木村ゼミ ブログ

とりあえずは、ヒット商品

~Wiiのヒット要因~ M . I

2007-08-03 14:47:01 | Weblog
ヒット商品の分析
~Wiiのヒット要因~

私は、ヒット商品の要因を分析するにあたり、任天堂のWiiとソニーのPS3の2つを比較してみた。この2つの家庭用ゲーム機は2006年の冬にほぼ同時期に発売され、マイクロソフト社のXbox360と並び、次世代家庭用ゲーム機として、日本市場で熾烈な競争を繰り広げてきた。しかし、2007年になりその競争も一段落してくると、任天堂のWiiが他社のゲーム機を圧倒し、一人勝ちの様相になってきている。では、この差はいったいどうして生まれたのだろうか。
任天堂が次世代家庭用ゲーム機として開発、発売したWiiは、これまでにないコントローラとその使用方法、過去に発売されたゲームソフトのダウンロード販売、ゲーム以外の日常生活に役立つコンテンツの搭載、インターネットを利用した豊富な機能・サービスが大きな特徴である。これらの特徴は、処理能力や画像表現の向上が特徴である競合機種PS3やXbox360と全く特徴が異なる。このWiiの特徴には、日本のゲーム市場が1997年をピークに少しずつ縮小傾向にあるという背景がある。このゲーム市場の縮小を、任天堂は「ゲームの複雑化に伴うゲーム離れ」にあるとし、システムや操作の高度化・複雑化が進み、あまりゲームをプレイしない層とゲームをよくプレイする層の間でゲームに対する心理的な距離に格差が生じ、ゲームに対するスタートラインが、人によって全く違う状況になってきているのではないかと考えた。そこで任天堂は誰もが同じスタートラインに立てる、また、ゲームから離れてしまった人を呼び戻すために「ゲーム人口の拡大」を目指し、ユーザーインターフェースの改良によって「このゲームの操作なら、自分でもできそうだ」と普段ゲームをしないユーザーに思わせることを具体的目標とした。つまり、Wiiはゲーム初心者や普段ゲームをあまりしない女性をターゲットにすることで、PS3やXbox360との正面からの対決を避け、さらに、縮小傾向だったゲーム市場の新規開拓を図ったのである。
またWiiは、テレビCMも他社のゲーム機とは異なっている。PS3やXbox360は発売前後に集中して、CMを行ったのに対し、Wiiは、2006年の6月から現在に至るまで長期にわたってCMを行っている。
 このように、Wiiは他社の家庭用ゲーム機とは異なるターゲットを定め、ゲーム市場をセグメントした。これは同社の携帯用ゲーム機、ニンテンドーDSにおいても同様であり、リモコンやタッチペンなどのユーザーフレンドリーなインターフェースを用い、ゲーム初心者である女性や40代以降の人たちなどに、「ゲームをする習慣」を作り、ゲーム市場の新規開拓に成功した。また、長期間CMを行うことで普段ゲームをしない人に認知度を高め、関心を持ってもらうことにも成功した。Wiiがヒットした背景には、他社とは異なるターゲットを設定し、真っ向からの競争を避けたこと、ターゲットにあったプロモーション戦略を行ったことが、あったように思える。
<参考文献>
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』  http://ja.wikipedia.org/wiki/Wii