喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

お彼岸のお墓参りで

2015-03-24 13:34:08 | 喫煙を考える

昨日、母と、菩提寺にお墓参りに行ってきました。
お墓参りを終えて、菩提寺の境内の階段を下りようとしていたところ
「荻野さん、荻野さん」
と、大奥様が私達の所に駆けつけていらっしゃいました。
すると、本堂と庫裡をつなぐ渡り廊下の窓を開けて、御住職が顔を出され
「荻野さん、どうぞどうぞ、玄関にお回りください。私も、大変だったんですよ。
 お引止めして申し訳ないけれど、どうぞどうぞ、お上がりください。」
と、おっしゃるではありませんか。
窓から拝見した御住職は、酸素を鼻から吸入するカニューラをつけていらしたように見えました。
話す言葉も、一語一語息継ぎをしているようにお見受けしました。


玄関に回ると、御住職がパジャマにベストを羽織って、酸素ボンベを引きながらやって来られました。

「いやー、荻野さん、私も急性増悪になって、入院していたんですよ。
 つい先日、退院してきたばかりなんです。
 もう、戻れないかと覚悟しましたが、帰って来られました。
 お嬢さん(私のこと)の御本も読みましたよ。
 そこに書いてあるとおりのことを、私も経験してきました。
 入院してすぐに医者に聞かれたのが、『人工呼吸器は着けますか?』でしょ。
 私は、自分が癌になったら絶対に教えてくれるなと妻にも言っているくらい臆病者なのに
 いきなり『人工呼吸器はどうしますか?』って聞かれて、ショックでしたよ。
 こっちはもう地獄の苦しみなのに、医者は慣れているもんですな。
 もう平然と、てきぱきしていて、すごいですよ。」

側にいらした奥様も
「本当に、お父様と同じような経過で、びっくりしてしまいました。
 今回はこうして家に帰れましたけれど、一時はどうなることかと。
 私も食べ物が喉を通らなくて、10kgもやせてしまったんですよ。
 お父様も、御家族も、本当に大変だったんでしょうね。」
と、私共に気を遣ってくださいました。
先ほど呼び止められた時、大奥様がとてもおやせになって
御心労が察せられるほどの御様子だったので、もしや御住職が入院でもと思ったのですが
やはり入院中は相当大変だった御様子でした。
実は御住職は、10年前から特発性間質性肺炎だと宣告されていたそうです。
ところが、御本人曰く、間質性肺炎がどのような病気か、全く無知だったとのこと。

「医者に間質性肺炎だって言われたけれど、何もすることはないっていうし
 カビでなるとか、リウマチの薬の副作用でなるとか言われたけれど
 それがどうしたんだよって感じで、それからもタバコを吸っていましたよ。
 起きて吸うと、なんだか吸いづらいもんだから、寝ながら吸っていたんですよ。
 それが、4年前に肺がんだって宣告されて、がんだったらいずれは死ぬんだから一緒だろって
 やっぱりタバコも吸っていたんです。」

ところが、今回の急性増悪の入院で、今までとは別の病院・医師にかかったらしく
間質性肺炎のほか、肺の下葉部分は肺気腫(COPD)になっていることを指摘され
タバコが原因であるとはっきり言われたそうです。

「タバコがそんなに悪いなんて、そしてこんなに苦しくなるなんて、思ってもみませんでしたよ。
 肺の病気が、こんなにも苦しいものだとは、考えてもみなかった。
 いまさらこんなこと言っても始まりませんが、私も無知だったけれど、医者も何も言ってくれなかった。
 もっと早くタバコをやめていたら、ここまで悪くなることはなかったかもしれませんよ。
 子供や孫の顔を見ると、頑張って生きなきゃならないと思いますが
 生きているのが肉体的にこんなつらいものになるなんて、思ってもみませんでした。」

どうかこの話を、他人事だと思わないでほしいのです。
喫煙者には自分のこととして、非喫煙者でも身近に喫煙者がいる人は
いつか訪れる日のこととして考えてほしいのです。
これほど苦しい思いをしても、あなたはタバコを吸い続けますか。
そして、大切な人に、これほど苦しい思いをさせたいですか。
タバコは、吸う人も吸わない人も、苦しめる物なのです。


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