喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

モスバーガーの混迷するタバコ対策 ~曖昧な姿勢が命取りに?~

2018-02-02 08:20:28 | タバコ問題への取り組み

私が留守にしたある日、夫はモスバーガーが食べたくなって
店内に喫煙室があることをすっかり忘れて入店したそうです。
入店するとタバコ臭が漂っていたので、禁煙ではなく分煙だったと気づき、店員に
「モスバーガーが食べたかったので来ましたが、タバコ臭いので帰ります。
 禁煙にならないかぎり、もう二度と来ません」
と伝えて、アンケート用紙に要望を書いて帰ってきたとのこと。
かくいう私もモスバーガーが大好きで、そう頻繁ではありませんが
「ハンバーガーはモス」と決めて、かつては地元でも外出先でも利用していました。
ところが、環境タバコ煙で体調悪化を招くようになってしまった現在
喫煙室のあるモスバーガーは、私にとって利用できない店舗になってしまいました。
夫からの話に思うところがあったので、かつてのファンの一人として
株式会社モスフードサービスに1月12日付で要望書を郵送しました。


<要望書の概要>
数あるファストフード店のなかで、私はこれまで貴社の商品、とりわけスパイシーモスチーズバーガーが大好きで、近くにある店舗はもとより、外出先でもよく利用していました。
過去形であるのは、私が受動喫煙症に罹患し(別紙1)、店内に喫煙室が併設されている飲食店で食事をすることや商品を購入することができなくなったためです。
貴社はこれまで、商品の味や原材料・環境に配慮し、店舗における分煙化をさきがけて行った企業でありますが、今や店内でタバコを吸わせる環境を維持している企業が、いくら原材料にこだわり、環境に配慮し、子供たちに向けたイベントを開催しても、それがたんなる商売の口実にしか過ぎないと多くの人は看破しています。
私はそのような状況を、貴社の商品が食べたくて仕方がない者の一人として、大変残念に思っています。
店舗の完全禁煙化は、喫煙者のお客の排除ではありません。
喫煙者でも、タバコを吸わない状態を維持するだけで利用できるのが完全禁煙であり、分煙では、受動喫煙症・喘息・循環器疾患・呼吸器疾患等、疾病を抱えている健康弱者や妊婦・子供は利用できない、つまり、貴社が店舗の分煙を存続させることは、健康弱者や妊婦・子供を顧客として排除しているに等しいというのが実態です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、受動喫煙対策の法制化が加速度的に進むことが予想されます。
1日も早いモスバーガー全店舗完全禁煙を強く要望します。

1、モスバーガー全店舗完全禁煙化を要望します
2、1が実行可能な場合、完全禁煙化の目標期日を大まかで結構ですのでご教示ください
3、1を実行できない(できなかった)理由と論拠をお示しください
4、これまで貴社はホームページ上で、「モスの想い」「モスの安心・安全」を謳っておいででしたが、たとえ分煙であれ、店舗内での喫煙がそれらの方針と矛盾しているとお考えにならないのか(ならなかったのか)、その理由と論拠をお示しください

以上


要望書に対して、1月30日付で、株式会社モスフードサービスから書面で回答が届きました。


<回答>
拝復 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
弊社にお問い合わせいただきました件につき、次のとおりご回答させていただきます。

1、弊社は2018年3月までに完全分煙化を目指しております。
  その後につきましては、経営課題の重要項目として、まさに今、社内検討中でございます。
  社会の情勢、行政の指導を勘案し、お客様に快適な店内環境を提供すべく、店内完全禁煙化に
  向け、真摯に取り組んでまいります。
2、目標期日につきましては、チェーン内調整中ですので、現時点での公表は差し控えさせていた
  だきたく存じます。ご理解の程、よろしくお願い致します。

この度は荻野様より貴重なご意見・ご指摘を賜り、社内協議の機会をいただきまして誠にありがとうございました。今後ともモスバーガーをよろしくお願いいたします。
                                          敬具


要望書の3と4に関しては無回答でした。
回答を拝読し、とても不思議に感じるというか、理解に苦しむ部分があります。
「2018年3月までに完全分煙化を目指し」ということは
野放図な喫煙店舗がいまだに存在しているということなのでしょうか。
また、「店内完全禁煙化に向け、真摯に取り組んで」いくとしながら
現在分煙化中というのは、本気で店内完全禁煙化する意欲が全く感じられず
無駄な労力と経費をかけているようにしか思えませんし、納得できるものではありません。
さらに、店内完全禁煙化の目標期日は、2011年3月30日の発表によると
「4月以降に開店する新店を全て完全禁煙とし、既存の店舗も移転などの際に禁煙対応を進める」
とあり、現状4割ある禁煙店を10年以内に100%禁煙にすると打ち出していました。
そうであれば、完全禁煙化の目標期日は3年後の2021年4月であると、回答できるはずです。
好意的に考えて、2021年4月より前倒しして進めているというのであれば
期日を明記できないまでも、そのように回答することは可能であると考えます。


