節制での克己は、困難な持久戦になる

2011年01月12日 | 快楽への欲求を理性的に抑制(節制論3)
1-5-2. 節制での克己は、困難な持久戦になる。
 戦争では、不戦で済ますのが最上、短期決戦が次善で、長期戦を最低とする。だが、節制の戦いは、長期の持久戦が基本である。一回や二回の戦いでかたがつくものではない。毎回の食事において繰り返して食欲との小競り合いが続く。休みのない戦いの日々となる。
 かつ、その終わりも、また、ないことが多い。永遠の持久戦ともなる。食の節制の場合、欲求自体が健やかな中庸型に落ち着くことで停戦となるが、油断はできない。気を抜いていると、過食傾向は復活してくる。同じ量を維持していたのでは、年とともに基礎代謝が低くなって栄養分の過剰摂取ともなる。
 節制の戦いの困難さの一因に、敵となる感性的欲求を殺してはならないことがある。食欲は、生に必須であり、過食はいけないが、ある限度までは、食を促進する必要がある。おいしいものに満ち溢れた現代では、ついつい、その限度を超えてしまうのである。食欲と美味しいものがある限り、節制は、しばしば、一生つづく戦いとなる。
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