金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

女性産科医復帰研修応募ゼロ

2006年12月30日 06時37分48秒 | 青森県の医師不足
休職中の女性産科医の職場復帰を支援する県の研修事業の申し込みが二十八日締め切られた。しかし、期待に反して、女性医師からの応募はゼロ。深刻な産科医不足解消へ、女性医師の復帰に期待をかけていた県は「提示した研修の条件が合わなかったのだろうか…」と落胆を隠せないが、病院関係者からは「もともと県内に休職中の女性産科医はいないのでは」との指摘も上がっている。
 県は本年度、増え続ける女性医師の職場環境を整える事業を開始。子育てなどの理由で医療現場を離れている女性産科医の職場復帰を支援する臨床研修を来年一月から三月まで予定し、今月一日から受講者二人を募集した。
 ところが締め切りの二十八日になっても応募はゼロ。問い合わせもなかった。
 産科医の応募がなければ小児科か麻酔科も受け付けることにしていたがやはり、問い合わせ、応募ともになかった。
 県医療薬務課は「女性産科医確保につながると期待していたが…」とがっかりした様子。「ホームページで周知したほか、県医師会、弘前大学、各病院にお知らせしたのでPR不足ではないと思う」と語る。
 とりあえず二十八日付消印有効として年明けまで応募を待つ予定だが、見通しは厳しい。このまま本年度、応募がなかった場合、約百五十万円の事業費は、減額補正される。
 県の今年一月の調査では二〇〇三-〇五年で休職中の女性産科医・小児科医は十三人いることになっているが、県内のある産科医は「青森県の女性産科医は全員離職せず、子育てなどしながら頑張っている」と指摘する。産科医の厳しい労働環境に触れながら、「県外からでも応募があればよかったのに」と話していた。(『東奥日報』06.12.29)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20061229093749.asp

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このブログで以前指摘したが、募集期間がたった4週間では短すぎる。かりに復帰を考える医師がいたとしても、人生を変える大きな決断であることを考慮すれば、あまりにお役所仕事にすぎたのではないか。素朴な疑問だが・・・なぜ無期限で募集できないのか?粘り強さに欠けないか?
「ある産科医」の指摘と県の想定とのくい違いは重大だ。実際のところ潜在的産科医は青森県内にいるのか、いないのか。そもそも、ホームページで「周知」することなどとても不可能だ。事前に、県医師会・弘前大学・各病院に大まかであれ可能性について打診したのだろうか?しなかったとすれば、あまりにあてずっぽうとしか言いようがない。事前分析が甘すぎたことも指摘されなければならない。医師確保が「全国区」であることはいまや常識である。弘前大学が県内に医師を供給してきた時代は既に終わったのだ。「ある産科医」が述べているように県外をも睨んだ募集が必要だ。
県は、これに懲りずより広く持続的に産科医を募集すべきだろう。

【補足】
金木病院の救急体制を回復には最低2名の内科医が必要だ。しかし、2名では本当は足らない。医師が激務のあまり現場を去ったことを考えると、最低でも3名は確保しなければならないだろう。それを達成してやっと常勤7名体制である。金木病院の規定医師数は(医師配置基準を90%にまけてもらって)13名だから先は限りなく遠い。
産科医は生まれ出ずる「命」をまもる。救急体制は失わずにすむ「命」をまもる。どちらも医療の原点である。金木病院救急維持のため県が医師確保に積極的に取り組むことを願わずにいられない。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
3人でも地獄、4人でも地獄 (一人じゃ地獄、二人でも地獄)
2006-12-30 19:42:33
僻地医療という地獄に数人放り込まれても地獄でしかありえない

一人で飛び込むのは犯罪者くらいのものだろう

規定医師数に足りないのなら廃業するのが筋では?

住民が本気で金を出せば解決できる問題を、医師の倫理に訴えるのは、これも筋違い

しょせんは田舎など他人事である


同情するなら金を出せ!
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おこたえ (管理者)
2006-12-30 20:17:17
このようなコメントが多過ぎて、「承認」設定しています。典型的発言としてあえて晒します。

ドクターの厳しい勤務状況はわかっていると何度もこのブログで述べているのに、いまだ「金を出せ」という。なにか別に意図でもあるのですか?住民運動をつぶさなければならない意図でもあるのですか?それは市議会議員選挙にでも関係があるのでしょうか?

金木病院問題は、国策による医師不足と支援体制の不備にあります。あなたが本当にドクターであるなら、本当に立ち向かうべき相手を見間違えていると思います。

患者を救うのが医療でしょう?患者はメシのタネなのですか?なにも金を出さないと言ってません。地域がともに汗を流すと言っています。カネが欲しいなら皆で頑張ってカネもだしますよ。どうですか?