いつになるともわからない完全禁煙化を目指しながら完全分煙化を進行中で
完全禁煙化がお客にとっての快適な店内環境だと回答しながら
店内を喫煙環境下に置いていたことについて理由も説明もできない
というのが、株式会社モスフードサービス、つまりはモスバーガーなのです。
この曖昧な姿勢が、創業以来の絶不調と伝えられる現在のモスバーガーの状況を
生み出しているのではないか、と思うのは私だけでしょうか。
社会の情勢を勘案するならば、自ずと方針は決まるはずです。
行政の指導がなければ、どうしていいのかわからないのなら
経営理念がない企業、ということでしょう。


回答を拝読しているうち、全く業態は異なるものの
株式会社スーパーホテルに完全禁煙化を要望した際のことが重なって見えました。
スーパーホテルは、かつては禁煙客室と喫煙客室をフロアで分けるという
分煙化をさきがけて推進したホテルです(モスバーガーと経緯が似ています)。
宿泊施設に禁煙客室自体が少なかった時は、フロアで分かれた禁煙客室は魅力的でした。
しかし、喫煙客室があることで、頻繁に喫煙できる環境が整えられているためか
三次喫煙による、エレベーターや朝食ルームのタバコ臭がひどく
完全禁煙のホテルが開業、もしくは完全禁煙ホテルに転換する同業者が増えるにつれ
魅力が半減するどころか、魅力を感じることがなくなってしまったのです。
スーパーホテルには、無駄を省いて環境に配慮した結果の低価格という特徴があり
大いに利用していた一ファンとして、禁煙化されれば利用し続けたいと考えていました。
そこで、スーパーホテルに禁煙化を要望したのですが、回答は非常に曖昧なものでした。
禁煙化できない理由としては、「これまで支えてくれた喫煙者のお客への配慮」とありました。
「禁煙化とは喫煙者の排除である」という思考から脱却できないのです。
そこで、モスバーガーももしかしたら同じ状況に陥っているのではないかと考え、要望書には
「店舗の完全禁煙化は、喫煙者のお客の排除ではありません。
 喫煙者でも、タバコを吸わない状態を維持するだけで利用できるのが完全禁煙であり
 分煙は健康弱者や妊婦・子供を顧客として排除しているに等しい」
と書いたのですが、理解してもらえなかったようです。


次にご紹介するURLは、マクドナルドが全店禁煙にした時のお知らせです。
http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2014/release-140815a.html
このお知らせには、飲食店を禁煙化することの目的・意味がしっかり記されています。

「お子様連れを含むすべてのお客様に、よりきれいな空気と健康に配慮した環境のなかで
 お食事をお楽しみいただけるよう配慮」すること。
「マクドナルドで働く従業員の労働環境の向上にも繋がっていく」こと。
「お客様にサービスを提供する従業員の健康などに配慮することも
 マクドナルドの大切な役割のひとつ」であること。
「小さなお子様からお年寄りまで
 幅広い層のお客様のお食事の場として相応しい店舗環境を目指す」こと。
「いつでも、どの店舗でも、おいしい空気で
 おいしいひとときを過ごしていただける店舗体験の提供に努め」ること。

禁煙化できずにいる飲食店は、喫煙行為を伴うお客と喫煙しないお客を
双方取り込むことが全方位戦略であると勘違いしているようですが
マクドナルドのお知らせに記された目的を達成することこそ全方位戦略であり
多くの大手飲食店チェーンが目指すところなのではないでしょうか。
私がモスバーガーを利用できない状況は、当分変わりそうにありませんし
今後完全禁煙化されたとして、その時には
「モスバーガーを食べたい」という気持ちが萎えてしまっているかもしれません。
ただ、かつてのモスバーガーの一ファンとしては
どっちつかずの曖昧な姿勢が命取りにならないよう、願わずにはいられません。



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6 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-02-08 23:26:33
はじめまして
・社会的に禁煙の姿勢は見せておきたい。
・会社の有力者が喫煙者。
とか、そんなとこでしょうか?
素材にこだわったところで、タバコの匂いで全て台無しになるわけですが。
返信する
悪手だと思います (荻野寿美子)
2018-02-12 01:15:23
コメント、ありがとうございます。
今後コメントを頂戴する際には、ハンドルネームを記入してくださいますよう、お願いします。

モスバーガーは回答で2018年3月までに完全分煙化するとしながら、完全禁煙化に向けても取り組むと回答しています。
そう回答していますが、実際のところは完全禁煙化は眼中にないのではないでしょうか。

