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ガトリングガン──南北戦争その後

2009-03-08 | note
南北戦争(1861~1865年)がなければ明治維新はなかった。
と明治政府の中枢にいたヒトたちは言っている。

南北戦争が終わって不要になった武器が上海に流れてきた。
この中古品の武器を日本が買った。
軍艦などは幕府がアメリカ政府から買っている。南北戦争中、北軍がフランスに造船を発注したものの、戦争が終結してしまい日本に売却した。

明治維新は英仏の代理戦争のようなもので、幕府にはフランス人将校がいて、横須賀に造船所を開設したのもフランス。ナポレオン3世が徳川慶喜に軍服を贈ったりもしている。一方イギリスは長崎に造船所を建設し、倒幕側に武器を供与している。

テイよく日本人は利用されていただけなのだ。イギリス本国から駐日公使に「この改革は日本人から始まったように思わせろ。日本的性格をもったもののように見せろ」と指示が飛んでいる。この書簡は現在でもイギリス公文書館で見ることができる。もっとも英仏とも背後にメーソンがいて、どちらに転んてもいいのだった。

なのに坂本龍馬をヒーローのようにでっちあげて、日本近代の先駆者のように扱って酔い痴れている日本人はなんとお目出たいのだろう。映画や芝居で幕末のヒーローといえば鞍馬天狗か月形半平太だったのが、62年に産経新聞夕刊で連載が始まった司馬遼太郎「竜馬がゆく」が60年安保で挫折した人々、さらに68年前後に「高揚」した面々(団塊とその前後世代)に読まれたのが龍馬ブームのきっかけだから、お里が知れる。68年のNHK大河ドラマは「竜馬がゆく」だった。

当時、開国されているので各藩自由に外国商人から個別に武器を購入している。しかし薩摩藩は早くから上海・長崎ルートをおさえていたイギリスにより武器や戦艦を購入していた。

だが大衆小説によって、幕府はグラバーにアームストロング砲を発注したのに倒幕側に売ったとかいうハナシしか流布してない。薩英戦争でもアームストロング砲が使われているが爆発して砲兵全員が死んだので英軍は以後制式砲として採用せず南北戦争中のアメリカに売った。で、南北戦争で使われた中古品が日本に入ってきた。

南北戦争ではもっとも殺傷力が高く素人でも扱えるガトリングガンというのが使われたという。
どういうのかというと
http://www.youtube.com/watch?v=9Wf6IYMNdeo&eurl

これを現在米軍が正式に採用してるM249という軽機関銃と比べてみるとガトリングガンのすごさが分かる。
http://www.youtube.com/watch?v=OEcEWxcH5LE

ガトリングガンは戊辰戦争(慶応4年/明治元年1868年 - 明治2年1869年)で長岡藩が使ったという。南北戦争では南軍が採用していたとか。このへん諸説あり詳細は不明。


「ヴェラクルス」(1954・米 )という映画にガトリグガンが数秒だけれど登場する。
ロバート・アルドリッチ監督の出世作。南北戦争直後のメキシコが背景で、当時メキシコはフランスの傀儡マクシミリアン皇帝(オーストリア皇帝の弟)が支配していて革命軍が反乱を起こしているといった状況。

物語 http://homepage2.nifty.com/e-tedukuri/VeraCruz.htm

南北戦争直後、メキシコでは、マクシミリアン皇帝による外国の支配に対し、革命軍が乱を起こした。
その動乱の場に、アメリカから元兵士や無法者の群れが流れ込んできた。

南軍の少佐トレーン(ゲーリー・クーパー)は足を怪我した馬を無法者のエリン(バート・ランカスター)から買い換えた。
その時、彼方から政府軍の群れがやってくるのが見えた。二人は馬で逃げる。
政府軍はトレーンに向け発砲してきた。
「撃ってきたぞ」と、トレーンが言うと、「当たり前だ、その馬は軍の馬だ」エリンがニヤリと答えた。
地面の裂け目を馬で飛び越えるエリンとトレーン。政府軍は一斉射撃、トレーンが馬もろとも倒れる。倒れたトレーンにエリンが近づいた。何やら盗もうとしたエリンに向け死んだと思ったトレーンが銃を構えていた。エリンはトレーンの鉄拳を喰らう。「ルイジアナなら縛り首だぞ」と、トレーンは言って去る。

町に入ったトレーンがエリンの馬に乗ってきたのを見られ、酒場でエリンの手下たちからリンチを受ける寸前、エリンが玄関に立った。日焼けした黒い顔に白い歯を出して笑う。「俺と組まんか」エリンが言った。