医師がこのような貧困な精神を懐かざるを得なくなったこの国の医療政策を恨みます。
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自演? (アンディ)
2006-12-30 21:22:19
>ドクターの厳しい勤務状況はわかっていると何度もこのブログで述べているのに、いまだ「金を出せ」という。
過去の管理人様のコメントを拝見するに、理解できているとは到底思えませんけれどね。

>なにか別に意図でもあるのですか?住民運動をつぶさなければならない意図でもあるのですか?それは市議会議員選挙にでも関係があるのでしょうか?
口が悪いだけで、この運動の方向性が間違っていることへの苦言を呈しているのでしょう。

>金木病院問題は、国策による医師不足と支援体制の不備にあります。あなたが本当にドクターであるなら、本当に立ち向かうべき相手を見間違えていると思います。
ホワイトバンド運動で医師が沸いてくるという雨乞い的な思考こそが間違っていると思いますが。

>患者を救うのが医療でしょう?患者はメシのタネなのですか?なにも金を出さないと言ってません。地域がともに汗を流すと言っています。カネが欲しいなら皆で頑張ってカネもだしますよ。どうですか?
あなたがこれまでに「承認し、その上で賛同された」ご意見を拝見するに期待はできませんけれど…
どれぐらいのご覚悟なのでしょうか?
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>アンディさま (管理者)
2006-12-30 21:51:16
「自演?」とは・・・・。

あなたたちは「自演」することがよくあるのでしょうね。自分の容器で他を推し量らないでください。失礼ですよ。

わたしたちはそんな卑怯なまねはしません。

「ホワイトバンド運動」ではありません、何も読んでないのですね。これだけ地域住民が願っているのにこれもまた失礼極まりない!
「ホワイトリボン運動」です。

>雨乞い
・・・市民運動を否定するあなたはいったい誰ですか?まさかドクターではないことを願います。

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この度のコメントが、あまりに酷すぎたためあえて公開しました。

因みに、救急維持できず残念でしたね・・などと嗤いを含んだ悪辣なメールも届いています。本当に情けないことです。命を守る医療を、この国では期待できないのでしょうか!?

ともに頑張りましょう。
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こんな地域には (ある医師)
2006-12-31 12:35:48
まず、いまいる医師に対しどのようにやめないでがんばっていただくように地域がするのか?
ということを考える必要があります。
というのは人数が減ると医師1人あたりの仕事量が増え、医師の気持ちが切れてしまうからです。

具体的にどのようなことを地域住民で出来るのか?それを考え、アイデアを出し、それを載せましょう。

口で医師をよこせというのは誰でも出来ます。
その上で、この地域に勤務するとこのようなメリットがありますとか出してくれないと・・・。
医師個人にも職場を選ぶ権利はあるので、来てほしいだけではほかの自治体と同じことをしているのに過ぎないので、あえてここに勤務する理由も見当たらないでしょう。

ちなみに医師の数は不足しているのですよ。
全国で。いろんな地域で医師不足です。
ならば今の小泉ー安部内閣をつぶして、医療費を増やす政策を採る政党を選べばいいんじゃないの?
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優秀な看護師こそ必要 (山陰の脳外科見習い)
2006-12-31 14:45:38
メールで送らせていただきました。切り貼りしていただいて結構ですが、

外科系のみならず救急のプライマリーケアにおいては専門化された医師よりも経験の多い看護師のほうが隠れた徴候を見逃さないことが多いように見受けられます。
私が研修したいくつかの脳外科専門病院でも、夜のコールが多ければいいってものではなく、看護師サイドでコールすべきかどうかを判断していただいてからコールがある病院では、多少忙しくても翌日に体力温存が可能でした。
もちろん、看護師は責任が過重になるように思いますが、ベテランは本当に信用がおけます。
ということは、看護師の給与を医師並に設定してみればどうかと。もちろん、経験年数が多ければいいだけではありませんが、面接にて名のある救急病院でトレーニングを受けていればいいでしょう。
私が感心したスタッフの方々は、尊敬できる脳外科部長から常に良い指導を受けていたように思います。私も部長のその姿勢と看護師の向上心から多くを学びました。同時に、看護師より優遇されていた自分が心苦しく思えました。(将来返せばいいのですが)

そうはいってもそちらは医師が足りなさそうではありますが・・。まずは経営陣にいうことですね。
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いや (ssd)
2007-01-04 06:57:45
既に地方のベテラン看護師の給料は、研修医より高額ですよ。
多くの赤字自治体病院の原因と言われています。
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ちなみに (ssd)
2007-01-04 12:55:00
http://ssd.dyndns.info/Diary/archives/2006/12/post_119.html
こちらでも触れましたが西北五中核病院のマスタープランによると

職員給与5 病院平均単価:医師1,415 千円、看護師535 千円、准看護師615 千円、医療技術員563 千円、事務職員521 千円、その他の職員510千円(臨時職員単価:看護師・准看護師250 千円、医療技術員・事務員・その他209 千円)、

赤字自治体病院の典型的な構造です。
500床の病院で、平均月給52万円の事務員38人とは、主計科ばっかり乗っている戦艦ですね。

PFIを導入した近江八幡市立総合医療センター
http://www.kenkou1.com/
では407床で、事務職員は20名弱です。
www.city.omihachiman.shiga.jp/kikakuzaisei/tosikeiei/pdf/byouin.pdf
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