求権・注2012年迄の試算)の賃貸請求権を放棄していたのだ。国民の税金を補助として受けて運営する私学が、教育に無関係の駐車場経営に励むのは問題とされる中、それと同じく県民一人ひとりの共有地を損失させたとなると事業税、不動産取得税、自動車税、そして県民税に追われる県民にとっては一言ですまされない問題。
 また2013年、空港に隣接する工業団地に進出の企業(誘致企業)が、その事業の一環として空港内での航空関連事業を計画し、同県有地の片隅に土地(約300平方メートル)の貸与を申し出た。ところが県は「整備計画中につき無理」と、それを却下。現在、同地は草が生い茂り、雨水が排水不良で湿地を生んだ状態。税収はもちろん、収益事業からして「却下理由の不可解」は当然である。
 一方、賃貸契約の事業所が、撤退による契約破棄を前に事業所棟の売却を実行した(2011年9月)が、それを購入した事業所が新たに同地に進出(新規契約・2012年4月)して来た例もある。その「新規契約方法」は県担当者のアドバイスによる手法と関係者は語るが、空港管理地で発生した「盗撮機材と同配線の事件」を考えると、県の管理(第三セク・熊本空港ビルディング㈱)からして、その姿勢、能力が疑われる。
 その善し悪しはともかく、忖度という日本の政治、また多数の者から搾取して特定の者に供与する(山邊事件)のも日本の政治と理解はしても、空港民営化構想の背景(改善理由)とされる第三セクター(歴代の副知事を代表とする熊本空港ビルディング)が、この民営化に参入するというのは「コンセッションの選定に公平性を欠く」(国土交通省航空局)という以前の問題。民営化と同時に第三セクターは解散というのが、民営化構想の原点でもある。
 ところで熊本大学出身で熊本県には係わりの深い同航空局の空港計画課長が、昨年から頻繁に来熊して県交通政策課以外の政治家、民間人等とも接触しているが、同じく頻繁に動きを見せているのが日建設計と大成建設。
 その狙いとは国際線ターミナルビルの仮設建築とされるが、そこには大きな問題点がある・・・。(第三回へつづく)
 五月晴れ   瞼も落とす   木陰かな