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詩集 ゆずりは~愛想~

幼い葉が成長するのを待って、古い葉が譲って落ちるという「ゆずりはの樹」。 私はあなたに、何を譲り伝えていこう・・・。

詩 傷あとには癒し

2010年10月22日 | 詩~子育て
痛いって 

あんなに楽しげに笑う子どもたちに囲まれながら

こんなに大好きだと 訴えてくれる子どもたちに守られながら

心が痛いって 傷が叫ぶ


あのときの傷は

今もずきんっと まだ胸の中にいることを主張する


子どもが誕生日を迎えるとき

必ず揺れる 自分の心

嬉しいはず なのに

楽しいはず なのに

喜んでいる はずなのに

なぜか どきどきして イライラして

落ち着かない

なぜ?


子どもたちが寝静まると ふと思い出すのは

自分が同じ年の頃に 自分の誕生日を祝ってもらったこと

そして

なぜか 

わが子への嫉妬心


誰かに抱きしめてもらった?  ・・・うん

誰かに心から 生まれてきたことを喜んでもらった?   ・・・うん


なのに 空虚なのは

自分自身の出生を 心から祝えない自分がいたから

生まれてこなければ よかった

そう考えていた 思春期


今?

今もそんなことを思うとき ふとあるけれど

ずいぶん 生きることに前向きになった


これは

一度死ぬ思いをしたからだ

これは

ソウルメイトが 日本のどこかで暮らしているからだ

そして

深い傷だと思い込んでいるのは 自分自身だと 知っているからだ


ほんとの心は 傷ついてなんかいないんだって

傷ついているような振りをしているのは 自分

それに気がつけば

ずいぶんと 心の中はすっきりと晴れてくる

癒されていく

よいのだよ

傷だと思っていてもよいのだよ

悲しかったのだよ 君は一生懸命やってきたのだよ

だから とても寂しかったのだよ


その思いを感じきって

その思いをなでてあげて

抱きしめた時

すーっと 溶けていくから

ほんとうの癒しが 起こるから





詩 白の羽 白の光

2010年10月22日 | 詩~思想・詩想~
羽が 見えた

一瞬 羽が見えたのだ

風をきって 走る道のはしっこに

それは 白い小さな羽だったのだ

間違いなく 二枚の並ぶ美しい羽だったのだ


パタパタっと 二枚の羽を打ちつけて

パッサと音が鳴ったような 気がした


なんの虫の羽か

その白い羽は 一瞬にして消えた


強い日差しのせいで見えた 光の錯覚だったのだろうか


まるで わたしの右側を

一緒に走るようにして

同じ空気を 切っていた?


何かに守られている気持ちさえした

神無月の昼下がり

神様は みな

今はお伊勢様に ゆかれて・・・

詩 帰れない

2010年05月25日 | 詩~思想・詩想~
愛する両親のいる家に帰れない理由をあげた

あげたら 涙が出てきそうになった

エゴである

わたしの完全なるわがままである

涙を出すのも

帰れない理由を積み上げるのも

そして 何もかもを壊すのも


エゴとエゴとが

ぶつかりあい

正当化しようとして 

正論を言い張るのは

もう やめにしよう


どちらかが折れるまで

それはキリがないから

どちらかがくたばるまで

それは続くから

いや

そう感じるから

いや

そう決め付けているから

自分自身の中で

何かが 諦めていた

完全に 両手を挙げていた


答えはわかっているのだろうけれど

今は 出したくない


詩 五月の葉

2010年05月18日 | 詩~思想・詩想~
若かった

葉の緑色が 若すぎて

昼間の日光が

痛々しかった


黄色の多い 緑色は

日の光に照らされて

五月の風に 揺らされて

頭が クラクラしていたのだ


虹色の光は 容赦なく

生まれたての僕たちを

突き刺していくのだ


それはまるで

孵ったばかりの稚魚に

襲いかかる 天敵の群れだ


それはきっと

生きているのに 土の中へと

運んでいく 蟻の本能にあらがう幼虫だ


僕たちは その強い光と 冷たい風の中を

ひたすらじっと 我慢するのだ

自分たちが きっと成長することを信じて

つらの皮が厚くなり 可愛げのない何者かになるまで


落ちていく仲間

ちぎられていく仲間

僕は 僕の運命に逆らうことなく

抗うことなく

受け入れることしか 術はなかった


詩 ゆれるのも いい

2010年05月12日 | 詩~思想・詩想~
ゆれて ゆれて

ゆら~りゆれる

風にゆれた スイセンが

頭をもたげて 地面を見てた


ひょこっと出てきた つくしんぼうと

なにやら お話してるみたい


春だね ようやく

南の風が吹いてるね


土の中では もぞもぞと

虫の足が 動き出し

いつ出て驚かそうかと

会議している かもしれない


ゆれる ゆれる

風にゆれ

地面の下でも ゆれにゆれ

芽が出るチャンスを 待っている