町の広場。マクシミリアン皇帝の側近デ・ラボルデア公爵(シーザー・ロメロ)が兵を引き連れてきた。「我々に手を貸さないか、皇帝は気前がいいぞ」
その時、革命軍のラミレス将軍が人垣を割ってきて言う。
「あいにくだが公爵は捕虜だ。君たちもな」エリンたちが回りを見ると、広場の塀の上に革命軍の兵士達が銃を構えて立ち並んでいた。
エリン、広場にメキシコの子供たちがいるのを見て、「子供は犠牲にできん」部下に合図し家の中へ連れて行かせる。
「子供が死ぬぞ!」エリンが叫んだ。メキシコの子供を人質に取ったのだ。
ラミレス将軍はやむなく兵を引かせた。
「切れる男だ。子供を使うとはな」公爵は舌を巻いた。

メキシコシティの宮殿。舞踏会。マリー・デュバル伯爵夫人(ドニーズ・ダルセル)に心惹かれるエリン。
宮殿の広場でライフルの腕前を披露するトレーンとエリン。皇帝は大いに満足げだ。

皇帝の命により、マリー・デュバル夫人を馬車でヴェラクルス港まで送り届ける旅が始まった。
河を渡るわだちを見て、トレーンが言う。「馬車が荷車より重い」 「確かに妙だ」エリンが答える。
宿泊所での夜、二人は馬車の底に金貨の詰まった箱を発見した。そこへ、デュバル夫人がやって来た。「50万の箱が六つよ」 エリン「300万ドル!いい響きだ」エリンが言った。「欧州で皇帝の軍隊を雇う資金なのよ、私は100万でいいわ。ラスパルマスで会う船長が船を用意してるわ」

町を通り抜けようとした時、革命軍が一行を襲った。銃撃戦の中、町の女ニナ(サリタ・モンティエル)も馬車で加わり、皇帝軍は追撃をかわした。
エリンはトレーンに奇妙な友情を感じ始めていた。

ラスパルマスでルクロア船長とデュバル夫人の密談。エリンがそこへ入ってくる。船長が出て行くと、エリンは夫人を張り倒した。「船長は俺を死人を見る眼で見た。・・・金貨を運べば俺は用済みか」 エリンは金貨を二人で分けないかと持ちかける。

一方、トレーンは町の女ニナと金貨を奪う相談をしていた。

そんな折り、皇帝の兵が馬車を走らせて町を去る。銃撃戦で腕を撃たれたエリン。トレーンとエリンたちも馬車を追う。
途中で革命軍の爆薬で横倒しになった馬車の中には金貨は無かった。
「公爵が一枚上手だ」トレーンが言った。デ・ラボルデア公爵が金貨を荷車に移し変えヴェラクルスへ向かっていたのだった。
その時、彼らを革命軍が取り囲んでいた。トレーンが丸腰で出て行く。ラミレス将軍と対峙。「一緒に取り返そう」と、トレーン。「あれは、メキシコの金だ。分けられん」と将軍。トレーンは分け前でなく、報奨金として10万ドルを将軍に認めさせた。将軍、「よし払う、あんたの言葉を信じよう」

ヴェラクルス要塞。公爵はまんまと金貨を運び込んだ。
しかし、トレーンとエリンを味方に付けた革命軍は、二人の援護射撃で要塞の門を突破し、要塞になだれ込んでいく。
両方の多くの兵隊が死んでいく。公爵も倒れた。
要塞の二階にいたデュバル夫人の元へエリンが上がって行く。夫人を抱きしめ船の場所を聞き出したエリンは地上に飛び降り、馬車を用意した手下を撃ち殺した。

そこへライフルを構えたトレーンが姿を現した。「馬車をもらうぞ」とエリン。
「革命軍の金だ」とトレーン。 「フェアな勝負をしろ」とエリン。トレーン、ライフルを投げ捨てる。
向き合う二人。双方、拳銃に手が伸びて・・・。一瞬の動き、銃声が轟く。
ニタリと笑いながら銃をクルリと回しホルダーに納めたエリンはそのまま後ろ向きに倒れた。
全てが終わった。ニナがトレーンの姿を探し当て、走っていった。


で、このヴェラクルス要塞を革命軍が攻撃するときガトリングガンが使用されるのだ。他にも「真昼の死闘」(1970/ドン・シーゲル監督)という同じくメキシコの革命を背景にしたクリント・イーストウッドとシャーリー・マクレーン共演の西部劇があって、これにも革命軍がチワワのフランス警備隊を襲撃するとき数秒だがガトリングガンが登場する。エンニオ・モリコーネの音楽もよい。