回答は、どっちつかずで中途半端なこれまでの路線の弁解にもなっていませんし、今後もお題目だけは立派で実行が伴わない状況を変える気はないのだと強調することになってしまい、悪手だと思います。
要望書の3と4に回答がないことからも、モスバーガーの都合の悪い回答にならざるを得ないから、回答できないのでしょう。
返信する
同感です (さとや)
2018-03-15 21:01:58
私がモスを利用しなくなったのが、まさに欺瞞に満ちた分煙環境でした。

私は元喫煙者ですから、タバコのにおいはそれ程気にならないです。でも、健康や安心を謳い文句にしながらも、喫煙可にしてる現状は馬鹿にされてる気がしました。
また、完全分煙っていってもドアの開閉で濃厚な煙がやってきますし、隔離されたモクモク空間で食事してる姿はなんだか見ていて気分がいいとも思えません。

早く全面禁煙にしてもらいたいです。
返信する
お子さん向けのイベントが心配 (荻野寿美子)
2018-03-17 16:00:43
さとやさん、ようこそ当ブログへ!
そして、コメントを頂戴し、ありがとうございます。

おっしゃるとおり、「分煙」ではドアの開閉に伴う人の出入りによって、環境タバコ煙が禁煙とされている場所にまで拡散してしまいますので、意味がありません。
喫煙室を作って「完全分煙」にするのであれば、竜巻並みの吸引力がないと環境タバコ煙の拡散は防げないとされています。
つまり、分煙では環境タバコ煙を避けることはできないということです。

また、私は健康上の理由から、モスバーガーを利用できなくなっているので知りませんでしたが、分煙店舗で子供向けのイベントを開催しているそうです。
そのことを大変心配して、お子さん連れの方に分煙店のイベントに参加することにネットで警告を発していらっしゃる方もいます。
すると、私やお子さんを心配した方々の行動に関して、「子どもをだしにして主張を通そうとする」という批判を受けることがありますが、売上と集客を増やすため、受動喫煙環境であるにもかかわらず子供向けのイベントを開催する方が、子供をだしにしている行為であると考えています。
子供も大人も、すべての人が利用できる環境こそ完全禁煙。
モスバーガーが完全禁煙になったら、私もまたファンに戻れます。
返信する
早く叶えて欲しいです! (あざみ)
2018-03-30 15:59:15
こんにちは、初めまして。
先ほどツイッター経由でモスバーガー全店での完全禁煙の記事を見つけ、「モスバ 禁煙」で検索してここに辿り着きました。

私もブランクはありますが、かつて「モスモス」を発行していた時代からのファンですので、今回の発表には期待しています。

管理人様の懸念もよく解ります。
勉強不足で、受動喫煙症という病名は初めて知りました。
すみません。

ですが、ファンとしてはやはり期待してしまいます。
費用負担の問題はあったにせよ、看板を赤から緑に変えた前例もあるので、全店禁煙化も可能だと思います。

素人考えですが、
①禁煙席と喫煙席とが別フロアの場合には、灰皿の撤去・壁紙の張り替え程度(できれば空気清浄機の設置or更新も)で済むでしょうし、
②ワンフロアでガラス張りの小部屋がある場合には、その部分の撤去のみならず、店舗全体のレイアウト変更+上記①の併用にすれば解決する話です。

改装費用や休業補償、バイトさんの転勤を含めてオーナーさんを説得するのに時間を要するとは思いますが、加盟店契約に至るまでに、セミナー参加→レポート提出をしてモスの理念を共有(共感できていないと看破されれば落選)→そしてモスフード社長自身との最終面接を経て、ようやく加盟…で知られていると思いますので、改装に反対のオーナー・店舗は契約解除ではないかとも思ったりします(希望的観測ではありますが)。

それでは失礼します。
返信する
喫煙室なしに期待 (荻野寿美子)
2018-03-31 23:39:58
あざみさん、ようこそ当ブログへ、そして、コメントを頂戴し、ありがとうございます。
モスバーガー完全禁煙化のニュースを読むと、この度の決定は、健康増進法改正案に、喫煙場所には未成年を立ち入らせないという条項があることが大きいようですね。
そのために、喫煙室もなくすとのこと。
大いに歓迎します。
なるべく早く完全禁煙化を進めれば、喫煙室ありの味に魅力のないファミリーレストランよりずっと魅力的だと思うので、モスバーガーの起死回生も夢ではないと思います。

私もモスバーガーが好きだったのです。
夫がモスバーガーに行ってもタバコ臭くて、店で食べる気持ちにならなかったとがっかりしていたのを見て、正月休みにいろいろと思案しながら要望書を書きました。
モスバーガーから、ピント外れの回答が来た時は、好きだったからこそ残念度は大きく、落胆したのです。

モスバーガーが完全禁煙を決断したこと、そして、喫煙室も設けないとしたことは、ちょっと遅い感じが否めませんが大歓迎です。
このニュースが流れた時、夫と「完全禁煙になったら、真っ先に行こうね!」と、話しました。
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