インドネシア事業仕分け帰国報告 その１

　インドネシア地方代表議会（ＤＰＤ）の事業仕分けセミナーの報告がようやくできます。帰国してからも予定が立て込んでいて疲れが抜けず、毎晩ＰＣに向かってもすぐに眠り込んでしまう毎日でした。
　このセミナーは、インドネシアの上院にあたる地方代表議会（ＤＰＤ）主導で開催され、国際協力機構（ＪＩＣＡ）の後援を受け、構想日本に講師派遣の要請がありました。
　構想日本からは、加藤代表、伊藤さん、田中さん、仕分けチームから荒井さん、私の５人編成です。５/１４から１７までの長期セミナーになりました。

　実施の背景は＝インドネシアでは日本の政府開発援助（ＯＤＡ）などを受けるインフラ開発事業が目白押し（実際、いたるところで高層ビルの建設ラッシュです）ですが、一方で、財政難の懸念から政府借り入れやインフラ予算の執行をためらいがちです。さらに、腐敗・汚職・縁故の政治に関して、大変な危機感を持っていられました。
　そこで、事業仕分けをきっかけに、予算を有効に使い、公費支出の無駄や不正をなくし、その結果、インフラ開発への歳出拡大の可能性がある、と期待されているのです。

　他方、日本にとっても、インドネシアで需要や優先度が高い事業分野への日本の関与拡大を望んでいるので、今回の「事業仕分け」により、新興国、特にアジア各国の財政健全化を促し、公共性が高い分野の事業を活性化する新たな取り組みとして注目されるかもしれません。
　
　まず、初日、２日目を報告しますね。
　
　４日間の日程は、行事がぎっしり詰め込まれ、とてもタイト。終わりの時間を気にしながらも、毎日遅くまで打ち合わせをし、しかも大変な交通渋滞なのでホテルに帰るのにも時間がかかり・・・寝る時間が削られてしまいました。


　まず、５/１４（月）は、１６：３５ジャカルタ到着。ＪＩＣＡインドネシア事務所によるブリーフィング、のはずが、渋滞のため空港から事務所まで３時間以上かかり、２１時過ぎから夕食を取りながらの打合せでした。スーツにアイロンをかけたり、寝たのは１時過ぎでした。

　ようやく空港に到着しました

　翌５/１５（火）は研修会前日の会場準備などロジ関係の調整と、DPD議員・事務局職員との打ち合わせのため、朝８：４５にホテルを出発し、国会に向かいました。
　議長室に通され、DPD議長のイルマン・グスマン氏とDPD事務総長のシティ・ヌルバヤ女史へ表敬訪問もしました。
　お二人のごあいさつの中で、
・３月に日本視察(事業仕分け研修会)をし、事業仕分けを有効な政治改革の手段ととらえている。
・今回の研修会には、意欲のある国会議員、自治体首長、有識者らが全国から参加する。
など、経済発展著しいインドネシアの勢いそのままに、導入に対する意欲の高さを感じました。

　それから、印象的だったのは、事務総長ヌルバヤ女史が、議長に対してまったくフランクに意見を言っていたことです。これは国際関係委員会委員長でＤＰＤ議員のエマ女史はじめ、他の議員も同様なのです。おどろいて通訳兼インドネシア政治通の北田さんに尋ねたら、『みなさんの垣根は低い、議論は好きだ』とのことです。


左がヌルバヤ女史、ベールをかぶっているのはエマ女史

　また、セミナーの会場としてNPRの本会議場を使えるというのも、本当に驚き。ここは法改正など重要案件などでしか使われない大きな議場だそうですが、この人数を収容するにはここが適している、という理由からで、その合理的な判断にびっくりしてしまいました。

　その後、ロジの打ち合わせ。しかし、ロジ関係は、日本人の感覚からすると調整不能とも思える状況です。
　明日の資料がまだ用意できていない、名札もがなければ、席順も決まっていない、同時通訳のマイクもない、リハーサルなんて考えていない…

　当初のスケジュールでは、大統領諮問委員会委員のギナンジャール・カルタサスミタ氏や国家開発企画庁副大臣のルキタ・ディナルシャ・トゥウォ氏を表敬訪問するはずでしたが、ロジ調整に時間がかかり、訪問は断念し、加藤代表だけが訪問されました。

　午後の日程は、１２時から１６時まで詳細打合せの予定でしたが、すべてにゆったり仕事をする「インドネシア時間」のおかげで、なんと１４：３０からの開始となりました。
　この打ち合わせでは、もっぱら翌日の分科会の打合せや模擬仕分け、セミナー全体の流れの確認をしました。やはり、どこにでも実施に対しグチャグチャいう方もいるようでした（マイクの調子が悪くて通訳が良く聞こえなかったんです）が、事務総長ヌルバヤ女史が、『何しろやってみることが重要だ』と、きっぱり言ってくださったことが心強かったし、そのリーダーシップに感動しました。

　インドネシア２日目の夜は、牛尾公使主催の夕食会。牛尾公使は政府の事業仕分けで、ＯＤＡなどが何度も対象になり、説明員として出席された方で、１敗２分だったとおっしゃっていましたが、実は私もＯＤＡの仕分けやＪＩＣＡの仕分けに参加していたのです、お互いに顔を見て苦笑いでした。

　

 

 

 

 

ＪＫＴ４８の巨大な広告が、ビルの壁面を飾っていました

翌日の本番の話は、「インドネシア事業仕分けその２」で報告します。