まちおもい帖2

日ごろ感じていることを書き記します。

国と地域 『吉里吉里人』を読んで

2018-10-19 00:03:58 | 日記

井上ひさしの本音は、分からないけれど、彼は、戦後日本のいろいろなことに腹を立てていたように思える。

●その一つが農業。

アメリカの言うなりに、アメリカのやり方である機械化を導入し、米を兼業で作れるようにしたこと。自動車などの機械を輸出する一方、アメリカの大豆や小麦粉などを輸入し、食料自給率が40%と低下したこと。百姓は、百の100の作物を作るから百姓。有機農法で、その土地にあった作り方・品種改良をする。人手で丁寧に作る。糞尿なども活かした循環型農業。一方、イノベーションで、動物とトマトなどを合体させて、革新的な増産が出来るようにする(事例としては、ヘンなものだったけど)。

●貧富の格差。

医者でも、掃除夫でも、農家でも、1時間働いたら同じ金額の労働価値とみなされ、賃金が支払われる。

●非効率な国の運営。

吉里吉里国では、10人の愚人会議がバスに乗っていて、そこで国の課題について議論して決める。大統領がそのバスの運転手で、手をタッチしたら、次の大統領が決まる。

●軍事化

吉里吉里国は、日本国の憲法9条を大切にしている。戦争ではなく、尊敬される国になることで、世界とつながろうと考えている(それが世界最高水準の医療技術らしい)。

井上ひさしは、余りにも日本のやり方に腹が立ったので、フィクションとして、独立を目論んだのだろうと思う。つまり、吉里吉里国は、井上ひさしにとっては、理想の国のあり方なのだろうと思う。

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以下は、ネット検索による。アメリカを例にとると、United States of America であり、Stateの力が強い。アメリカは、日本と同じ三権分立だが、日本では、議員内閣制で、与党議員(立法に携わる人)の中から首相(行政府の長)が選ばれるが、アメリカでは、行政府の長は、大統領で、これは間接的だが国民が選ぶ。

アメリカ大統領は、「外国と条約を結ぶ 」 「 外国と貿易をする 」 「 外国と戦争をする 」 というのが主な仕事で、それ以外は、州の仕事である。州同士が対立したり、複数の州に関係する問題を扱うときには、連邦裁判所が担当する。また、州の最高裁判所の判断に不満があるときには、連邦裁判所に訴えることができる。

州の長は 「知事」 で、日本の大臣にあたる人もいる。州 には軍隊もあり、「 州兵 」 という。 戦車や装甲車を持っていて、ジェット戦闘機を持っている州もある。 それぞれの州の憲法や法律は、州議会が決めているので、州によって制度や法律が違う。 消費税率も州によって違う。 死刑も実施している州とそうでない州がある。 学校教育制度も、日本と同じように6・3・3制をとる州もあれば、4・4・4制や、6・6制をとるなどさまざまだ。

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国の成り立ちは、それぞれ異なるので、政治体制が違うのは当然だが、アメリカの州のようなイメージで、生活に密着するところは、地域によって異なるようになれば、吉里吉里国は、成立可能なのではないかと思ったのだが、

吉里吉里国は、外国との関係や貿易の仕方も変えようとしているわけで、やはり、州ではなく、国としての独立でなければダメか。

 


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